メルカリ取締役会長小泉メッセージ「2021年のメルカリ政策企画の役割」

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新年あけましておめでとうございます。

今年もメルカリ政策企画ブログ「merpoli(メルポリ)」をよろしくお願いします。

今年もメルカリ政策企画として、さまざまな政策テーマに取り組んでいきますが、その基礎となる2021年の社会情勢の見通しと、それを踏まえたメルカリ政策企画の活動方針について、メルカリ取締役会長の小泉文明(以下、小泉)のメッセージを掲載させていただきます。

 


Q> 2020年は新型コロナウイルスの問題でほぼ一色の1年でした。2021年もコロナの影響が続くことになると思いますが、社会や経済の変化をどう見通していますか?

小泉> 2020年は、ある意味で、これまでであれば10年かかっていたことが、実現に向けて大きく近づいた1年だったと思っています。おそらく10年後にはデジタル庁はあったでしょうし、企業のDXは間違いなく進んでいたはずです。その意味では、社会としては、あるべき方向に向かっていってるのではないでしょうか。一方で、この変化のスピートが早過ぎることで、ついてこれない人や企業も出てきてしまいます。そうした人たちも含めてどう変化に社会が対応していくかということが重要で、それをやらないと、社会の二極化が想定外に進んでしまうと思っています。

 

Q> 2020年はデジタルトランスフォーメーション(DX)が大きく進みました。2021年はその改革のスピードは落ちていくのでしょうか、それとも本格的に進んでいくのでしょうか?

小泉> デジタルトランスフォーメーション(DX)は本格化していくフェーズに入っていくと思います。DXに本気で取り組む会社はどんどん伸びていき、そうでない企業との二極化は進むのではないでしょうか。行政などにおいてもデジタルトランスフォーメーション(DX)の事例が多く出てきて、その事例を通して社会にもDXが浸透していくのではないかと思っています。そういう意味では、2021年を前向きに捉えています。


Q> 2020年はEコマースの利用も広がりました。一方で、医療関係者や飲食・旅行業者などの仕事に携わる方々は大変な苦労をされています。こうしたエッセンシャルな職種でない我々は社会に対してどのような役割が果たせるでしょうか?

小泉> 私たちは、新しいことに挑戦して、社会の変化を牽引することが大事なのではないかと思います。これまでの時代は、何かやろうと思うと大きな資本が必要だったりと、やるべき時にできない人たちが多くいました。しかし、インターネットによって、挑戦するためのコストが一気に下がりました。地方であっても、インターネットを使ってECなどでものを売買するとか、個人の働き方においても、インターネットが新しいライフスタイルをもっと便利にすることができます。いい形で、時代や社会を前進させる役割を、インターネット産業はもちろん、メルカリ自身も果たせるといいなと思います。


Q> 最近、「サーキュラー・エコノミー(循環型経済)」という言葉も聞くようになってきました。経済全体が循環型経済になっていくためには、メルカリだけではなく、生産者、小売事業者、配送事業者など、多様なステークホルダーと連携していく必要があるのではないでしょうか。多くのステークホルダーが関わる中で、ステークホルダーの誰かが損をしている状態や、誰かが無理をしている状態だと継続性がありません。ステークホルダーとメルカリとの関係は、今後どう変わっていくと思いますか?

小泉> これまでの社会は、売上重視型であり、大量生産・大量消費でした。循環型社会においては、「売上」から「利益の質の変化」へと意識を変えていく必要があります。人口が少なくなっていく状況の中で、これまでのビジネスの仕組みを続けるだけでは、どんどん厳しくなっていきます。テクノロジーがそれをどうサポートできるかが重要です。みんなが利益ベースで豊かになっていくべきで、「売上ベースで豊かになっていく時代」から、「利益ベースで豊かになっていく時代」へと変わっていくというのが幸せな未来なのではないでしょうか。もとの大量生産・大量消費に戻ろうというよりは、もっとデータも含めて色んなものが循環していき、ものづくりの形を変えるきっかけにしていきたいと思います。


Q> 政策企画チームでは、狭義のロビイングに限らない活動をやっていきたいと思っています。メルカリは社会でどういう役割を果たすべきだと思っていますか、また、社会の中で、政策企画はどういう役割を果たしていくべきでしょうか?

小泉> メルカリはプロダクトを通じて、循環型社会やキャッシュレスも含めて、こういう社会を作りたいというものがあります。しかし、多くの人は、見たことのないものに対して不安を感じるものです。政策企画チームは、社会と会社の接点として未来志向でこれをデザインして見える形にし、共感してもらえるようにする役割。言い換えれば、未来と現実を繋ぐ役割であり、未来の伝道師だと思っています。未来をデザインして、「こうしたい!」というイマジネーションやアイデアがないと、社会はなかなか反応してくれません。政策企画チームとして、社会全体が幸せな方向へ進むよう、具体的な未来を捉え、アクションを取っていくべきだと思います。


Q> 来年の政策企画チームとして取り組んでいきたいことを教えてください。

小泉> 昨年から思っているのは、コロナの影響のもとDXが進むなど、社会は大きく変化しています。もっと大きな社会課題という目線で、チーム全体で、社会や働き方を含む生活のあり方はどう変化するか、その変化に対応して国や自治体は何をしたらいいのかなど、大きく捉えていけるといいのではないかと思っています。社会は確実に変わっていきます。それに伴い、軋轢も生まれます。それをどうポジティブに解決していくかが大事な課題だと思っていますし、政策企画としてその課題に取り組む価値があると思っています。私が社長を務める鹿島アントラーズの本拠地・鹿嶋市でやっていることも、人々の生活を5年後10年後どうしていくかということです。それぐらいのスケールだからこそ、一人ひとりが人生をかけてやる意義があるのではないかとも思います。


Q> 今後の自治体との連携についてはどう考えていますか?

小泉> もっといろいろな自治体とさまざまな実験をやっていければ良いと思います。鹿嶋市のような街で、例えば、循環型社会の実現に向けてゴミ問題やエネルギー問題に取り組んだり、次のライフスタイルをどう作るかという実験などもやるべきだと思っています。その意味でも自治体との連携は重要だと思っています。これからデジタル・ディバイドみたいなことが起こってくると、テクノロジーの恩恵を受けられる人と、受けられない人が出てくる。こうした二極化は何とかしていかなければならないので、、理想の形を一つの自治体ベースで創り上げて、それを横展開することで、日本全体が良くなるみたいなことをしていきたいなと思っています。

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 今年はさらに積極的に情報発信も行っていこうと思います。

今年もメルカリ政策企画ブログ「merpoli(メルポリ)」およびメルカリ政策企画チームをよろしくお願いします。

(高橋 亮平)

 

株式会社メルカリ取締役会長の小泉文明と、政策企画ディレクターの吉川徳明の対談の様子は、以下から動画でも見られます。