【文部科学省派遣研修報告】すべての人の可能性を広げる「よりよい学び」を目指して~大胆な挑戦と自己成長への道しるべ~

メルカリでは、2025年1月から2025年6月まで、文部科学省から初めて、職員の派遣研修を受け入れました。今回は、この派遣研修に参加した太田叡さんに、メルカリへの派遣で何を感じ、何を学んだのか、どう生かしていこうとしているのかを記事にしていただきました。

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メルカリ政策企画に派遣研修で来させていただきました太田叡です。

もともと、メルカリへの研修を希望した理由は、2025年1月の記事で書かせていただきましたが、加えて、個人的な理由として、「どうキャリアをデザインしていくか」ということを考えたときに、民間企業の立場で、また大胆な挑戦を続けられているメルカリで、意思決定の過程や仕事の流れ、企業のカルチャーを学びたいという側面がありました。

半年間の研修期間を通して、これらの研修への動機に対して、本当に大きな学びがあり、大きな財産となると同時に、微力ながら個人としての経験も活かして、メルカリを通した社会への還元も行うことできたのではと感じています。

具体的に何を行い、何を学び、何を還元できたのか、僭越ながら記事を書く機会をもらいましたので、あくまで個人の感想として、半年間の派遣研修の報告を書かせていただきたいと思います。

 

教育現場の資源が循環する仕組みの構築

1月にメルカリに来ましたが、ちょうど近いタイミングでメルカリと政府機関との間で研究機器の循環について議論がなされている案件があり、文部科学省からの派遣という立場も活かして、この議論に参画しました。

現在、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局では、大学をはじめとする研究現場における、研究設備・機器をより有効に活用できるよう検討が進められています。科学技術・イノベーションは、日本の経済成長における原動力であり、社会課題の解決や災害への対応などにおいてもその重要性が一層増しています。その中で、メルカリとして何かできることがないかと考えた時に、大学と連携した「メルカリShops」の活用を通して、研究設備をはじめとする大学の資源の循環を促進する取り組みに貢献していけないかと考えて、大学の初めての「メルカリShops」開設に向けた調整に取り組みました。

その結果、愛知県公立大学法人との連携の機会をいただき、2025年6月5日「環境の日」に大学として初めて「メルカリShops」開設の事例が誕生しました。

これは、大学の限られた資源を最大限活用し、学生の学びや研究に還元できる取り組みであると同時に、多様化する大学の財源に対して新たな選択肢を提示する取り組みにもなります。今回の事例を皮切りに様々な大学に広がり、学生の学びがより良いものとなる一助となることを願っています。

 

「企業の公共的活動を問う」~大阪大学ELSIセンターと連携~

メルカリへの派遣研修を希望した理由の一つとして、「社会状況が大きく変化する中で社会の本物の課題から学ぶ、社会とつながる学びを提供したい」「子どもたちがワクワクする主体的な学びの実現に繋げたい」という思いがありました。

メルカリでは、「あるゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」をグループミッションとして、循環型社会の実現に取り組まれており、その一つとして、「買う」「使う」「捨てる」ことに対する意識をよりサステナブルなものにしていくことを目指し、モノやお金の価値を学べるコンテンツ「mercari education」が提供されています。

私自身、重要性がより増しているトピックに対して、本物のマーケットを題材として学ぶことができるこのコンテンツに大きな魅力を感じており、このコンテンツを社会に展開することで、よりより学びに繋げ、また企業と学校が連携しやすくなる土台を少しでも築いていけないかと考えていました。

一方で、実際にメルカリで関わる中で、様々な課題感も見えてきました。

その中で、メルカリの研究開発組織「mercari R4D」と大阪大学社会技術共創研究センター (以下、ELSIセンター)が2020年9月より共同研究を開始しており、2025年7月にはELSIセンターに「メルカリR4Dラボ・大阪大学協働研究所」が開設されるという動きを捉え、ELSIセンターとこのような課題感を共有する機会を得ました。その際、問題意識やこの問題を研究テーマとすることへの社会的意義・関心が一致し、教育をテーマとして、企業の公共的活動を問う共同研究を実施しました。

具体的な、共同研究へのアプローチとしては、有識者への個別インタビューによる対象ケースの普遍性と特殊性について示唆を導くアプローチと、有識者との協働によるロジックモデルの構築というアプローチを取りました。

有識者への個別インタビューでは、企業、学術、学校現場など広い分野の有識者の方々にインタビューを行い、数多くの示唆を得ることができました。

また、ロジックモデルの構築にあたっては、メルカリの教育の取り組み「mercari education」を題材として、メルカリで取り組んでいる内容をインプット・アクティビティ、それによって生まれる影響や効果をアウトプット・アウトカムという形で、教育の取り組みの行動原理、価値を検証しました。

