【寄稿】岐阜市職員が1年間のメルカリ派遣研修で感じたこれからの自治体で活かすべきこと

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メルカリでは、2021年4月から2022年3月まで、岐阜市から3人目となる職員の派遣研修を受け入れました。この受け入れは、岐阜市との包括連携協定によるものです。

2022年3月29日、派遣側の岐阜市、受入側のメルカリの両者が参加し、本研修の最終報告会を開催しました。報告会には、岐阜市側から河野 行政部次長をはじめオンライン・オフライン合わせて10名の皆さんが、社内からはメルカリ取締役会長の小泉文明ほか、政策企画チームのメンバーなど多くの社員がオンライン・オフライン参加してくれました。

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今井田 浩嗣

株式会社メルカリ 会長室政策企画(2021.4.1-2022.3.31)

岐阜市企画部政策調整課(2022.4.1-)

以下、寄稿

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岐阜市役所の自治体職員として、2021年4月から2022年3月までの1年間、メルカリで研修をさせていただきました。

私自身は県庁や外郭団体への出向をこれまで経験しており、外の組織に慣れているものと考えてましたが、メルカリでの1年間はこれまでと違うものでとても刺激的でした。急速に成長してきたいわゆる「ユニコーン企業」と言われた企業ならではの文化や働き方など、自治体職員として感じたメルカリの強みをまとめてみようと思います。

 

自治体職員として感じたメルカリの強みについて

1.情報量

メルカリでは社員間のコミュニケーションツールとして「Slack」を使用しています。これによって社員同士のコミュニケーションではメールも電話も使わないことになります。また、Slackでプロジェクトやチーム内での情報共有・連絡・議論するので、お互いの時間を拘束する必要が無く、必要なリアクションを自分のタイミングで行うことができます。(忙しい場合はスタンプや「後で確認します」などをレスしたりもします。)

Slackでは人事やインサイダー情報等を除き、基本的に情報をオープンにすることとなっているので、社員間の情報格差が生まれず、知りたい情報を自分で取りに行けることになります。これは縦割りと言われる自治体の組織とは異なり、チーム外の情報を担当者レベルでも得られることになるので、自分の業務に活かすことにより大きなアウトカムを出すことができます。

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2.スピード感

メルカリでは企業の中長期の方針としてロードマップがあり、それに対して組織のOKR、チームや個人のOKRがあります。

通常目標設定は1年単位で設定することが多いと思いますが、メルカリでは4半期に1回の頻度で設定し、年間4回設定することになります。それによって何が起きるかというと、達成しなければいけない目標のサイクルが短いので必然的にスピード感が生まれます。それだけではなく、見直しがあることによって、年度途中に必要となった重要施策にフルコミットすることができます。

当然、実務の上でもスピード感を感じることができます。例えばアプリであれば、アジャイル開発によって、ファネル分析やABテストなどを繰り返して改善を図っています。自治体では似たところで実証実験がありますが、予算の都合もあり通常1年スパンで行うこととなります。

 

3.バリュー

メルカリには行動指針として大切にしている3つのバリュー「Go Bold」、「All for One」、「Be a Pro」があります。

それぞれ、「大胆にやろう」、「全ては成功のために」、「プロフェッショナルであれ」という意味が込められています。非常に分かりやすく、常に意識できる点でもメルカリならではだと思います。

このバリューは社員が目指すものではありますが、おそらく、メルカリで働く一人一人が元々持っているものが自然と文化になったものであると1年間の派遣期間を終えて私自身は感じています。

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4.YOUR CHOICE

私が派遣研修で所属する前から、メルカリはいち早くWFH(Work From Home)を導入しフルリモートでの働き方に対応していました。そして2021年9月に「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル “YOUR CHOICE”」へ移行しました。

これによってリモート/出社の有無や働く場所など、個人と組織のパフォーマンスおよびバリュー発揮がもっとも高まるワークスタイルを社員それぞれが選択することが可能となりました。「YOUR CHOICE」は現在所属する社員にとってだけではなく、今後、新たな有能な人材を獲得していくうえでも重要となります。地方を拠点にしている優秀なエンジニアの採用も増えてくるかもしれません。自治体にとってこのような時代の流れを注視していく必要があると思います。

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様々な自治体から感じた違い

私自身は主に自治体との様々な連携事業を担当させていただきましたが、やはり、特定の民間企業との連携というものにハードルがある自治体が多くあることを感じます。一方で、積極的に民間企業との連携を実施している自治体があるのも事実です。

どちらが正解ということでは無いかも知れませんが、地域活性化には民間企業のノウハウを活かすに越したことは無いと思います。

連携に積極的な自治体は、特定企業への便宜を図るという捉え方をしておらず、目的を達成するための手段としているように感じます。例えば、「メルカリShops」の事業者向けセミナーを実施するとし、連携できる自治体は、「地域事業者のEC化」を自治体として目的に持っており、そのセミナーは手段となります。メルカリだけでなく他のプラットフォーマーがセミナーを開きたいと打診があっても、目的を達成するために必要であれば当然連携することとなります。また、民間企業との連携により新たな取り組みの先行自治体となることでメディア露出を図る自治体もあります。

それぞれ目的は異なるにしろ、柔軟な考え方のもと、民間企業の活力を活用していると言えます。

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メルカリでの1年間はあっという間でしたが、大きな経験をさせていただきました。担当業務について触れるとメルカリ寄付やメルカリShopsでの業務など様々ありますが、今回は感じたこととして上記の通り、まとめさせていただきました。

派遣研修を終えて地元岐阜で活かしていきたいと思います。

メルカリの皆様、大変お世話になりました。

(今井田 浩嗣)

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プロフィール

今井田 浩嗣(Koji Imaida)

岐阜市企画部政策調整課。2009年に岐阜市役所入庁。税務や広報に従事し、その間、岐阜県庁、観光協会への出向を経験。直近の所属である広報広聴課ではシティプロモーションを担当。2021年4月から2022年3月までメルカリに派遣研修。会長室政策企画に所属し自治体連携や「メルカリShops」、「メルカリ寄付」、「やさしい日本語」支援などの業務を担当。

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