取引DPF新法と「メルカリ」の安心・安全の取り組み(後編)

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先週に引き続き、取引DPF新法と「メルカリ」の安心・安全の取り組の後編をお届けします。

ぜひ、前編も合わせてご覧ください。

今後の検討事項とメルカリの安全・安心の取り組み

「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案」(以下、「取引DPF新法」)では、BtoC取引の「場」となるデジタルプラットフォーム(以下、DPF)について環境整備が行われました。

他方、CtoC取引のDPFについては、売主としての消費者に、一部の例外を除いて広告規制等の表示にかかる法的責任が課されていないことや、特定商取引法の表示義務が課されていないことから、「デジタルプラットフォーム企業において、いかなる観点に依拠して、又はいかなる立場から、売主・買主の双方の消費者サイドに対して消費者保護のための取組を行うべきかは、必ずしも明確とはいえない。」と消費者庁の検討会では考えられました。

こうしたこと等から、消費者庁の検討会では、DPFを利用してCtoC取引が行われる場合については、現時点で新規立法の内容に含めることとせず、今後の課題と位置づけられました。

なお、衆参いずれの議院においても以下のような附帯決議がなされており、CtoC取引の環境整備が意識されています。

「一 売主が消費者(非事業者である個人)であるCtoC取引の「場」となるデジタルプラットフォームの提供者の役割について検討を行い、消費者の利益の保護の観点から、必要があると認めるときは、法改正を含め所要の措置を講ずること。」

CtoCのフリマアプリを提供するメルカリでは、公的機関や業界団体と連携しながら、お客様の皆様が安全・安心に取引を行なっていただけるよう自主的な取り組みを行なっています。

 

紛争”予防”のための取り組み

メルカリでは、独自に「禁止出品物」や「禁止行為」を定めており、安心・安全を確保できないような商品や他者の権利を侵害する商品の出品などがなされることを防止しています。

さらに、こうしたルールがきちんと遵守されるように、AIを活用した不正検知システムやカスタマーサービスが24時間365日稼働しています。万が一ルールに反する出品や行為を発見した場合は、問題のある商品の削除や、注意喚起、場合によっては出品者の利用制限等を行っています。

こうした不正検知では、外部との連携も行っています。例えば、模倣品対策として、権利者保護プログラムを設けており、権利者に加入いただくことで、模倣品を迅速に削除できるようにしています。

なお、メルカリでは、青少年や保護者・教員等を対象に、フリマアプリをはじめとするCtoCサービスの仕組みやトラブルに巻き込まれないための方法・事例を伝え、安心安全な利用方法を主体的に考えながら学んでいただける教育プログラムも提供しています。

 

紛争解決のための取り組み

会員登録時に、電話番号を利用して、本人の登録であることを確認しています。(SMS認証)また、2019年2月より、新規会員登録時に出品者の本人情報(住所/氏名/生年月日)の登録を必須化しています。

さらに、登録された氏名と売上金の振込口座が一致しない限り売上金を引き出せないようにすることで、盗品等の不正出品を防止しています。

この他、メルペイの利用にあたっては、犯罪収益移転防止法に基づく本人確認も行っています。

また、届いた商品に不備や破損があった場合、返品や補償の対応を実施しています。意図しない偽造品の購入、説明にない不備や破損により使用できない状態の商品代金、「メルカリ便」利用時に配送事故があった際の配送料金などが対象です。「メルカリ」では、正規の商品が破損せずに購入者の元に届くよう対策を講じていますが、万が一偽造品や不備のある商品を購入してしまった場合でも上記の通り、返品や補償対応を受けることが出来ます。

こうしたトラブル対応にあたっては、先述のカスタマーサービスが場合によってはお客様同士のやりとりの仲介もしています。

消費者に情報を届ける取り組み

メルカリでは、先述のような安心・安全のための取り組みについて、自社ウェブページはもちろん、オンラインマーケットプレイス協議会を通じた情報発信を行なっています。

消費者に透明性のある情報が届けられることによって、消費者が自分にとって「より望ましい」と思う取引の場を自ら選択できる環境を目指しています。

また、情報発信ではわかりやすさを心がけています。例えば、出品物のルールに関する情報発信では、文章だけではなく、図や写真を用いるなどしています。

まとめ

取引DPF新法によって、デジタルプラットフォームにおける「消費者保護」という基本的な価値観が改めて共有され、取引DPFを提供する企業が、消費者保護のための積極的な措置を実施できる環境が整備されました。

メルカリでも、消費者にとって安心・安全な取引の「場」が形成されるよう、今後も取り組みを続けていきたいと思います。