メルカリからの帰任に寄せて‐Unleashされた行政からの派遣職員3人の話(前編)

メルカリでは、2022年4月から2023年3月まで、岐阜市から4人目、徳島市から1人目、2022年10月から2023年3月まで、経済産業省所管の独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下、NITE)から2人目となる職員の派遣研修を受け入れました。自治体からの受け入れは包括連携協定によるもので、NITEからの受け入れはメルカリが製品安全対策優良企業表彰(以下、PSアワード)を受賞したことで繋がったことがきっかけです。今回は、この派遣研修に参加した柳原 浩亮さん、麻空 公美子さん、嶋田 博之さんの3人に、メルカリへの派遣で何を感じ、何を学んだのか、派遣元に戻り、どう生かしていこうとしているのかを対談で語ってもらいました。

前半では、とくに、メルカリのスピード感、DX、D&I等についての話をしてくれました。

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柳原 浩亮(岐阜市から派遣。以下、柳原)> 1年間の研修派遣も今月で終わりです。もうメルカリで働けるのもわずかとなりましたが、この1年間、今までとは異なる環境で働くことで、派遣元では触れることのできなかった価値観や視点など、「新たな気付き」を得ることができたように感じていますので、今回の対談のタイトルを「Unleashされた派遣職員3人の話」としました。皆さんにとって、メルカリでの研修派遣はどんな体験でしたか?

【Unleash】

Unleashとは解放の意味ですが、10周年を迎えたメルカリが、これからも大胆なチャレンジを続けるために、掲げたグループミッションにおけるキーワードになっています。

嶋田 博之(NITEから派遣。以下、嶋田)> お二人は1年間メルカリにいたから余計に切なさを感じますよね。私は半年間の派遣研修だったんですが、元々、NITEで消費生活用製品の事故調査を行う部署に所属していて、実験室で測定機器や装置を使って実験するような環境で働いていたので、環境の変化に慣れることに必死で半年間があっという間に感じました。

麻空 公美子(徳島市から派遣。以下、麻空)> やりたいことはまだたくさんありますよね。私は徳島市から民間への派遣研修者第1号として4月からメルカリに派遣されましたが、お二人と違い、兼務でD&Iの仕事もしていました。政策企画の仕事では全国の人たち、D&Iの仕事ではいろんな国にルーツがあるメンバーと交流ができました。今までの環境では出会えなかった人たちと一緒に仕事ができて、いい刺激になりました。

【ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)】

「多様性を認め、受け入れて、活かすこと」などと訳されたりしますが、メルカリでは、このD&Iを非常に重要なものだと位置づけ、以下のようなD&Iのステートメントを示しています。

「メルカリには、ジェンダー・アイデンティティー、性表現、性的指向、宗教、信条、ニューロ(脳や神経)、障がい、民族、国籍、人種、年齢など、ここには書ききれない多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まっています。どんなバックグラウンドを持っていても、平等なチャンスと適切なサポートのもとでそれぞれがベストを尽くす。そんな目標を掲げて、さまざまな施策や制度の実現を目指しています。私たちは、すべての個人に向き合い、多様な経験・知識・意見を結集し、日本発の会社としての文化を生かしながら、メルカリらしい「Diversity & Inclusion」を推し進めていきます。」

詳しくはこちらをご覧ください。

柳原> 僕は、岐阜市から4人目の出向者なんですが、当初は麻空さんと同じように連携協定締結など自治体連携の業務を担当していました。途中でチーム異動があって、「メルカリ」の不正対策業務に携わってきました。

嶋田> 私は、政策企画で製品安全に関する業務に携わることが多く、NITEで培った知識や経験を活かすことができました。

柳原> 麻空さんと嶋田さんは東京在住だけど、僕は岐阜市に住みながらオンラインでの勤務がメインだったので、こうやってオフラインでお話できる機会はあまりなかったんですよね。今日は貴重な機会なので、行政からの出向者同士、普段お互い聞きたかったこととかざっくばらんにお話しましょう。

麻空> まず私からいいですか?D&Iチームのメンバーとして「無意識バイアスワークショップ」のファシリテータをしているから気になるんですけど、お二人がメルカリに来て気付いた「無意識バイアス」ってありますか?

