デジタル庁「デジタル法制ラボ」にメルカリもゲスト企業として参加

今回は、デジタル庁が開催した法令データコミュニティ「デジタル法制ラボ」の第3回に、メルカリがゲスト企業として参加した際の様子をレポートします。

「デジタル法制ラボ」開催の背景

現在、デジタル庁では「e-Gov法令検索」や「法令API」を通じて、誰もが最新かつ正確な法令データにアクセスできる環境の整備を進めています。一方で、そうして公開されたオープンデータが、実際のビジネスや法務の現場でどのように利活用されるべきかについては、まだまだ大きな可能性を秘めています。

そこで、法令に向き合う実務現場の課題と、テクノロジーを知るエンジニアを接続し、新たな可能性を探るコミュニティとして設立されたのが「デジタル法制ラボ」です。

第3回のテーマは「プラットフォーム規制」×「法令」。メルカリからは、政策企画、Privacy Office、Legalのメンバーが登壇し、プラットフォーム事業者が日々の業務で直面している課題をコミュニティの皆さんに提供しました。

メルカリが抱える「2つの課題」

今回のワークショップでは、メルカリが実際に抱えている以下の2つの事例を共有しました。

課題1:取引DPF法の事例

1つ目は、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(取引DPF法)」に関する課題です。この法律は、ネット通販等で消費者と販売業者の間でトラブルが起きた際、消費者を守るための重要な法律です。

しかし、実務においてはこの法律の解釈や適用範囲を特定するのに多大な労力がかかります。

現在の条文に至るまでの流れを正確に把握するためには、法律の改正履歴や、その背景にある改正理由・審議会情報などを時系列で整理する必要がありますが、それらの情報は容易には集められません。

また、「個人と販売事業者を分ける基準」や「行政が情報開示を行う対象項目」といった具体的な内容を他法例と比較するために確認する際、膨大な他法令や規制の中から必要な情報を探し出すことは困難です。

課題2:個人情報保護法の事例

2つ目は、個人情報保護法に関する課題です。企業は、個人データの漏えい等が発生し、「個人の権利利益を害するおそれが大きい」場合には、個人情報保護委員会への報告義務があります。

では、具体的にどういうケースがそれに該当するのでしょうか?

施行規則を見ると「不正の目的をもって行われたおそれがある」場合といった記載がありますが、条文だけでは具体的な基準がわかりません。

実務では答えを探すため、法律の条文から施行規則、ガイドラインに記載された事例、さらにはQ&Aに至るまで、階層を深く潜って情報を探しにいく必要があります。情報が各所に散在しているため、法令、各省庁HP、国会資料、実務情報などを横断的に検索し、見落としなく整理することは初見では特に困難を極めます。

エンジニアとの協働

ワークショップでは、これらの現場課題を起点に、参加したエンジニアの方々と少人数のチームに分かれ、解決策のディスカッションを行いました。

議論の中では、エンジニアならではの視点から、法令そのものだけでなく、国会・審議会情報、施行規則、ガイドライン、Q&Aといった関連する一次情報を横断的に収集・整理する仕組みや、改正の背景やそれが実務に与える影響を把握しやすくするための可視化といったアイデアが示されました。

プラットフォーム規制の分野においては、法令を単体で見るのではなく、周辺にある関連資料まで含めて「接続して扱うこと」が、実務にとって非常に重要であることをお伝えしました。

今回のデジタル法制ラボを通じて、法令に関する現場課題を持つ企業と、技術を持つエンジニアが直接話し合い、短い時間でアイデアを出す場の重要性を強く実感しました。

また、こちらの取り組みはデジタル庁のnoteでもご紹介いただいています。

https://digital-gov.note.jp/n/n3ed7cced3584 

複雑化するビジネス環境の中で、テクノロジーを用いて法令データを利活用できる余地はまだまだあります。メルカリは今後も、こうした官民連携の取り組みを通じて、社会課題の解決に貢献していきます。

(小林 駿斗)