メンバーに聞く、サステナビリティレポートから見えるメルカリの今とこれから

メルカリは8月9日、2022年度サステナビリティレポート「FY2022.06 SUSTAINABILITY REPORT」(以下、サステナビリティレポート)を公開しました。

本記事では、作成したサステナビリティチームのマネージャーである田原純香(以下、田原)へのインタビューをご紹介します。

 

メルカリのサステナビリティレポートとは

Q> サステナビリティレポートとはどういうものなのでしょうか。

田原> メルカリのESGやサステナビリティに対する考えや取り組みをまとめた報告書です。ESGプロジェクトを発足して以降、3年ほど前から毎年発行しているものです。

Q> 作成のきっかけにはどんな背景があったのでしょうか。

田原> メルカリのビジネスは、お客さまに使っていただくほど環境課題の解決にも貢献できる、ユニークなビジネスモデルです。初めてレポートを作成した2019年当初、メルカリは創業から6年が経過しており、世界的にもESG投資やESG経営が着目されていたなか、改めて「メルカリの社会に対するスタンスやメッセージを明確に伝えたい」という思ったのがきっかけです。ESGという世界共通のスキームに則りコミュニケーションを取れば、世界中の多くの人に事業の良さを知ってもらうことができると考えました。

ここでいう「多くの人」というのは、メルカリのユーザーのみならず、株主、資本市場の投資家であったり、メルカリに就職を考えている人、地方自治体の方など幅広い人を指しています。

そのような方々にメルカリの存在意義を伝えることで、さまざまなステークホルダーと連携しより社会にとって必要な存在になっていくための道筋を描けるのではないかと考えていました。

Q> サステナビリティレポートの作成の目的は、大きくはメルカリの事業の良さを社会に伝える点にあると思います。3年経った今、その目的に変化はありますか。

田原> 最初に作成した当時の目的から今でも変わっていません。

ただ、この3年間で社会的にESG投資やESG経営への関心が高まっています。そのため、ビジネスの素晴らしさを伝えるというだけではなく、中長期の視点で企業価値を評価している方とのコミュニケーションにおいて期待されるような点を充実させてきました。

例えば、中長期の視点で事業を見た時どのようなリスクや機会が存在し、それをどのように評価し、どのようなアクションを実行しているのかなど、メルカリの企業価値向上に向けた取り組みに関する情報なども加えました。

 

価値創造プロセスやポジティブインパクト、気候変動対応が特徴

Q> 2022年のサステナビリティレポートと昨年度との間に違いなどはありますでしょうか。

田原> 今年度の特徴は大きく3点あります。

1点目は価値創造プロセスです。初版にも載っていましたが、よりESG投資が広まってきた中で、なぜこのマテリアリティに取り組むことがメルカリの価値創造につながるのか、どのように実現できるのか、という点についてビジネスモデルと合わせて説明することを投資家に求められることが多くなりました。そのため、これを統合報告書のガイドライン(IIRC)に則り作成しました。

2点目はポジティブインパクトを初めて定量化して公表した点です。実は、インパクトの定量化は2年前から取り組んでいたのですが、精緻化するのが非常に困難であり、中々公開できずにいました。

しかし、やはりメルカリの事業そのものが社会にもたらすインパクトをどうしても可視化したいという想いから、毎月チームで行っている勉強会の中で、これなら算出できるのではないかというロジックを設計し、それをもとに東京大学の価値交換工学社会連携研究部門に携わる先生方に監修をいただきながら、今回数字として公開することができました。

3点目は気候変動への対応として、メルカリの事業を通じて排出されるGHG(温室効果ガス)※1のうち、スコープ3についても目標設定を行った点です。より事業との関連性が強いスコープ1,2については昨年の時点で目標設定を掲げて、順調に目標を実現してきているのですが、スコープ3についてはパートナー企業さまの協力なくしては実現できない目標であることから、目標の実現可能性や事業との両立などの観点から、メルカリの社内においても何度も議論を重ねました。結果として、プラネット・ポジティブ※2を追求するメルカリとしては、スコープ3についても目標設定を行うべきだとの結論となり、今回の開示に至りました。

※1 スコープ1は、自社での燃料使用による直接排出のことスコープ2は他社から供給された電気・熱の使用に伴う間接排出のこと。スコープ3は、  スコープ1、スコープ2を除く企業活動のサプライチェーン排出量となり、そのうち、当社の目標はカテゴリー1の「購入した製品・サービス」が対象。

