チームメンバーの成長で支えたメルカリ政策企画マネージャーの育休取得

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先日、メルカリ政策企画では、マネージャーの岡本洋平(以下、岡本)が1ヶ月半の育休を取っていました。

先日テレワークなどとともにmerpoliでも紹介した「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル “YOUR CHOICE”」の取り組みをはじめとして、多様な働き方を尊重するアクションを全社的に推し進めているメルカリですが、政策企画ではマネージャー1名が不在となるこの機会を各チームメンバーが自立するための好機と捉え、メンバーそれぞれがこの1ヶ月半、奮闘を続けてきました。

そこで、今回の記事では、実際に育休を経験した岡本と、業務をサポートしたチームメンバーの一人である今枝由梨英(以下、今枝)に、マネージャーの育休期間をどのようにしてチームで乗り超えたのか、また、今回の育休で見えた課題などについて話を聞いてみました。

 

業務から離れた1ヶ月半

Q. 岡本さんは1ヶ月半の育休をとっていたとのことですが、育休期間中は業務から完全に離れていたのでしょうか?

岡本> Slack(社内コミニケーション用チャットツール)だけは見ていて、たまにコメントを残していましたが、その他は完全に業務から離れていました。育休以前に私が担当してた業務は、マネージャー以上の役職者が関わらないといけない部分については他のマネージャーに、その他の業務についてはチームメンバーに割り振って担当してもらいました。

今枝> 育休が始まった当初は、メンバーが岡本さんに質問を送ることもあったんですけど、吉川さん(吉川徳明 メルカリ執行役員VP of Public Polic)から「岡本さんはお休み中だし、メンバーの自立を促す意味でもできるだけ質問を送るのは控えて」というお話があって、それからは本当に必要なとき以外はメッセージを送らないようになりました。

Q. 政策企画の業務の中には、社外とのやりとりなども多いと思いますが、そういった対外的な業務については育休中どのように対応していたのでしょうか?

今枝> 対外的なミーティングについては、岡本さんご自身が理事を勤めていた団体も含めて、他のチームメンバーが出席して対応しました。岡本さんが育休に入ることに関しては対外的に伝えていたことと、各団体の理解もあってこのような対応ができました。代役として出席する際には、岡本さんが作成していた外部との過去のやりとりについての議事録が充実していたので、その議事録が良い引き継ぎ資料として機能しました。

 

「育休」をメンバーの自立を促す機会に

Q. 岡本さんが育休の間、チームとしてどのように業務を回していったのか、具体的に教えていただけますか?

今枝> マネージャーが育休をとる場合、そのマネージャーが担当していた業務については上の役職者が引き取るというやり方もよくみられると思います。しかし、今回の岡本さんの育休では、吉川さんも「メンバーの自立を促したい」ということを繰り返し言っていて、実際に岡本さんが担当していた業務は、本当にマネージャーがやる必要があるもの以外は、チームメンバーに任せていました。そして、マネージャーが関わる必要がある意思決定や対外的な業務は、政策企画の中の他のマネージャーがバックアップを行っていました。

岡本> メンバーに主体的に業務を進めてもらうという点では、業務をメンバーに割り振る際に、育休期間中の「一時預かり」のような形で任せるのではなく、私が育休から戻って以降も引き続きそのままチームメンバーに主体的に進めてもらうつもりでお願いしました。政策企画全体の方針として、私が育休から戻ってきた時にチーム全体の仕事のキャパシティが増えるというようなことを期待していて、結果として、その試みがうまくいったように思います。

Q. チームメンバーがマネージャーの仕事を担当していたということですが、その際どこまで自分がやっていいんだろう?といった戸惑いはありませんでしたか?

今枝> 私自身の話でいうと、「これどこまで私が踏み込んでやってもいいのかな?」という不安は、一番最初はありました。というのも、育休が始まった当初は、マネージャーの仕事の下書きをしていて、決断はマネージャーが行うものという感覚があったからだと思います。そんな時に、対外的なミーティングにマネージャー不在で私だけが参加することがあって、そこではメルカリの代表者として振る舞うことが求められました。その時の対応を社内でも受け入れられた時、自然と「私がもっと踏み込んでやっていいし、やらなければいけないんだ」という仕事に対するオーナーシップが生まれました。「自分の仕事だ」という気持ちが芽生えてからは、自分が得意だと感じてることを迷わずやれましたし、マネージャーや他のチームメンバーにも「どんどんやってください」と後押しをもらいました。担当している業務の今後の方針などについて、まず自分で考えてチームメンバーに提案し、よい議論ができるというのは面白かったし、他のメンバーも主体的に仕事をやれていたように思います。メルカリのValueの一つであるALL FOR ONE=一つの目標に向かって全力を投入する、とはこういうことなんだ!と自分なりに解釈できた貴重な体験でした。

 

ナレッジ共有で人の入れ替わりに強いチームを

Q. 今回の育休では、チームメンバーそれぞれが成長することによって、チーム全体で扱える仕事のキャパシティが増え、マネージャーの不在というピンチを乗り越えられたという一面があるように感じました。今後、このようなケースを再現性を保って続けていくためには、どんなことが重要だと思いますか?

岡本> 今回は、マネージャーについてはチームの垣根を超えてサポートをしていただいた一方で、業務を担当してもらったメンバーについてはあくまでチームの中でサポートしあう体制でした。より柔軟なサポートを行うために、マネージャー以外のメンバーについてもチームを超えてサポートできる体制を作ることもアイディアの一つかなと思います。そのためには、引き継ぎをよりスムーズに行うことが肝要で、チーム内で共通言語となっているような基礎的な知識や参考書籍等をまとめて誰でも読める状態にしておく必要があると思います。このような引き継ぎ資料は、チームのオンボーディングにとっても重要で、人の入れ替わりに関わらず高いパフォーマンスを発揮するチーム作りに繋がると思います。

今枝> 岡本さんがおっしゃってくださったのは業務の入口・総論的な部分の話しだと思いますが、それに付け加えて、各個別の案件についても、大きな案件や頻発する案件については、「まとめ」みたいなものがあるといいなと思いました。「どんな関係者が関わって、どんなミーティングを経て、社内外とこんなやりとりをして、こんな結論に着地した」といったような雛形を作って、ナレッジを共有する仕組みを作りたいです。過去の経緯と、対応策(=武器)を持っていると強いと思うんです。ノウハウを言語化する作業は時間がかかるし、なかなか評価されずらいところだと思いますが、チームとして時間をとってやっていき、より強いチーム作りにつなげていけたらと思います。

 

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プロフィール

岡本 洋平 (Yohei Okamoto)

メルカリ会長室政策企画マネージャー。2009年、経済産業省入省。IT、東日本大震災からの復興、産業技術、エネルギー政策などの企画・立案・実行などに従事。2019年に株式会社メルカリに入社。割販法改正の議論、消費者還元事業、不正利用対策、消費者保護施策、出品物に係る渉外などに取り組んできた。東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻修士課程修了。

 

今枝 由梨英 (Yurie Imaeda)

メルカリ会長室政策企画参事。2010年、日本銀行入行。経済産業調査、新日銀ネットの企画・業務運営、大手金融機関のモニタリング、アジアの中央銀行・財務省との国際連携に従事。2021年に株式会社メルカリに入社し、消費者保護に係る渉外などに取り組む。東京大学法学部卒、オックスフォード大学経営学修士(MBA)。