メルカリ・明治大学・中野区でウクライナ避難者受け入れも見据え「やさしい日本語コミュニケーション」セミナーを実施

ウクライナ避難者支援として「やさしい日本語コミュニケーション」セミナーを実施

7月21日に、メルカリは、ウクライナ避難者支援の一環として、明治大学、中野区と連携して、中野区の職員を対象に「やさしい日本語コミュニケーション」セミナーを実施しました。

メルカリでは4月4日より、ウクライナからの避難民の受け入れ団体(自治体・学校・雇用受け入れを予定している事業者等)に向けたサポートプログラムとして、メルカリが独自開発した「やさしい日本語コミュニケーション」セミナーを無償提供することとし、申し込み受付を開始してきました。

今回の取り組みは、その第1弾として実施されたものです。

今回、中野区で行われた職員セミナーは、区職員がウクライナから避難してきた人たちや日本語を母語としない中野区住民とのコミュニケーションを学ぶための「やさしい日本語コミュニケーション」セミナーです。「やさしい日本語」について取り組む明治大学山脇啓造ゼミと、言語の専門チームがあることが特徴のメルカリとの産学連携で行われました。昨年度、中野区では、多文化共生を進める目的で山脇ゼミによる「やさしい日本語」セミナーを2回実施しましたが、今後ウクライナ避難民の受け入れも視野に入れていることから、メルカリが独自開発した「やさしいコミュニケーション」の視点を加えたセミナーを初めて実施したものです。

 

「やさしいコミュニケーション」の重要性

セミナーは3部構成になっており、明治大学山脇教授からの多文化共生についての講演、メルカリLanguage Education Team(以下、LET) やさしい日本語トレーナーの親松雅代からの講演、山脇ゼミの学生が各グループのファシリテートに入ってのワークショップが行われました。

メルカリの東京オフィスには、約40ヶ国の国籍のメンバーが勤務しており、エンジニアの50%が外国籍のメンバーです。メンバーの母語はさまざまですが、社内では主に英語と日本語が使われています。親松からは、これまでメルカリで培われてきた「やさしいコミュニケーション」の必要性や重要性についての講演がありました。

どの言語でも中上級レベルになると母語話者と緊張しないで話せるようになるとされており、日本語がそのレベルになるためには、学習者の母語や個人差はあるものの、だいたい週10時間の学習を2年半以上続けることが目安とされています。「長時間かけて中上級レベルになってもなお、語彙や文法の間違いが多く残ることや、相手が全く調整しない言語で話す場合には、会話に参加することが難しくなります。そのため、コミュニケーションの負担を学習者のみにかけるのではなく、母語話者や上級レベル話者も、自分の話す言語を相手に合わせて調整すること、そして何より『歩み寄り』の姿勢が重要です」と親松は言います。

また「日本語が母語ではない人と話すのに適切な言語は英語では?」というイメージを持たれがちであるが、実はそうではないという説明もありました。今回はウクライナからの避難者をどう支援する環境を整えるべきかという背景があるため、ウクライナの英語力についても言及がありました。ウクライナは日本に比べて英語力が高い傾向にあるものの、すべての人が英語ができるわけではありません。「日本に住むウクライナ出身の人の中には、日本語の方が話しやすい人もいれば、英語の方が話しやすい人もいるかもしれないということ、そしてそのレベルはさまざまであり、大切なのは『自分の話す日本語・英語が相手にとって伝わりやすいか』に気づくことであり、このマインドセットをゴールにしてほしい」と伝えられました。

この点が、メルカリが「やさしいコミュニケーション」を重視している背景でもあり、メルカリでは、多様な言語をバックグラウンドに持つ社員がいる中で、全員が議論に参加できる環境を作るためには、言語の壁を低くする必要があると考えています。得意な言語が異なる社員全員が議論に参加できることにより、良い意思決定が行われること、相互理解が促進されること、そして心理的安全性の創造が可能であることが伝えられました。

 

日本語を母語としない人にとって難しい「災害のことば」

後半は、山脇ゼミの学生が各グループのファシリテートに入り、ワークショップが行われました。

山脇ゼミからは「やさしい日本語」の基本として、「はさみの法則」が紹介されました。「はさみの法則」とは、「は(はっきり)、さ(さいごまで)、み(みじかく)」というもの。さらに短く言うときのポイントとして「めいだい式」を紹介しました。「めいだい式」とは、「文をめいかく(明確)に分ける、いらない文を削る、だいたん(大胆)に見直す」ことです。このように具体的なポイントを提示しつつも、最も重要なこととして、「相手に伝えよう」と思うマインドセットを持つことの大切さが強調して伝えられ、そのための「やさしい日本語コミュニケーション」であるということが参加者の方々へ伝えられていました。参加した職員の方たちも、日頃使い慣れている用語が日本語を母語としない人には難しいことを認識をし、「どのように言い換えたらより伝わるか」をそれぞれ意識しながら積極的に課題に取り組んでいました。一例として課題になったのは「災害時に使う言葉」です。災害時は、多くの人に早く正確な情報を届ける必要があるにもかかわらず、「浸水」や「土砂災害」など、日本語を母語としない人にとって理解しにくい言葉が多いのが特徴です。参加した職員の方たちは、例えば「浸水」を「家の中に水が入ってくることです」と言い換えて説明するなど、それぞれ伝える工夫をしていました。

「メルカリ・明治大学、中野区に向けたやさしい日本語コミュニケーションセミナー」は、今年は10月に2回目の開催を予定しています。

 

「メルカリ寄付」によるウクライナ人道危機への支援も継続中

またメルカリでは、3月10日より「メルカリ寄付」の寄付先にウクライナの人道危機に関する支援先を追加して支援をしており、現在は、「ウクライナ緊急募金(日本ユニセフ協会)」「緊急チーム募金(国境なき医師団)」「ウクライナ緊急支援(国連UNHCR協会)」「ウクライナ緊急人道支援(東京大学)」「ウクライナ避難民支援基金(日本財団)」の5箇所の寄付先を通じ、ウクライナ緊急援助などの活動支援も行っています。

是非、「メルカリ寄付」を使った寄付も体験してみてください。

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「メルカリ寄付」の寄付方法: 売上金等からチャージされたメルペイ残高を通じて寄付ができます。

詳しい利用方法は以下のページをご確認ください。 

メルカリは、今後もフリマアプリ「メルカリ」を通じ、社会・環境課題の解決に貢献する取り組みを推進してまいります。

(麻空 公美子・親松 雅代)