京都光華女子短大の学生が伝統・地場産業のEC化に貢献。「メルカリShops」で全国販売へ

京都光華女子短大の学生が伝統・地場産業のEC化に貢献。「メルカリShops」で全国販売へ

株式会社ソウゾウ(以下、ソウゾウ)は、京都光華女子大学短期大学部(以下、京都光華女子短大)と連携し、2022年10月より「メルカリShops」を活用した授業を開講しました。本カリキュラムでは、「メルカリShops」を教材に、Eコマースの利用方法や地域活性化への効果などを学習します。
その実践編として、11月29日より、伊藤畳店さん・Tezomeyaさんという京都市内の事業者とともに、「メルカリShops」上での販売を開始しました。

 

日本の伝統産業や一部アパレル産業が消滅の危機に瀕しています

生活様式の現代化によって、住居の和室の数が減少傾向にあると言われています。また、コロナ禍による海外からの旅行客の減少等で、お土産物等の伝統・地域産品の需要も著しく減少しました。これらのことは、観光や伝統産業の事業者が特に多い京都市の経済に甚大な影響を与えています。

京都光華女子短大は、これまで京都市内外の主体と連携して、伝統工芸品等を活用した製品の開発・販売、自治体組織のSNSでの露出促進支援等、地域活性化のための取組を実施してきています。
その上で、新しい取組として、今年度は「メルカリShops」上で京都市のど真ん中で事業を営む伊藤畳店さんとTezomeyaさんの商品の全国販売を実施することとなりました。

今回の授業を担当する京都光華女子短大の先生方、伊藤畳店さん、Tezomeyaさん、そして学生の皆さんの声をお届けいたします。

 

若い方にお届けしていくことで、伝統産業である畳事業を救いたい。

(1)伊藤畳店 伊藤様

  • 弊社は1893年(明治26年)創業で、私自身は1992年に44代目として家業を継ぎました。
  • 畳作りはまず京都に習えと言われるように、平安時代からの歴史ある産業です。ただ、生活様式の現代化によって、年々和室を備えた住宅が少なくなっていますし、それに比例して畳に触れたことがない若者が増えており、伝統的な日本文化が衰退しつつあることに危機感を持っています。
  • また、和室・畳の需要の低下により、産業としての持続可能性にも問題が出てきます。い草の農家さん、い草を編み込む業者さん、編み機を作るメーカーさん、そして弊社のように畳に仕上げる職人等の全てが少なくなっており、サプライチェーンが崩壊の危機に瀕しています。
  • そのため、これまでの光華短大さんとの連携では、若年層向けに畳を使ったおしゃれな置き鏡等を開発しました。和室を自宅に作ることは難しくても、若いうちから畳・い草の良さを知ってもらい、生活の色々な場面で畳・い草が使われるようにしていきたいです。そして、「メルカリShops」を使えば、全国の若年層の方々に簡単に届けることができるという点で期待しています。

(2)京都光華女子短大ライフデザイン学科2年生の森下さんと玉村さん

  • 畳は、祖母の家に行った時に触れるだけで、私にとって非常に遠い存在でした。ただ、伊藤畳店さんにお話を伺い、い草だけでなく様々な素材を使ったカラフルな畳があることを知って、本当に畳って奥が深いな、自分ももっと使っていきたいなと思いました。
  • そもそも、伊藤畳店さんをご紹介いただくまで、京都に畳産業があることは全く知りませんでした。伊藤畳店さんとお話しすることで、京都のことをより深く知ることができたと思います。
  • 「メルカリShops」での販売準備はとても難しかったです。商売として販売する以上は普段のメルカリでの販売と比べてしっかりと対応しなくてはいけません。ただ、対面販売と比べて、お客さまの顔を見て説明ができないのが不安で、商品説明文や写真でしっかりと魅力をお伝えできるよう頑張りました。
  • 「メルカリShops」の授業は、今後の自分の仕事にもとても良い影響があったと思います。私は事務関係の仕事に就く予定ですが、「メルカリShops」で誰にでも伝わるような文章を作ることで、社内でのコミュニケーションにも活かせそうな気がしました。

(3)商品概要とショップリンク

ショップURLはこちらで、伊藤畳店・京都光華女子短大の共同開発の置き鏡等が販売予定です!

