【川俣町長インタビュー】震災復興、現在の町の様子、寄付金の使い道など伺いました

東日本大震災で被災された岩手県陸前高田市、山田町、福島県川俣町が、今年の3月11日に「メルカリ寄付」の寄付先に加わりました。

「メルカリ寄付」を通じて寄付をいただいた皆さまありがとうございました。

今回は、このうち、福島県川俣町をメルカリ政策企画岡本とソウゾウ政策企画の布施で訪問してきました。実際に見てきた町の様子や、藤原一二 町長に伺ってきたお話をご紹介します。

川俣町は、福島市の南東に位置し、里山に囲まれ町の中心部に広瀬川が流れる自然豊かな町で、人口は約13,000人です。

現在でも絹織物業が盛んで、古くは飛鳥時代に崇峻天皇の后「小手姫」様から持ち込まれたと言われており、江戸時代に全国有数の絹の生産地となった場所です。この絹織物は、明治時代には国の一大輸出品にもなりました。

町のシンボルである花塚山は、富士山の見える最北限の山として、カメラ持参の登山者が多くなっています。

福島駅東口から町中心部の町役場までは、バスで約40分です。

川俣町については、今年3月にも紹介記事を書きましたので、こちらの記事も合わせてご覧ください。

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藤原一二 川俣町長(以下、町長)のお話

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SDGsを重視した、安心して暮らせるまちづくり

町長> 川俣町では、SDGsを重視し、持続可能な発展を目指したまちづくりを志向しています。予算もSDGsに関連付け、福祉やインフラなどの面でまちの将来に投資するに当たり、誰もが川俣町で暮らせるよう心がけています。また、町の職員の中でSDGsに関する勉強会も開催しています。

安心して暮らすことができるまちづくりの面では、医療・福祉、教育を整えることが不可欠です。川俣町では少子化が進む中、子どもたちの望ましい教育環境づくりのため、4つの小学校を1校に統合します。また、認定こども園の整備も進めています。こうしたことを通じて、幼児教育・学校教育を充実させています。

また、幸いにして病院や福祉施設も充実しており、子育て・医療・福祉の環境を整え、暮らしやすいまちづくりを進めています。

 

山木屋地区の現状と川俣町の復興

町長> 原子力災害を受けて避難指示が出た山木屋地区は、避難指示が解除されてから4年が経過しました。もともと1,200人程度の方が暮らしていましたが、現在は340人程度となっています。そのうち65%が高齢者です。そのため、農業が主要産業であった山木屋地区に農業従事希望者を迎え入れるなど、移住・定住を進めています。山木屋地区では、トルコギキョウやアンスリウムなどの花き栽培、飼料作物のほか、花とイチゴの観光農園、コメ栽培などの新たな動きも出ています。

川俣町は全町避難ではなく山木屋地区のみに避難指示が出されましたが、国との間では、川俣町全体が復興して初めて町の復興であると約束してきました。山木屋地区の復興を重点的に進めていますが、一方で避難指示が出なかった町の中心部には空き地や空き家が増えました。高齢化の影響もありますが、震災以前は近隣自治体の方が川俣町の中心部にある商店を活用してくださっていたところ、近隣自治体全域に避難指示が出るなどし、商店のお客様が減少してしまいました。

私が町長になる際にも、こうした地域を活性化してほしいという声がありました。現在、町の中心地が移住・定住の拠点となるように、国の支援を受けながら移住・定住支援事業を進めています。

他方で、福島市から川俣町に入る途中の国道沿いには大規模な店舗もありますし、町内には植物工場を始めとして震災後に誘致できた工場もあります。人口の減少率が県内で2番目ではあるものの、昼間人口は多く、福島市寄りの商圏が発展しているなど、商売の面で魅力がまだまだあります。

 

(町の様子1)福島市寄りの商圏(メルカリ・岡本のコメント)

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道の駅かわまた

福島市から国道114号線を通って川俣町に来ると、町の中心地の入口に「道の駅かわまた」があります。藤原町長のお話に出てくる大規模な店舗はその向かいにあります。

また、道の駅と同じ敷地には農協の直売所もあり、お土産品のほか、町の様々な農産物が購入できます。

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特上モモ肉炙り親子丼

道の駅には「shamoll」という食堂があり、町の名物「川俣シャモ」の親子丼などが食べられます。是非お立ち寄りください!

なお、現在では、メルカリshopsで、道の駅の商品を購入することも可能です。

道の駅かわまたシルクピア」という名前で出店されていますので、よろしければ購入してみてください。

※QRコードをスマートフォンで読み取っていただくことで、メルカリShopsの画面に進むことができます。メルカリShopsを開くにはメルカリアプリのインストールが必要です。

 

 

「メルカリ寄付」でいただいた寄付金の活用について

町長> 「メルカリ寄付」でいただいた寄付金は、山木屋地区の「とんやの郷」の運営に役立てています。山木屋地区は面積の広い地域で、「とんやの郷」は地域住民の買い物や食事のほか交流に役立っている施設です。食事は地元のお母さん達による手料理で、味も評判ですが、地元の人が笑顔で元気に暮らせることが何よりです。地域の皆さんでできる限り運営していますが、それだけでは足らない部分もあり、寄付金を活用させてもらっています。

 

(町の様子2)とんやの郷(メルカリ・岡本のコメント)

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とんやの郷

町の南東に位置する山木屋地区の中央に、「メルカリ寄付」の寄付金も活用されている「とんやの郷」はあります。

施設では日用品や食品とともに、山木屋地区で栽培されている「アンスリウム」も販売されており、住民の方が納品に来られるなど、地元の方々に頻繁に利用されている様子でした。

また、街道沿いということもあり、お昼時には、併設されている食堂「おきがる亭」にお客様が多くいらっしゃっており、住民だけでなく、周辺で働かれている方々にとっても不可欠な施設になっているようでした。

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地元の黒米

「とんやの郷」の施設の方に勧められ、地元で採れた黒米を購入しました。白米に混ぜて炊くことで、もちもちプチプチの美味しいごはんをいただけました。

 

 

農業とEC

町長> 川俣町の農業では、花や米を中心に栽培しており、ミニトマトやきゅうりも作っています。自家消費の野菜も多く作られており、自分も、町内で作られたはちみつや卵を購入しています。

しかし、自家消費のために作った野菜は、余ってしまうこともあります。自分でも、余った作物を離れたところに住む親族に送ることがあります。そのように送ったふるさとの味は喜ばれることが多いです。多く採れた自家消費の野菜を販売できる先があると良いと思っています。

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今回お話を伺う機会をいただきました藤原町長を始め、お忙しい中お時間をくださった町の皆様に改めて感謝いたします。

メルカリ政策企画では、これからも様々な形で東日本大震災の被災地の復興に貢献していきます。

(岡本 洋平)