2月4日に東京都中小企業振興公社によって、行政課題解決型スタートアップ支援施設「TOKYO UPGRADE SQUARE」が開設されました。この「TOKYO UPGRADE SQUARE」で、政策企画ディレクターの吉川徳明が『ニューノーマル時代のスタートアップと、行政とのパートナーシップー「ルールメイキング思考」の重要性ー』と題した講演を行いましたので、その内容をご紹介します。
メルカリの政策企画(Public Policy)チームの仕事は、「事業成長の支援 + 会社の信頼獲得のため、あらゆることをする」と捉えています。その仕事をさらに分類すると、「1. 非ビジネス領域での事業支援、信頼獲得」、「2. ビジネス領域での事業支援」、「3. 社会におけるより良いルールづくりへの貢献」があります。 まず、非ビジネス領域での事業支援と信頼獲得について、私たちの仕事の中で多いのは、事業の安定成長のため、「法的リスク」や「政治リスク」「レピュテーションリスク」を検知して回避するという「守り」の仕事になります。 一方で、法律やルールを変え、できることを増やしていくという「攻め」の仕事もあります。この中には、狭義の意味で「ロビイング」と言われる、新しい技術やビジネスに見合ったルールを新規立法や法改正によってつくるという仕事もあります。ただ、ルールメイキングにおいても、ケースに応じて、必ずしも新規立法や法改正するだけでなく、むしろ、業界横断の自主規制や、官民連携した共同規制の導入などを行うこともあります。 企業にとって、より大事なことは現行のルールを前提とした戦略を取るのではなく、ルールの改正も選択肢とした上での最適戦略を取ることです。例えば、法改正によって新たに実行可能な戦略が増える場合、当然、法改正によって広がった範囲で戦略を立てた方が、ビジネスの可能性は広がります。まさに、こうした法改正の働きかけをするのが、私たち政策企画だと思っていただくと、イメージが湧きやすいかもしれません。 企業が政策に関与する上で取りうる選択肢を挙げると、「1. 議員への働きかけ」、「2. 関係省庁への働きかけ」が挙げられます。また関係省庁の審議会の委員やインフルエンサーといった「3. 有識者への働きかけ」、「4. メディアへの働きかけ」、さらに公的規制導入の抑制として、「5. 自主規制の導入」などがあります。 こうした対応は、個社で行うこともあれば、とくに業界横断的な自主対応や自主規制を行う際には、業界横断的に対応することが求められたりします。
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このように、政策企画の仕事について概念的に整理したものをご紹介したほか、スタートアップ等の企業の方々によりイメージしていただきやすいよう、いくつか具体例を交えながら、メルカリの政策企画が取り組んできた仕事について紹介しました。
私たちのチームが担う、政策企画という役割や、まだまだ多くの方々にとって馴染みがないものだと思いますので、これからもさまざまな機会を活かして、ご説明していきたいと思っています。
(佐々木 愛)