※2 プラネット・ポジティブとは、地球資源の限界を意味する「プラネタリー・バウンダリー」という概念が広がるなか、私たちは事業を通じて地球環境に対してポジティブなインパクトを生みだし続けていくことで環境課題の解決に貢献したいという思いを「プラネット・ポジティブ」という言葉で表現しています。今後もメルカリは、あらゆる人が可能性を発揮できる社会に向けて、プラネット・ポジティブを追求していきます。

 

サステナビリティレポートを公開することでの変化

Q> サステナビリティレポートを公開することで社内にはどんな変化がありましたか。

田原> 改めて、メルカリの創業時のストーリーが語られる機会や、メルカリの循環型社会に対する考えについて、社内で議論される機会が増えたように思います。

実際に、メルカリの中長期の事業の道筋を描いたロードマップにおいても、ESGの観点が反映されています。ESGを絵に描いた餅に終わらせず、経営に落とし込むための仕組みとして、ESG委員会を発足したことも、実効性を高めるという点では大きなアクションであったと振り返ります。

Q> このようなサステナビリティレポート作成の取り組みは他の日本の企業でもなされているのでしょうか。

田原> 大企業などでは多くの企業で作成されているのではないでしょうか。統合報告書に統合される形で発行されている企業も多くありますが、何かしらの形で開示されていると思います。ただメルカリのような事業規模でここまで取り組んでいる会社はあまりないように思います。

メルカリがこうしてある種先陣を切ることができたのは、2018年に弊社取締役会長(当時、社長)の小泉文明が「メルカリでもESGの考えを活用した方が良い」という一言からESGプロジェクトを始動したことが大きな理由だと思います。当時、まだ「ESGって何?SDGsって何?」という人も多いなかで、いち早くプロジェクト化して取り組んだことが、スタートダッシュにつながったと感じています。

 

サステナビリティチームが考える今後の課題

Q> 日本ではこれまで企業がCSR活動を通して社会に貢献することが主流な流れでした。今後ESG投資などが進むことでどう変わってくると思いますか。

田原> ESG投資が広がる現在においては、かつてのように単にCSR活動を行うのではなく、いかに持続的な企業成長のために機会やリスクをマネジメントしていくかという、より本質的なESG経営が求められるようになっているのではないかと思います。

ESGの本質は、企業における利益至上主義の限界にもとをたどり、あらゆるステークホルダーへの価値提供を考慮した経営へと進化させることにあると思います。それが、永続的に社会に必要とされるような良い会社になるための条件になっているからです。その点で、様々なステークホルダーの方との関係性を構築する必要性は、さらに高まってくると思います。

Q> こうした視点を踏まえて、今後さらにメルカリが取り組むべき課題はあると思いますか。

田原> メルカリでは、サステナビリティ戦略においては、「循環型社会の実現/気候変動の対応」「ダイバーシティ&インクルージョンの体現」「地域活性化」「安心・安全・公正な取引環境の実現」「コーポレートガバナンス/コンプライアンス」の5つのマテリアリティを位置づけています。これらのマテリアリティの取り組みと中長期での企業成長との関連性をより定量的にクリアにしていくことや、さらにその取り組みを加速させるための指標を設計することなどは、まさに今後重点的に取り組むべきESG経営の課題であると感じています。

そのためにも企業価値向上を考えた時、今の延長線上ではなく、「企業の存在意義(Purpose)からバックキャスティング的に考えたらこういうことをやらなければいけない」という発想でロードマップを描けるか、そのような目的をもとにOKRが立てられるか、というような経営の日々の活動まで落とし込むことが大事だと思っています。

メルカリのサステナビリティ戦略

Q> サステナビリティチームが今回のサステナビリティレポートの先に、今後さらに目指していくものがあれば教えてください。

田原> 先ほどお伝えしたように、まずは中長期の経営マネジメントそのものにプラネット・ポジティブの視点などを落とし込むことを進めていきたいです。

また、ポジティブインパクトの精緻化をさらに進めて、メルカリの良さが伝わる情報発信を積極的に行うことも今後の目標です。そして、プラネット・ポジティブを追求する企業として、CO2排出の削減目標にも積極的に取り組んで行きたいと考えています。

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田原さんに、サステナビリティレポート作成に至るまでの経緯や、サステナビリティチームが考える課題について幅広く教えていただきました。

ありがとうございました!

サステナビリティレポートはこちらからお読みいただけます。

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プロフィール

田原純香(Sumika Tabara)

メルカリ経営戦略室サステナビリティチーム マネージャー。Accenture、A.T. kerney にて、ITシステムコンサルタント、戦略コンサルタントを経たのち、Interbrandにて、ブランドコンサルティングに従事。2018年にメルカリに入社し、社長室、ブランディングチームを経て現職へ。