【無意識バイアス】

普段の生活や文化による影響で、無意識下に培われた「思い込み」や「偏見」を指す呼称。詳しくは以下参照

柳原> 恥ずかしながら「無意識バイアス」という言葉自体、メルカリで初めて聞いたんですよね・・・。それに、自分では「男性だから・・・女性だから・・・」や、「外国人だから・・・」といった考えは無い方だと思っていました。でも「無意識バイアス」のワークショップの中で、年長者に見える人を上司や責任者だと思うことや、自分と年齢が近かったり出身地が同郷であるなど自分に似た人の方が親しみを持ちやすいといった事も「無意識バイアス」なんだと知って、思い返してみると過去にそう思ったこともあったし、上司よりも先に帰りにくいなと思ってしまうことも無意識に上司よりも早く帰るのは良くないことみたいに思っていた「無意識バイアス」だったんだと気付きました。

嶋田> 「女子力高いよね」など、相手を褒めるために使っていた言葉であっても偏見につながるおそれがあると知って、ハッとしました。ワークショップを通じて「無意識バイアス」を学ぶことで、自身の言動を見直すいい機会になりました。

あと、ワークショップ用の研修資料が無償公開されているので、派遣元に戻ったら共有したいですね。

麻空> なるほど、お二人ともいろいろな気付きがあったんですね。無意識ですから、こういった機会がないと自分のことを客観的に見られなかったので、私も含めていい学びになりましたし、こうやって自分の思いを伝え合えること自体、「心理的安全性が高い」ということですよね。聞かせてもらえてうれしいです。ありがとうございます。

あと、前に柳原さんが「岐阜市はパソコンを持ち運びしやすいタイプに変えたり、庁内Wi-Fiを整備したりしている」って話してくれましたよね。羨ましかったし、「岐阜市ってGo Boldだ!」と思ったので、もうちょっと詳しく聞きたいです!

柳原> ちょうど庁舎の建て替えと岐阜市でもDXを進めていくというモメンタムもあったかと思いますが、2020年度にメルカリに研修に来ていた横山さんも研修の経験を活かしてこの庁内DXの一翼を担ってますね。もともと窓口部署以外は一人一台ノートパソコンがある環境ではありましたが、カメラも付いていないし、大きいもので、旧庁舎の時には有線LANで繋がれていたので、持ち運ぶということはほぼ無かったですね。

新庁舎になってからは無線LANが整備されたので、庁舎内であればどこでも業務ができるようになっています。またリース契約の更新に合わせて、2in1のパソコンに変わっていっているようなので、会議室に各々自分のパソコンを持参してペーパーレス会議も徐々に進んでいるみたいです。

あと、2022年度中に、全庁でTeamsが導入されて、メルカリのようにチャットコミュニケーションができるようになりました。

【チャットコミュニケーション】

メルカリには内線電話が無く、日常の業務に関するコミュニケーションはSlackというチャットツールで行っています。Slackの中には、プロジェクトやチームごとに様々なチャンネルが作成されていますが、オープンチャンネルには社員であれば誰でも参加することのできることに加えて、途中からチャンネルに参加した場合でも過去のやりとりが分かるため、社内で情報共有が簡単にできます。

嶋田> NITEでもチャットツールを使ったコミュニケーションが増えてきて、情報格差がなくなってきた気がします!

柳原> 僕自身、メルカリで働いていて、課題解決や目標達成までのスピードの速さが岐阜市と比べてすごく早いなと感じました。お二人も行政機関の職員なので分かると思いますが、行政は一年単位で目標を設定して業務を進めていくことが多いですよね。課題が出てきても「今年度は予算が無いから来年度以降ですね」となることもよくあると思います。メルカリでは、基本的に3ヶ月単位で新しいOKRを設定して進捗を確認しながら業務を進めていきますよね。今までの1年間がこの3ヶ月で進んでいく感覚じゃないですか。もちろんミッション、ロードマップのような中長期的な目標もありますけど、その中長期的な目標達成に向けて、短期の目標を設定して、定期的に進捗を確認しながら進めていくというところがこのスピード感を生み出しているのかなと思います。こうすることで、業務を後回しにできないということもありますし、今その目標に向けて何をしないといけないのかということもはっきりします。行政と民間という違いは置いておいて、お二人がメルカリで働いてみてこういったところが派遣元と大きく違うなと感じたことって何ですか?

