自民党NFT政策検討PT座長にデジタル社会とNFTの未来を聞いてみた(前編)

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2月4日に開かれた衆議院の内閣委員会で、自民党の平将明議員(以下、平議員)が登壇し、ブロックチェーン技術などを活用した、分散型のインターネットを提唱する概念「Web3」や、デジタルデータを自分が所有していることを証明する技術「NFT(非代替性トークン)」の政策の方向性について質問しました。

また、自民党では、今年1月、デジタル社会推進本部にNFT政策検討PTが設置され、この座長に平議員が就任しています。

そこで今回は、NFT政策検討PT座長である平議員にインタビューを行い、NFTやデジタル社会の未来について幅広く聞いてみました。

 

NFTによる日本のコンテンツ価値の最大化は成長戦略になる

Q> NFTの可能性についてどう考えていますか?

 

平議員> 日本は、いわゆるコンテンツ大国ですから、NFTを活用することによって、アニメコンテンツやポップカルチャーといった日本のコンテンツ価値の最大化や、新たな需要の創出ができるだろうと感じてました。

例えば、日本のアニメ映画の原画をデジタルアートとしてNFTに紐付けて、グローバルなオークションで取引できたら面白いなと思います。デジタルな世界だけでなく、リアルなアセット、実物アートにNFTを紐付けてコンテンツを生み出したり、実物アートの取引や保管を日本に呼び込むという可能性もありうると思います。

そして、NFTは、ブロックチェーンの技術を利用して、著作権者やコンテンツを作ったクリエイターが、NFTの二次流通の売上の一部を受け取る

仕組みを設計することもできます。

そういった意味で、NFTは日本のクールジャパン戦略にとっても重要ですし、まさに一つの成長戦略になるだろうという想いが以前から強くありました。

 

Q> NFT政策検討PTが設置される以前からNFTに着目していたということでしょうか?

 

平議員> デジタル社会推進本部NFT政策検討PTが設置される以前に、世耕議員が委員長、山下議員が事務局長、そして、私(平議員)も幹事長を務めている自民党のクールジャパン戦略推進特別委員会のなかで、NFTの可能性について議論していました。去年の成長戦略にも、NFTが盛り込まれています。

 

6.ブロックチェーン等の新しいデジタル技術の活用

 サプライチェーンの効率化や官民の様々なサービス間でのID(本人確認)連携など、 ブロックチェーン等の新しいデジタル技術の活用方策の検討を行う。また、非代替性トークン(NFT)やセキュリティトークンに関する事業環境の整備を行う。

「成長戦略実行計画(令和3年6月18日)」6ページ(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/pdf/ap2021.pdf

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ブロックチェーンを生態系として捉えた規制のデザイン

Q> 平議員は、NFT政策検討PTの座長に就任されていますが、今後、NFTに関してどのような論点に取り組むべきだと考えていますか?

 

平議員> NFTについて、個別的なテーマとしては、ガチャに関連して賭博なのか、景品表示法に抵触するのかという議論も一部にはあると思います。

しかし、NFTは、NFTだけを見ていてもだめで、決済に暗号資産が使われていることからも、取引の基盤となるブロックチェーン全体を生態系として捉え、規制や税制のデザインのあるべき姿をいくのが適切だと思います。

そう言った意味で、最終的なゴールとして、ブロックチェーンをベースにした生態系全体のバランスを考えた法体系を作るという大きな仕事があると思っています。

一方で、すぐにでも取り組まなければならない喫緊の課題として、NFTという範囲を超えていますが、ガバナンストークンの課税をなんとかしたいという思いが強くあります。

去年、国際的なカンファレンスのセッションに出た時に、ブロックチェーンに携わる方々から現状の税制に関する意見をもらって、なんとかしなければという思いを強くしました。

これらの取り組みは、いずれも今までの枠組みには収まらない非常に難しい道のりですが、仲間を増やして民主主義の手続きの中で実現していきたいと思っています。

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Web3.0が「新しい資本主義」の一つの柱になる

Q> 先日の内閣委員会の中での、平議員が「新しい資本主義」の一つの柱としてWeb3.0を位置付けるべきとのご発言があり、大変注目を集めました。ご発言の真意などを教えていただけますか?

 

平議員> 岸田総理の「新しい資本主義」の中身は、成長戦略と分配戦略だと理解しています。

まず、成長戦略という観点では、web3.0やブロックチェーンはまさにイノベーションを起こす領域ですし、スタートアップで成長意欲があるのもweb3.0、ブロックチェーンの領域だと思います。

そして、ブロックチェーンを用いたトークンエコノミーでは、これらイノベーション・成長の果実をトークンを用いてこれまでなかった形で分配する可能性を秘めています。例えば、資本を提供した人だけでなく、さまざまな形で貢献をした人に対してトークンを用いた分配を行うことができます。こういった観点から、「新しい資本主義」の成長戦略と分配戦略双方を実現できると期待しています。

先ほど述べた、ブロックチェーン全体を生態系として捉えた大掛かりな規制・税制のデザインを推し進めていくためにも、岸田総理に「web3.0が新しい資本主義の中の一つの柱です」と言ってもらいたいと私は思っています。

 

後編はこちら

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平将明(Masaaki Taira)

衆議院議員。早稲田大学法学部卒業後、家業を継ぐ。2005年、第44回衆議院議員総選挙にて初出馬・初当選。経済産業大臣政務官 兼内閣府大臣政務官(第2次安倍内閣)、自民党副幹事長、内閣府副大臣(第2次安倍改造内閣・第3次安倍内閣)を歴任。現在は、自由民主党ネットメディア局長、デジタル社会推進本部NFT政策検討PT座長などを務める。

 

インタビュワー

安井 暢高 (Nobutaka Yasui)

メルカリ会長室政策企画マネージャー。経済産業省入省。東日本大震災の被災地支援・現地派遣、機構定員・組織改革(特許庁)、規制法改正を含むクレジットカード取引システムの改革、国会担当(中小企業庁)、内閣官房で成長戦略とりまとめ総括などを担当。途中、米国George Mason大で「法と経済学」及び「国際競争法と経済学」LL.M.取得。メルペイ事業の政策企画業務に従事した後、コーポレート業務についての政策イシューやチーム運営を担当。

 

高橋 亮平(Ryohei Takahashi)

メルカリ会長室政策企画参事 兼 merpoli編集長。元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、 神奈川県DX推進アドバイザー、国立大学法人滋賀大学講師。松戸市部長職、千葉市アドバイザー、東京財団研究員、政策工房研究員、明治大学客員研究員、市川市議、全国若手市議会議員の会会長等を経て2018年6月より現職。AERA「日本を立て直す100人」に選出。著書に「世代間格差ってなんだ」(PHP新書)、「20歳からの教科書」(日経プレミア新書)、「18歳が政治を変える!」(現代人文社)ほか