 

まず自分が大切に着たくなる服、そういった想いを持って作った商品をお客さまに届けたい

(1)Tezomeya 青木様

  • 元々は京都の大手アパレル企業に勤めている中で、草木染めの色に魅せられました。そして自分自身で製品を作り・販売したいという思いで2002年77月にTezomeyaを開店しました。
  • 弊社は、”自然の色を長く着る暮らし”をテーマに、自分が日常的に着用したくなるような天然染料の服を目指しています。
  • ただ、天然由来の素材では、どんなに染め方や綿素材等を工夫しても、一定の褪色が起こります。そのため、無料染め直しサービスをお客さまに提供しています。そうすると、3年以上大切に製品を使っていただいていることが分かりました。染め直しを通じて、長く付き合える・サステナブルな価値があると認めていただけているようです。
  • また、弊社は昔の製法の生地等の素材に拘っていますが、段々と対応できる工場も減ってきています。このまま手をこまねいていると、縫製技術等の技術伝承が進まず、技術自体が途絶えてしまう可能性があり、なんとかしたいです。
  • 今回の授業を通して、若い学生が弊社の服のデザインや素材等の特徴をどのように解釈して、そしてどのような販売ページを作るかに関心があります。弊社の製品の可能性を別の角度から見てみたいです。また、「メルカリShops」のお客さまの反応も楽しみです。

(2)京都光華女子短大ライフデザイン学科2年生の上田さんと同科1年生の高橋さん

  • Tezomeyaさんは、店主の青木さんが自分自身で着たい服を作っているだけというお話がとても印象的でした。自分の好きなものをこだわりを持って製作・販売し、生計を立てていくという生き方は憧れです。
  • 「メルカリShops」での販売は、対面販売と比べた難しさはありますが、私が好きなTezomeyaさんの手染めという特徴を商品説明文でしっかりと伝えていきたいです。
  • 掲載写真数も10枚だけだととても足りないですが、商品の細部に加えて、草木染めならではの色の良さをお伝えしていきたいです。また、モデルは班員が務めますが、大学生の日常生活で自然に着こなしている感を出して、若い世代の共感を呼べたらと思います。
  • 今後はお客さまにコーディネートを提案する仕事に就く予定ですが、今回の「メルカリShops」での販売を通じて、商品の良さを分かりやすく伝える技術が向上したと思います。

(3)商品概要とショップリンク
ショップURLはこちらになります。今回は、オーガニックコットン100%の「吊り編み オーガニックコットン レディースタートル長袖」が販売予定です!

 

短大起点で若者の力で地域を元気にしていきたい。

授業を担当されている京都光華女子短大の鹿島先生と相場先生

  • 今回の授業は究極のアクティブラーニング。特に、地元京都の事業者さんと一緒になって、産学共同の新しい地域協力の形が作れており、手ごたえを感じています。
  • また、本学の学生の約25%が京都外出身です。この授業を通じ、京都には魅力的な地場産業・伝統産業があることを理解して、そのような地域に住まう意義・貴重さを実感して欲しいと思っています。
  • この授業では、学生が自発的に事業者さまと相談して、商品説明文の作成や写真撮影を行っており、コミュニケーション能力が向上しています。また、コロナ禍を経て、ECは必須のビジネスツールとなりました。卒業後は、企業内のEC担当になったり、はたまた起業をする場面も出てくるかもしれない、そういう時に今回の経験を活かして欲しいです。
  • 今回、「メルカリShops」を活用した産学の地域連携の新しい形を作ることができました。今後は、「メルカリShops」をプラットフォームとして、産学地域共同で学生の成長を後押ししたいです。そして、その学生達が成長した暁には、地域の社会・経済に貢献していって欲しいです。

生活様式の急速な近代化・西洋化とコロナ禍による和風小物等の需要激減により、京都市の経済だけでなく、日本の伝統産業等のサプライチェーン全体が危機に瀕していることが分かりました。「メルカリShops」では、そのような産業・事業者に新しい販路を提供するだけでなく、教育機関と連携してそのような産業や地域への学生の皆さんや「メルカリ」の若年層ユーザーの関心を喚起することで、少しでも伝統産業等や地域経済の維持・再構築に貢献できたらと思います。

(天野 宏)