未来のルールを創る - メルカリ政策企画インターンでの挑戦と学び

右から政策企画のインターンの小林さんと長浜さん

メルカリ政策企画でインターンとして参加いただいた小林 駿斗さんに、3ヶ月のインターン体験を振り返って記事を書いてもらいました。

大学生が外部から関わった立場からのご意見は、内部で働いていると気づかない示唆もあり、いただいた原文をなるべく活かして記事化しています。

このため、メルカリグループや政策企画チームとしての意見を代表するものではないことにご注意ください。

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メルカリ政策企画の長期インターンとして参加させていただいた、小林 駿斗です。

今回、3ヶ月間、メルカリの政策企画に所属し、特に個人情報保護法の「いわゆる3年ごと見直し」にかかわる業務に携わらせていただきました。また、個人情報保護法だけではなく、政策企画の様々な活動で貴重な経験を積ませていただきました。今回はこの3ヶ月の経験や、メルカリで学んだことを書かせていただこうと思います。

 

個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直し

私は今回「個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直し」に関わる業務をインターンで行いました。「個人情報保護法」と聞いても、あまりピンとこない方も多いと思いますので簡単に解説させていただきます。

日本の個人情報保護法(正式名称:「個人情報の保護に関する法律」)は、2003年に成立し、2005年に全面施行されました。法律はインターネットビジネスの普及とともに作られたものですが、成立以来、10年以上にわたり大きな改正はなされていませんでした。しかし、スマートフォンの普及や新しいビジネスの登場(例えばメルカリの創業は2013年です!)への対応が困難になってきました。

そこで、2015年に法律の大きな改正があり、さらに技術革新に対応できるように3年ごとに見直す規定がはいりました。これが、「個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直し」というわけです。過去には、2020年に見直しが行われ、そして今回2025年に向けて議論されています。

今回の大きな論点は、「課徴金制度の導入」「こどものデータ保護強化」「生体データ」「漏えい等報告・本人通知の軽減」「団体訴訟制度・被害回復制度の導入」などです(他にも多くの論点を抱えています)。

例えば、こどものデータ保護の強化です。判断能力が未発達なこどもに対して、意思を決定づけさせるような高度なプロファイリングをするのが「良くない」ことは自明です。しかし、事業者目線で見ると、すでに「取得済み」の膨大なデータをどのようにこどもで分類し、安全管理措置を講じるのか。現実的には非常に困難を極めます。

実は3年ごと見直しの検討会などは、メルカリのインターン参加前から傍聴をしていました。しかし、議論をどのように見ていけばいいのか、事業者として何が課題なのかという部分に関しては全く知りませんでした。

データを適切に活用しているのに、新たな規制によってデータの利活用が進まなくなる可能性がある。事業会社の政策企画としての責務の大きさを感じました。

 

政策企画でのインターン

政策企画が何をする部署なのかは、先輩インターンの記事にお譲りするとして、メルカリ政策企画(Public Policy)チームの中のFintechチームの一員としてどういうことに取り組んだのかをお伝えします。

左がメンターで政策企画の中井さん、右がインターンの小林

インターンシップ中は、サポートをしていただく「メンター」として中井 博さん(以下、中井さん)にご指導いただきました。

中井さんはメルカリ社内だけではなく、様々な団体に講師として招かれている個人情報保護法やデータプライバシーに関してのプロフェッショナルです。この3ヶ月で様々なことを教えていただきました。

特に、個人情報保護法の条文を最初から最後まで読む勉強会では、これまで曖昧になっていた部分や、その条文ができた立法事実などを学びました。勉強会を通じて、自分の個人情報保護法への理解の甘さをひしひしと感じ、一層勉強するモチベーションになりました。

さらに、インターンとして他社の政策企画職の方々との交流も担当しました。例えば、メルカリと同じ創業10年ほどのIT企業同士の政策企画交流会では、個人情報保護法に関わる政策課題のプレゼンの機会もいただきました。IT企業という点では一緒であるものの、業種が違えば、抱えている政策課題も全く違うことに驚くとともに、政策企画職の面白さを感じました。

