今回は、先日の記事でご紹介したメルカリで取り組んでいる「リコマース総合研究所(以下、リコマース総研)」の記事をmerpoliでも掲載させていただくことにしました。
「リコマース総研」については、以下の記事も合わせてご覧ください。
リコマース総合研究所
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リコマース総研 主席研究員の志和 あかねと研究員の今枝 由梨英です。
6月7日に発表された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版案」の中で語られている「循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行 」についてリコマース視点で解説していきたいと思います。
そもそも「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」ってなに?
内閣府が発表する新しい資本主義の基本的な考え方(グランドデザイン)と、その基本的な考え方に基づく具体策(実行計画)をまとめたもの。簡単に言うと、日本の産業発展や経済成長に関する国の大方針を示した成長戦略になります。
成長戦略については、以下にmerpoliで過去に成長戦略について書いた記事がありますので、こちらも合わせてご覧ください。
「循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行 」の中でもリコマースに関するサマリー
【全般】
①リユースが循環型ビジネスの拡大の筆頭に
②リユース製品のトレーサビリティの向上
③環境負荷削減効果等の情報開示
④関連サービスのプラットフォームの活用など新たなビジネスモデルの構築を図る
【カテゴリ別で最も注目されているアパレル産業の対応について】
⑤家庭から廃棄される衣服の量を2030年度までに25%削減
⑥売れ残り商品の量・処分方法に係るアパレル企業の情報開示や、適正なリペア・リユース・リサイクルのための官民連携のルールづくり
ⅳ)循環型ビジネスの拡大 製品の長期的・効率的利用につながるリユース、リペア、リース、シェアリングエコノミー等を活用できる環境を整備することにより、ライフスタイルの転換を促進する。環境配慮設計の促進、環境負荷削減効果等の情報開示やリユース製品のトレーサビリティの向上、スタートアップを含む関連サービスのプラットフォームの活用など新たなビジネスモデルの構築を図る。 (中略) 家庭から廃棄される衣類の量を2030年度までに2020年度比で25%削減することを目指す。諸外国の規制の動向を注視しつつ、供給量の適正化を進めることも視野に、売れ残り商品の量・処分方法に係るアパレル企業の情報開示や、適正なリペア・リユース・リサイクルのための官民連携のルールづくりを進める。また、おむつのリサイクルを促進する。 |
「新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版案」が意味するところ
日本は「ものづくり」が盛んで高度な技術がある国ということもあり、3R( Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル))の中でもリサイクルとの親和性が高いとともに、資源回収業務が地域経済の一部をなしているため、リユースのような少量多品種を扱う業種よりも、リサイクルが早く業種として確立されてきました。自治体によるゴミの分別や、学校での古紙やペットボトル回収、家電リサイクル法での回収など、身近なところでリサイクルは進んでいます。一方でリユースは、リサイクルに比べて環境負荷が少なく、政策の優先順位が高いものの、中古品への抵抗感や修理して使うことの認知の低さや、世間的にマイナスなイメージもあり、普及が遅れてきました。
昨年6月に発表された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023改訂版」の中でも、リユースなどの具体的な記載はなく、「資源の効率的・循環的な利用 」という項目の中に“動静脈連携、企業の研究開発・設備投資等を推進する”という表現で止まっていました。
その一方で、循環型社会形成推進基本計画(5か年計画)の改定について議論される中央環境審議会 循環型社会部会では、昨年央からリユース市場の重要性が活発に議論されてきて、最終案ではリユース市場規模が重要指標として取り上げられています。また、自民党の環境・温暖化対策調査会 政策提言 「~循環経済を国家戦略に~」(2024年4月)では、循環経済への移行をコストではなく経済成長への機会と捉え、循環型経済ビジネスを拡大を目指すとしつつ、内容をみるとリユースにも多く言及されています。
今年改訂された成長戦略では、リユースが明確に国の成長戦略として掲げられ、リユースを促進するための具体的なルール作りや数値目標、プラットフォームの活用など新たなビジネスモデルの構築といったイノベーションへの期待が示されるなど、リコマース市場に従事する企業が指針となるものになりました。
政府は2030年までに、循環経済関連ビジネスの市場規模を、現在の約50兆円から80兆円以上とする目標を掲げていますが、循環経済ビジネスの中でリユース(リコマース)が果たす役割への期待はますます大きくなっています。
(志和 あかね、今枝 由梨英)