政府による「リユース等の促進に関するロードマップ」(以下、リユースロードマップ)が、今年度中に新たに策定されることとなり、その方向性が公表されました。
リユースロードマップは、公表された「方向性」を踏まえ、引き続き検討会において議論を行い、2025年度中の策定が目指されるとのことです。なお、このリユースロードマップは2040年までの長期的な取組方針についても策定される予定です。
今回の記事では、リユースロードマップの「方向性」が策定された背景にも触れながら、その意義や内容についてご紹介します。
出所:環境省HP「リユース等の促進に関するロードマップの方向性(案)について」(2025年6月20日)特段の注釈がない限り、記事内の図表は以下同じ
検討スケジュール
環境省は、「使用済製品のリユース促進に係る検討会」を2024年度から開催し、リユースを取り巻く状況の整理と、適切な使用済製品のリユース促進に向けた方向性の検討を進めてきました。さらに、2025年1月からは、浅尾慶一郎 環境大臣がリユース関係者と直接意見交換を行う「リユース促進に向けた懇談会」を計4回開催(メルカリも第2回に参加)。これらの検討会や懇談会で得られた知見や意見を踏まえ、「リユース等の促進に関するロードマップの方向性」が2025年6月に取りまとめられました。
この「方向性」を基に、今後も検討会での議論が続けられ、2025年度中に正式な「リユース等の促進に関するロードマップ」の策定が目指されています。
「方向性」の概要

今般示された「方向性」では、主に2030年までに実施すべき対策の方向性案が整理されていますが、ロードマップでは2040年までの長期的な取組も含めて策定予定です。
①事業者、②自治体、③消費者、④全般それぞれの取組に関する指標が設定されます。
【現状と課題意識】

国内のリユース市場規模は順調に拡大しており、2023年には3兆1,227億円に達し、2030年には約4兆円(中古住宅市場と同等)に達すると予想されています。古物営業許可件数も2023年末には52万9,024件と、前年比で約4.5万件増加しており、リユース事業に参入する個人・法人共に増えています。
一方で、2024年度に環境省が実施した消費者アンケートでは、過去1年間に中古品を購入した経験がないと回答した人が71.2%に上り、リユース市場が拡大しているにもかかわらず、消費者の約7割はリユースを経験していないという現状があります。
また、循環経済関連ビジネスの市場規模を2030年までに現在の約50兆円から80兆円に拡大するという政府目標(成長戦略フォローアップ工程表)や、付加価値の高いリユースビジネスの支援、自治体との協働取組倍増(循環経済への移行加速化パッケージ)といった政策目標も背景にあります。
このような状況を踏まえ、リユースを一層社会に浸透させるための具体的な道筋を示すものとして、今回のロードマップ策定が進められることになりました。
「リユースロードマップの方向性」の主要な柱
今回公表された「リユース等の促進に関するロードマップの方向性」は、主に以下の①〜④の柱で構成されており、リユースの「当たり前」化に向けた包括的な施策の方向性を示しています。

①〜④の具体的な施策について、以下でご紹介します。
①消費者のリユース取組の促進

消費者のリユース経験率が約3割にとどまる現状を踏まえ、消費者がリユースを「当たり前」に選択できる社会を目指すとされています。こうした動きは、リユース関連事業者が消費者の方にいかに参画していただくか考えるうえでも、参照しておくべき点といえます。
- 「リユース先行自治体(仮)を選定」:民間事業者とリユースに関する協定を締結する自治体を300→600へ。さらにリユース先行自治体を選定。
- 情報発信・教育の促進: 官民連携により、多様なリユース回収ルートや買取形態の認知度を高めます。また、リユースが環境や社会に良いというメリットを分かりやすく発信し、小・中学生等の若年層を対象とした環境教育・啓発活動を推進します。
- キャンペーンの実施: 「リユース月間」や引っ越し、衣替えの時期に合わせた「集中啓発期間」を設定し、企業・自治体と連携したリユース促進キャンペーンを展開します。
② リユース市場の拡大に向けた需要創出

リユースの裾野の拡大のため、2つの方針が掲げられています。
- ビジネスモデル事業創出支援: シェアリング、リペア、リセール、リファービッシュといった、製品の長期利用に関連する新たなリユースのビジネスモデルの創出に向けたモデル事業の展開。また、遺品整理や生前整理における不用品の回収・リユースは、高齢化社会を見据えた新たな需要として注目されています。
- 公共調達の推進: 国や自治体が公共調達においてリユース品を積極的に購入する事例が少ない現状を受け、「グリーン購入法」の基本方針見直しの中でリユース基準の拡充を検討し、需要を創出。
③リユース事業の信頼性の向上
安心・安全なリユース市場の創出に向けて、以下2点の方向性が示されています。
- 優良事業者ガイドラインの策定: 優良なリユース事業者の取組が適切に評価される仕組みを構築するため、国が評価を行う優良事業者ガイドラインを策定し、優良リユース事業者やオンラインプラットフォーマー等の支援
- 不適正事業者への指導支援: 自治体による不適正事業者(違法な廃棄物回収業者等)への指導を支援するため、セミナー開催や啓発チラシ作成などを実施
④ リユース促進に向けた基盤づくり

リユース促進のための各種調査や情報整備を通じて、制度的・情報的な基盤の強化の取組が示されています。
- 環境負荷低減効果に関する情報整備: リユースによるGHG排出削減などの環境保全上の効果について、事業者が活用しやすい算定手法の整理や、CO2削減効果の算定事例集の作成
- 関連法令調査・課題整理: リユース促進を阻害する法令上の課題について調査・整理
- 国内外の状況調査: 越境ECを通じた海外へのリユース品販売は、外貨獲得の手段としても注目されており、この分野の課題・施策の調査・検討
リユースの促進に向けた検討の方向性について


出所:環境省HP「適正な使用済製品リユースの促進に向けた検討の方向性・論点整理
(中間とりまとめ)」(2025年6月)
2025年度の使用済製品のリユースの促進に係る検討会(第1回)では、2024年から開催されていた「適正な使用済製品リユースの促進に向けた検討会」の中間とりまとめ資料も公表されています。本内容では、時間軸・主体別の取組事項も紹介されており、令和7年度もこちらの検討会においてリユースロードマップが検討されていく予定です。
今回の記事では、2025年度中の策定が目指される「リユースロードマップ」の背景と方向性について解説しました。 このロードマップは、リユース市場が2030年、2040年と長期的に大きく成長していくための消費者・事業者・自治体のそれぞれの取組の羅針盤ともいえる存在となると思います。
merpoliでは、引き続きサーキュラーエコノミーの実現に向けた政策動向や、リユース市場の活性化につながる情報を発信していきます。
(今枝 由梨英)