【ミッション】

メンバー全員の手によって達成したいミッションとして、「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」ことを掲げています。

【ロードマップ】

メルカリでは経営陣とメンバーのベクトルを合わせるための指針としてロードマップが存在します。

麻空> 「戸籍上の家族」以外に対する休暇に理解があるところですかね。パートナーや犬・猫など、自分が家族だと思っている対象への敬意と理解があることは、仕事のパフォーマンス向上に一役買っていると思います。派遣元という括りではなくて、人それぞれの価値観によるところが大きいと思うんですが、やっぱり多数派に同調しちゃったり「多分、これが普通なんだろうな」って先回りして取り繕っちゃうことが多いと思うんです。メルカリの皆さんは自分とは違う価値感であっても、共感と「学び」という概念をもって受け入れてくれる、これはすごいことだと思っています。

柳原> 確かに!まさに、ダイバーシティ&インクルージョンですね!だからメルカリの皆さん、ワークライフバランスも高くて、個々のパフォーマンスが最大限発揮できているんでしょうね。

嶋田> 私が派遣元と大きく違うなと感じたことでいえば、メルカリでは基本的に情報がオープンになっていて、必要な情報を自分で取りに行けるのが印象的でしたね。また、役職関係なく社員の方がSlack上でバンバン発言していて、たまに「そんなこと言っちゃって大丈夫?」と思うこともありました(笑)。だけど、そうした意見も尊重されていて、何より安心して発言できるカルチャーがあることで物事を良くする好循環が生まれているんだなと。まさにTrust & Opennessだと感じました。

【Trust & Openness】

メルカリが大切にしている信頼と透明性。相互の信頼関係を大切にし、情報の透明性が保たれ、組織もフラットに構築しています。

麻空> わかる。私、メルカリのカルチャーが大好きで、Trust & Opennessが礎にあるからこそ成り立っていることが多いと感じています。私のメルカリ愛はメルカンでもお話させていただきました。後編に続く

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プロフィール

麻空 公美子(Kumiko Asasora)

メルカリ政策企画。2010年徳島市役所入庁。住民課において戸籍等交付業務に従事。その後、再開発事業、公共工事の入札の業務を担当する土木政策課で執務するなか、徳島市の重要課題となっていた「中心市街地活性化基本計画」策定に向けた市長直轄の組織として2021年12月に設置されたプロジェクトチームのメンバーに抜擢され、立ち上げから2022年3月の内閣総理大臣の認定までの主要なメンバーとして携わった後、2022年4月から2023年3月までメルカリに派遣研修中。経営戦略室政策企画とD&Iチームに所属し、これまで自治体連携や「メルカリ教室」「メルカリ寄付」「メルカリShops」「無意識バイアスワークショップ」などの業務を担当。

柳原 浩亮(Kosuke Yanagihara)

メルカリ政策企画。大学を卒業後民間企業に就職し、ルート営業の経験を経て、2009年岐阜市役所入庁。資産税課で固定資産税賦課業務、農林園芸課、農林政策課では農林業振興業務に従事。直近の市民スポーツ課においては、スポーツイベントの開催など市民スポーツ振興業務を担当し、2022年4月から2023年3月までメルカリに派遣研修中。経営戦略室政策企画に所属し、これまで自治体連携や「メルカリ教室」「メルカリ寄付」「メルカリShops」のほか、不正対策など「メルカリ」の安心安全に関わる業務を担当。

嶋田 博之(Hiroyuki Shimada)

メルカリ政策企画。2016年独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)入構。企画管理部総務課で文書管理、情報公開業務に従事。その後、製品安全センター事故調査課で消費生活用製品が関係する事故調査を担当し、2022年10月から2023年3月までメルカリに派遣研修中。経営戦略室政策企画に所属し、これまで規制当局との渉外や「製品安全サポート」「NITEとの共同啓発」など、製品安全に関わる業務を担当。

 

これまでのメルカリへの派遣研修者の報告も合わせてご覧ください。

岐阜市

NITE経産省