研究内容については、是非Youtube動画もご覧ください。 

 

また、2025年6月6日には、大阪大学において「ワークショップ~メルカリと考える「学び」のカタチ~」を、メルカリも協力して実施しました。

この内容については、是非こちらの記事をご覧ください。

 

mercari educatonの普及と活用に向けて

前述の通り、メルカリへの派遣研修を希望した理由の一つとして、メルカリが提供するコンテンツ「mercari education」の存在がありました。

「mercari education」の普及と活用に向けて、このコンテンツへの学校現場からの評価や率直な声をいただける機会があるといいのではと考え、2025年1月に出前授業を実施した岐阜市において、その振り返りや、メルカリの教育の取り組みについてご意見をいただく場として、岐阜市教育長や校長先生、関係者の方々との座談会を実施しました。この座談会は本当に貴重な示唆をいただける場となり、特に「点ではなく線」となる学びの重要性に関するご意見は、とても心に残りました。

また、ここでいただいた意見も踏まえて、関係省庁や、大学などの教育機関とも具体的な連携に向けた意見交換を実施しました。

これらを通して、お互いが抱える課題やニーズをしっかりと共有し、理解をしたうえで、全員が連携してよりよい学びに向けて動いていく必要性を強く感じました。

また、このような取り組みにあたっては、前提として、会社の中での浸透も重要だと思います。今回の派遣研修にあたっては、社内向けに教育政策の現状や、メルカリの教育の取り組みの価値の説明も担当しました。

正直に振り返ると、思い描いたような貢献ができず、積み重なる課題に気づかされた部分の方が大きかったですが、研修という面ではそれらの課題に気づけたことが財産となり、またその中でもここに書いているような、Go Boldな挑戦はできたことは良かったと感じています。

ここまで、「mercari education」というコンテンツを形作られてきて、なお、取り組みを推進力をもって続けられている、政策企画参事の齋藤 良和さんからは多くのことを学ばせてもらいました。ありがとうございました。

 

寄付文化の醸成に向けて

研修期間では、「メルカリ」での売上金を寄付先を選んで簡単に寄付できるサービス「メルカリ寄付」についても関わりました。「メルカリ寄付」は、今書いている「merpoli(メルポリ)」の編集長でもある高橋亮平さんが提案され始められたサービスで、「メルカリ」のアプリ内で簡単に寄付体験ができることが特徴です。寄付については、寄付文化の醸成に向けて政府でも検討が進められていますが、この間、文部科学省や文化庁とも意見交換の機会をいただき、文部科学省寄附検討チームのnoteでも取り上げてもらいました。

一人一人が簡単に体験し、その体験が次の寄付へと繋がり、いつしか大きな力となっていく、そんな可能性が秘められているサービスだと感じました。

 

業務の効率化に向けたAIの活用を考える

メルカリへの派遣研修は、これまでのキャリアの中で最もAIの活用を考えるタイミングにもなりました。社内でもAIの活用が急速に進み、環境も整う中で、日々の業務や、政策企画全体の業務にAIをどう活用して、自動化・高度化を行うかを集中的に考えることができました。

今回の派遣研修がなければ自分自身AIへの理解がここまで進む事はなかったですし、AIを使うことでここまで業務のスピードや質が変わるのかと大きな驚きがありました。

その中では、社内で行われた政策企画のAIハッカソンのチームの取りまとめや、個人としては、日本ディープラーニング協会が実施する、AIの活⽤リテラシー習得のための検定試験であるG検定に合格するなど、貴重な経験をしました。

この経験は、是非派遣元に戻っても業務の効率化に活かしていきたいと思います。

 

メルカリのカルチャーと新たな人との出会い・繋がり

上記の通り、本当に多くの挑戦をし、多くのことに関わらせてもらいましたが、最も財産となったのはメルカリの同じカルチャーの中で働くことで、カルチャーを身をもって感じることができたこと、またその中で、新しい人との出会いがあり、新たな繋がりを持つことができたことです。

中でも、政策企画マネージャーの今枝 由梨英さん、政策企画参事の齋藤 良和さん、政策企画参事の高橋 亮平さんには、受け入れから日々の業務まで本当にお世話になりました。この場を借りて御礼を申し上げます。

2025年5月には、文部科学省から若手職員の研修も受け入れました。官民が連携し、お互いに学ぶことは、今後のキャリアの中で本当に価値あることだと、半年間の派遣研修を振り返って感じています。

半年間、ありがとうございました。(太田 叡)