メルカリが考える日本版サーキュラー・エコノミーの未来。政策企画の高橋が登壇

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昨年12月21日、パナソニック未来戦略室主催の「未来FORUM2020 Online」が行われ、「日本の"もったいない"をシンカさせる-日本におけるサーキュラーエコノミーとは」と題したセッションで、経産省のサーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会の委員も務める田島章男 パナソニックETソリューションズ企画部総括部長とともに、メルカリ会長室政策企画参事の高橋亮平が登壇しました。

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サーキュラー・エコノミーは、欧州が中心となって取り組んでいる新たな経済の形である「循環型経済」を指すことが多いですが、日本では、まだ広くは知られていません。

今後の日本において、単に欧州の概念を取り入れるだけではなく、日本らしい進化の仕方があるのではないかと、日本版の「サーキュラー・エコノミー(=循環型経済)」の可能性について議論しました。

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今回は、前半のテーマを「循環を利用した価値創出の取り組み」と位置づけ、その一例として、「利用から価値を生む」、「2次流通から価値を生む」といった循環によって新たな価値を創出するための内容や、その価値創出を行うための対象製品の範囲が現状では限れられてしまっていることなど、現時点での課題、企業連携やビジネスモデル間連携の必要性など、今取り組んでいることを今後さらに進めていくに当たってどのような将来課題があるか話をしました。

メルカリは、フリマアプリの「メルカリ」など、グループが提供するサービスの成長を通じ、二次流通市場の拡大を牽引することで、サーキュラー・エコノミーの一翼を担ってきました。

今後はこうした二次流通市場の拡大のようなメルカリだけでできることではなく、メーカーなど一次流通市場の方々との連携を通じて、サーキュラー・エコノミーをさらに加速させていきたいと考えています。

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後半のテーマは、「循環経済における将来の理想の流通の形」ということで、パナソニック田島さんとのディスカッションとなりました。

経産省の委員を努めた立場で田島さんから、現状の経産省の進めているサーキュラー・エコノミーの取り組みを紹介してもらうとともに、メルカリ政策企画チームとして日頃取り組んでいる活動の視点から政策としての推進の可能性についてなど話をしました。

今年1月18日、菅義偉 総理は、施政方針演説の中で、2050年カーボンニュートラルを宣言し、「もはや環境対策は経済の制約ではなく、社会経済を大きく変革し、投資を促し、生産性を向上させ、産業構造の大転換と力強い成長を生み出す、その鍵となるものです。」と語っています。

また先月、小泉進次郎 環境大臣は経団連の幹部と会談し、使用済みのプラスチックごみなどの回収や再利用に取り組み、サーキュラー・エコノミーの実現に向けて、官民が連携を強化することで一致したと報道されました。 

メルカリ政策企画チームも昨年、メルカリ取締役会長の小泉文明に同席し、サーキュラー・エコノミーについて小泉大臣と意見交換をする機会がありました。

サーキュラー・エコノミーの推進は、政府内や経済界でも重要なアジェンダになってきていることがうかがえます。

今後の日本におけるサーキュラー・エコノミーの推進においては、二次流通で取得できるデータをメーカーや一次流通に提供し、販売の最適化、需要予測・生産計画の最適化、循環を前提とした製品設計・デザインなどに役立てていくこと、相互送客を行なっていくことなどが重要です。

こうした連携が進めば、ものの創り手がサステナブルに生産を継続できる新たなビジネスモデル、循環しながら世代を超えて使われる「ロングライフデザイン」、循環を前提とした一次流通の新しいアフターサービス(保証・修理)の仕組みなどの創出を通じて、一次流通を含む経済全体の活性化につながり、新たな日本の成長戦略となる可能性があります。

メルカリのめざす「捨てる」を前提としない消費文化を醸成していくとともに、リユースやリペア、アップサイクルに対する意識の変容をしていくことも重要になってきます。

リペアやアップサイクルをさらに身近なものにしていくために、新しいライフスタイルのあり方とそれを支えるエコシステムの提案してゆくことで、世界のサーキュラー・エコノミーの新たなモデルを日本版サーキュラー・エコノミーとして、発信していけるのではないかと思っています。

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パナソニックの未来戦略室の皆さんとは、今回のセッション以前から日本版サーキュラー・エコノミーの可能性について議論を続けており、今回のセッションについても、単にイベントで問題提起を行うことに留めず、さらに多くの業種・業態の企業にもご参加いただけるような、今後のコンソーシアム活動につなげていくための仲間集めという側面もありました。

今回のセッションでは、サーキュラー・エコノミーが、多くの人々や企業にとって身近であることを理解してもらうとともに、製品価値・購買体験価値の維持向上と密接に関係しているということを理解してもらい、今後、ここで議論した日本版サーキュラー・エコノミーの取り組みをともに行動を起こす仲間を幅広く集め、コンソーシアム活動につなげる機会にもなればというものでもありました。

このセッションでの問題提起と議論が、サーキュラー・エコノミーを事業からは遠いと捉えるのではなく、事業を行う際に意識すべき項目として捉えられるようになってゆけば幸いです。

(高橋 亮平)

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