また、懇親会の場では、今回の課徴金導入に際して、どのようなことを考えているか、どのようにすれば課徴金導入への不安が解消されるのかなど、実践的な議論もできて非常に楽しかったです。メンターの中井さんに個人情報保護法を特訓していただいた成果も出せました。

会議に出席した後は、議事録やスライドを作成して、全社に対して共有することも大事な役割です。個人情報保護法の改正は、法務部門やプライバシーオフィスなど多くの部門に関わってきます。政策企画内だけではなく、他の部署の方にわかりやすいように発信し、社内全体で理解を深める。メルカリの3つのバリューの一つである「All for One」そのものだと思います。

その他にも、個人情報保護委員会が民間企業からの意見を聞く場の一つである民間団体ワーキンググループで議論されている内容を聞いたり、他社を巻き込んだ合同勉強会への参加など、メルカリだからこそできる経験をさせていただきました。

外部の活動だけではなく、メルカリ社内のプライバシーや個人情報保護法に関する社内会議にも出席しました。新しくやろうとしているプロジェクトが、個人情報保護の観点や政策企画的な観点からみて大丈夫かどうかを確認するのも、政策企画チームの重要な責務です。

また、政策モニタリング調査では、モニタリング対象の選定から、実際のモニタリングまで担当させていただきました。スマホソフトウェア競争促進法の成立に伴い、メルカリとして、どのようなポジションをとるべきなのか、注目する情報はないかを逐次確認しました。

そして、インターン期間の最後には、政策企画内でプラットフォーム規制についての勉強会を開きました。私はスマホソフトウェア競争促進法を担当し、法律の条文やGoogle、Appleの規約についてリサーチしながら、メルカリへの影響を評価しました。限られた時間で法改正のポイントを伝える方法や、政策企画チームの皆さんに興味を持ってもらうためのアプローチを考えました。政策企画の方々からも評価をいただきました。

発表スライド

メンターの中井さんやマネージャーの上村 さん、そして政策企画の皆さんのおかげで、インターンながら様々な「Go Bold」なチャレンジをさせていただきました。

 

同期インターンたちとの出会い

この3ヶ月で、たくさんの同期のメルカリインターンたちと交流がありました。

何よりもかけがえのない経験となったのが、同じく政策企画のインターンとして働いた長浜 結宇さん(以下、長浜さん)との出会いです。

政策提言活動やパブリックアフェアーズに興味がある同年代の友人に会ったのは、実は長浜さんが初めてでした。すでにご自身でも研究をしたり、欧州のAI規制について勉強会を開いたりしているそうで、尊敬できる友人です。(詳しくは、12月に出る予定の長浜さんのインターン体験記をご覧ください。)

長浜さんだけではなく、メルカリの優秀な学生インターンとも出会いました。

ご承知のとおり、メルカリはIT企業ですので、インターンのほとんどはエンジニアです(しかも、多国籍で日本出身だけではなく、インドの方もたくさん!)。

例えば、インターンの立場でメルカリ社内イベントを主催している方や、自分でサービスを作って起業し、資金調達までしている方など、同年代の野心的な活動に大変刺激を受けました。この出会いを大切に、インターン卒業後も仲良くできたら嬉しいです。

一方で、インターン生や他の部署の方と関わる中で、政策提言活動の課題も感じました。

例えば、自己紹介で、「メルカリのPublic Policyチームのインターンです。」と言っても、基本的に「Public Policyって何をやってるんですか?」「そんな部門があるんですね。」という反応で、まだまだパブリックアフェアーズの分野は知られていません。

ルールに従うのも大事だが、社会に合わせて変えることも必要。

「社会の枠組みに囚われない若い人こそ、政策企画」ということで、さらに広めていく必要を感じました。

メルカリ ハロのインターンイベントにて

 

最後に

この3ヶ月間、非常に濃密な時間を過ごさせていただきました。

メルカリ政策企画の大きな魅力は「社会との結節点」であるということ。そして自社だけの利益ではなく、「社会」という目線を持って、未来のルールを創っているということ。

メルカリで学んだ様々な経験を糧に、これからも勉強していきたいと思います。

最後になりますが、マネージャーの上村さん、メンターの中井さん、インターンの長浜さん、そしてインターンで関わっていただいたすべての皆さんに、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

(小林 駿斗)