震災から10年、メルカリによる「モノを売ったお金を被災地へ寄付する」新たな支援の呼びかけ

f:id:merpoli:20210318165353p:plain「モノを売って被災地に寄付する」新たな支援の輪を

東日本大震災から10年となった3月11日、メルカリでは、東日本大震災の被災地である岩手県陸前高田市・岩手県山田町・福島県川俣町に「メルカリ寄付」でものを売って寄付できるようになりました。

2021年は東日本大震災より10年という節目であり、政府の定める「復興・創生期間」が3月末に終了するなど、公的支援をはじめとする援助が段階的に減少することが見込まれています。

全国で震災の記憶が薄れていく一方で、今回、被災地である3つの自治体にインタビューをし、被災者の心の問題や、コミュニティをどう蘇らせていくかなど、ハード面だけでない多くの課題があること、復興にかける地域の想いをあらためて感じさせられました。

まだ、復興を終えたわけではない被災地の現状をお伝えするとともに、メルカリが培った経験と技術を、10年を迎える被災地に「新たな復興支援」として、全国から「モノを売って被災地に寄付する」仕組みを皆さんにお届けし、皆さんの想いを被災地に届けられればと考えました。

皆さんからいただいた寄付金は、被災自治体が復興や災害対策をはじめとする自治体活動に役立てます。

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 こうした中、今週、メルカリの政策企画ブログ「merpoli(メルポリ)」では、今回新たに「メルカリ寄付」による被災地への寄付ができるようになった3自治体へのインタビュー記事を掲載しました。

3月15日に掲載した初回は、福島県川俣町でした。

 

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川俣町(福島県)

川俣町のインタビューは、企画財政課の橋本卓哉さんにお聞きしました。

川俣町には、地震災害のほかに原子力災害がありました。地震による建物や道路などは復旧し、現在では元の状態に戻っていますが、原子力災害は目に見えない災害であり、人々の心には影響が残り続けていると言います。

除染により線量も下がり、安全・安心に暮らせる環境となり、徹底した検査により農産物等の安全も確立されています。

こうした特産物への支援も求められています。

10年前、川俣町では山木屋地区に避難指示が出されました。2017年3月31日に避難指示は解除されましたが、住民帰還が進まず、帰還しないことを決めた方も大勢いらっしゃるそうです。避難指示が出た山木屋地区が元通りなるのは難しいだろうと、10年を経て改めて感じられています。

避難は、地域をばらばらにし、家族でも別々に避難しなければいけないケースもあったそうです。仲の良かった近所づきあいがなくなり、故郷に戻るかどうかの意見が家族の中でも分かれるなど、「心の分断」もおき、今なお癒えていないこともあるといいます。


[ 3.11から10年の福島県川俣町 ] (職員が語る)変わらない川俣町の魅力(2021.3.15)


 

3月16日に掲載した第2回は岩手県山田町でした。

 

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山田町(岩手県)

山田町のインタビューは、佐藤信逸 町長にお聞きしました。

山田町はこの10年、住宅や生業の再建がとくに苦労したといいます。住宅の再建は、土地を嵩上げしたところに家をお建てることになりますが、そのためどうしても期間が必要になります。山田町でも、原子力災害による風評被害を受け、当初は瓦礫受け入れ先自治体が見つからなかったそうです。瓦礫処理が始まり、何もなくなった後、生業を持続させるために、自然発生的にプレハブの店舗が建てられましたが、数年後にはそこも嵩上げをしなければなりませんでした。移転補償時間がかかりますし、嵩上げしたところに新たに住宅や店舗を作っていただく必要もありました。山田町では、土地区画整理事業地内に嵩上げして住宅や店舗を作ろうと、何度も何度も住民説明会を行なったそうです。

「海の十和田湖」と言われるほど湖面が静かな山田湾では、カキやホタテなど海面養殖が非常に盛んでしたが、震災前には4,000台程あった養殖いかだも、震災後は高齢化も重なり、現在は半数になってしまったといいます。

ようやく三陸鉄道が開通し、賑わいが戻ると期待された観光業も、残念ながら、昨今のコロナの影響で、再び大ダメージを受けているそうです。


[ 3.11から10年の岩手県山田町 ] 佐藤町長が語る山田町の現在地(2021.3.16)

 

 

3月17日に掲載した第3回は岩手県陸前高田市でした。

 

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陸前高田市(岩手県)

陸前高田市のインタビューは、阿部勝  地域振興部長にお聞きしました。

岩手県の沿岸部はリアス式海岸で海沿いに急な坂が多いのですが、陸前高田市は平地が広がっていることもあり、震災では市街地が津波により流出しました。震災前の市のシンボルは、2kmの砂浜と7万本の松がある非常に美しい松林「高田松原」でしたが、津波でその松林も市街地も全て流出してしまったそうです。
この10年間は、生活の基盤作りや、なりわいの再生ためにゼロからまちづくりを進める10年だったといいます。

当初は何よりも安全なまちづくりを重視し、5.5mだった防潮堤を12.5mにすることを前提に、市街地も10m前後に嵩上げしました。しかし、その事業に使える国の復興事業メニューが「被災市街地復興土地区画整理事業」しかなかったため、大変時間がかかり、結果、事業推進を待てずに市外に転出される方々も多くいらっしゃったそうです。

住民の皆様も時間との戦いで、長い時間待てない方もいたほか、まちの将来がどうなるかわからない状況の中、商売そのものを諦めてしまうわれる方もいらっしゃったといいます。

市民や商業者の方々とも、将来の先行きがわからない中で悩みながら頑張ってきた10年だったと話されていました。


[ 3.11から10年の岩手県陸前高田市 ] 陸前高田市が進めたゼロからのまちづくりとは?(2021.3.17)

 

また、インタビューとは別に、今回、3.11の震災から10年を迎える被災自治体との取り組みを行うに当たり、メルカリ政策企画チームでは、緊急事態宣言発令前に、岩手県、福島県の自治体を訪ね、現地の皆さんのお話も伺いました。今回のインタビュー自体は、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言発令中ということもあり、オンラインでの実施となりましたが、現地を訪れた際に感じさせられることも多くありました。

メルカリでは、3月11日から開始した「モノを売って被災地に寄付する」という新たな被災地支援の仕組みとしての「メルカリ寄付」の活用だけではなく、今回、新たに寄付先となった陸前高田市、山田町、川俣町の各自治体をはじめとする被災地とは、今後、現地での「メルカリ教室」の実施や、メルカリが取り組んでいる教育プログラムの提供などを通じ、さらなる復興のお手伝いができればと思っています。

(高橋 亮平・岡本 洋平・横山 竜一)