【政策企画メンバー対談】 メルカリ政策企画チームってどんなチーム?Withコロナの「新しい政策企画」の可能性は?(後編)

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メルカリ政策企画の仕事や役割について議論した、政策企画チームDirectorの吉川徳明と、政策企画参事で「merpoli(メルポリ)」編集長の高橋亮平の対談の後編です。(対談は6/1に実施)

前編はこちらからどうぞ

公器としてのメルカリと、民間企業が政策形成に関わる価値

吉川> 政策企画のメンバーの中には、事業支援に全力で取り組みつつも、個人としてパブリックなマインドを強く持っていて、「社会に貢献したい」「日本を良くしたい」「より良い政策・ルールの形成に貢献したい」と思っている人も多いですよね。いい政策や、いいルールを創るという、ともすれば日本では行政や政治だけが担うと思われている部分についても、メルカリ・メルペイの仕事を通して貢献していく。そこを頑張ると、一点目の社内外の信頼関係にもいい意味で影響があるかなとも思います。

高橋> そこ、凄くありますね。進太郎さん(山田進太郎 代表取締役社長)がよくメルカリを「社会の公器に」と話をしますが、メルカリってビジネス自体が公的なインフラとして社会課題を解決していく可能性を多く持っていると思っているんですよね。メルカリにとって新たな市場獲得にもなるんではないかと考え、入社半年後ぐらいから自治体との連携を提案して、現在ではメルカリは9自治体との協定を締結しています。こうした自治体との連携の取り組みは、ビジネス拡大の可能性とともに、社会と信頼関係を構築するという意味でも効果があると思っています。

教育実践の取り組みも含めて、政策企画チームには、こうしたパブリックマインドを持った人が多いというのは、確かに感じますね。個人的に、民間企業が政策形成に関わっていくことを「第三のルールメイキング」として必要性をうったえているのですが、吉川さんは経産省での経験も踏まえ、こうした民間が政策形成に関わる意義ってどう感じてますか?吉川> 政策をつくる時って、関係する省庁は、限られたスケジュール、政治や利害関係者の意見のバランスなど、非常に多くの制約のなか、限られたリソースで対応している現状があると思います。「いい政策」「いいルール」をつくるリソースは十分ではない状況とも言えるかもしれません。そうした観点でも、民間のリソースを活用して貢献できることがあるのではないかと思っています。メルペイでは、フィンテック協会などに、メルカリでは、経団連のスタートアップ政策タスクフォースなどにも参加していますが、このように、自社のためだけでなく「スタートアップのために」といった産業全体に貢献する活動も非常に重要だと思っています。

高橋> 私自身がメルカリに入社した理由の一つが「シンクタンクなどで成長戦略をつくって提言しても、絵に描いた成長戦略では、結局、実態が変わらなければ、経済成長につながらない。実際にビジネス側に入って、実態経済の中で成長モデルを創ること、また実体経済が本当に成長する成長戦略を創って行きたい」というものでした。もう一つが、CtoCやシェアエコなど、民間による公の役割を担う仕組みを創っていくこと、またこうしたことを実現するためにも、民間から政策をつくる仕組みを創ることでした。

経団連での活動もそうです。入社直後に小泉さんに経団連入会を提案したのですが、これもテコの原理のように、メルカリを通じた政策提言などが、より大きな仕組みを通じて、政策に反映することを意識してのものでした。経団連内のスタートアップ政策タスクフォースなどは、こうした想いが、本当に上手く形になったと思っています。例えば、東証の上場区分見直しに向けた検討においては、関係省庁、東証、経団連など、さまざまな立場の方々と議論した結果が、新市場区分に反映されたものと思います。吉川> メルカリでもこの2年間は、特に短期的な成果が示しやすい部分にフォーカスしてやってきました。今後の取り組みについては、メルカリの社外的な信頼を高めていく取り組みが重要になってくると思っています。社外のステークホルダーの方々と信頼関係を構築するにあたって、政策企画チームができることは多いと思います。一方で、社会におけるメルカリの役割や、公共政策的な側面が強い仕事も「会社にとって大事仕事だな」と、社内の他チームの方々にもより伝わるようにしていくことも大事だと思っています。

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Withコロナ時代における「新しい政策企画」を考える 

高橋> 「政策企画とは」みたいな話をすると、メルカリに政策企画チームを創った直後に、メルカリらしい政策企画のミッションからの落とし込みをやったことを思い出します。振り返ってこの資料を見ると、だいぶできるようになってきたなとも思ったりします。

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吉川> 政策企画の仕事には、「これが政策企画の仕事」という物があるわけではありません。勿論、コアになる仕事は、ロビー活動などではありますが、社外と社内の接点という立場で、情報が集まってきます。我々が情報を社外から持ち込むことで社内の議論を活性化したり、社内の変革を後押ししていきたいと思っています。領域に捉われずにやっていきたいです。

社内を見ていても、社外のさまざまなステークホルダーと継続的な対話を行っているチームは少ないです。メルカリの存在が社会のなかで大きくなってきているからこそ、会社としての判断にあたって、幅広い声を集めるべきで、今後は専門家や有識者の方々の声を集めるという部分も、政策企画の大きな役割だと思っています。

高橋> 新型コロナウィルスの影響で、メルカリは2月からWFH(Work From Home)推奨となり、在宅勤務がベースになりました。こうした状況下の中で、政策企画の仕事についても、withコロナ、afterコロナの中での新しい政策企画のあり方を模索していかなければならないと思っています。

また、政策企画チームでも、もっと社内におけるシンクタンク的な役割も担ってもいいのではないかと思ったりもするんですよね。

昨年、WIREDという雑誌に、「公共政策においても見本としたい日本企業の筆頭」って、政策企画チームを紹介してもらえたのも嬉しかったですよね。経産省や自治体からの職員の派遣研修も継続的に続くようになってきました。社会の公器として、信頼を高めるための新たな取り組みをどんどんしていきたいと思っています。政策企画では、今後もワクワクする仕事をしていきたいですね。吉川> チームのみなさんが、前例に捕らわれず、勝手に今までにない仕事をどんどん創っていくようになるといいですね。 

高橋> そうですね、政策企画チームにおいて、メンバーそれぞれが自分の強みを活かし、新しい仕事をつくって挑戦していけるといいですね。

今日はありがとうございました。

 

合わせて前編をお読みになる方はこちら

合わせてmercanの政策企画チーム紹介記事もどうぞ

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 吉川 徳明 (Noriaki Yoshikawa)

メルカリ会長室政策企画Director。2006年、経済産業省入省。商務情報政策局でIT政策、日本銀行(出向)で株式市場の調査・分析、内閣官房でTPP交渉などに従事。2014年からヤフー株式会社に入社、政策企画部門で、国会議員、省庁(警察庁、総務省、金融庁等)、NGO等との折衝や業界横断の自主規制の策定に従事、2018年4月、政策企画参事としてメルペイに参画、同8月にメルカリ政策企画マネージャー、2020年3月に現職。

 

高橋亮平(Ryohey Takahashi)

メルカリ社長室政策企画参事 兼 merpoli編集長。1976年生まれ。元 中央大学特任准教授。一般社団法人日本政治教育センター代表理事、NPO法人Rights代表理事、一般社団法人生徒会活動支援協会理事長。松戸市部長職、千葉市アドバイザー、東京財団研究員、政策工房客員研究員、明治大学客員研究員、市川市議、全国若手市議会議員の会会長等を経て2018年6月より現職。AERA「日本を立て直す100人」に選出。