【三島市職員インタビュー】フォロワー数6,000超、メディアにも注目される「メルカリShops」での粗大ごみ販売(後編)

「メルカリShops」販売で、市民や職員の反応はどう変わったか三島市に聞く

2023年9月から「メルカリShops」を使っての粗大ごみの販売を開始した三島市。

2024年3月末時点で「メルカリShops」で販売している30自治体の中で、三島市は、フォロワー数が6,050人で全国トップ、直近3ヶ月(2024年1月1日〜3月31日)の実績はフォロワー数、販売数、販売額が三冠となりました。

この間、実際に販売をしてもらい、どういった効果や反響があったのか、また実施に当たってどんなことを考え、どういった課題を乗り越えて実施していただいたのか、また実際に現場で起こっていることや工夫されていることなど、今回は、三島市の担当者である廃棄物対策課の山添 豊さんにお聞きしたインタビューの後編です。

前編はこちらから

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メディアに取り上げてもらうために記者などに頻繁に電話

メルカリ 政策企画参事 高橋 亮平(以下、高橋)> 三島市は、昨年9月の「メルカリShops」での粗大ごみ販売の開始から、全国放送も含めて本当に多くのメディアで取り上げられました。

お話でも、メディアへの露出が凄く大事だったと話をされていましたが、メディアに取り上げてもらうにあたって工夫されたり、担当者として行われたことがあれば教えてもらえますか。

三島市廃棄物対策課 山添 豊(以下、三島市 山添)> 販売開始の発表会を行う際に、メディアの方々に事業内容を説明した上で、当日取材に来てほしい旨の電話をしました。結果的に、多くのメディアが取り上げてくださり、フォロワーの増加や市民のリユース意識の醸成に繋がりました。その後、取材に来れなかったメディアも他メディアの放送などを見て「面白そうな取り組みだから取材したい」と直接電話をいただくことが増え、好循環が生まれていきました。

 

成果を出すことで、職員たちが「自分ごと化」して積極的に

高橋> 役所で新しいことするというのは、色々ご苦労もあったかと思うんですが、どういうことを苦労されましたでしょうか。 

三島市 山添> 一番は、業務量が増えたことですね。偶然なのですが、「メルカリShops」での販売が始まった後、人員が減ってしまったんですよね。

職員がいなくなることを想定して、できるだけ負担がかからないような仕組みにすることを真剣に考えました。そして、成果を出さないと「業務量が増えただけ」ということになってしまうので、成果を出すということにこだわりました。売れそうで、まだまだ使える物を中心に出品していると、テレビなどでも取り上げられるようになって、「この事業は効果あるね」「いい取り組みだ」と言われるようになりました。

最近では、現場の職員からも「これは欲しい人がいるから出してみたら?」と、積極的な商品の提案もしてくれるようになりました。三島のPRにもなるということも大きいかもしれないですが、今は反対意見は全くありません。

高橋> 現場の職員さんたちが積極的に自分ごと化してくれているというのは嬉しいですね。 

三島市 山添> 業務量は当然増えたのですが、メリットが多く、成果も出ているので、いい事業ができたと思っていて、現場の職員の方々には、本当に感謝しています。 また、業務量は増えましたが、これも他の事業を見直したり、スクラップする良いきっかけになったとも思っています。

 

置かれた状況で、アイデアを出しながら工夫して取り組む

三島市 山添> 工夫している点はいくつかありますが、メルカリさんの説明会で教えてもらったことが多いですね。例えば、写真撮影で「傷や汚れはできるだけ見せるようにする」というのはかなり重要だと思っています。購入者は傷や汚れを気にしますので、傷や汚れは丁寧に撮影するようにしています。その結果、引き取りの時に、現地で商品を見た購入者から「想像以上に綺麗で驚いた」と言っていただけることが多いです。

三島市 山添> また、商品の写真はできる限り自然光で撮影することや、白い板をホームセンターで買ってきて、それを後ろに置いて撮影していることもしている点だと思います。こうした工夫により、商品の写真も色がしっかり分かるようになりました。

また、小さな倉庫3つで商品の管理をしているのですが、全然量が入らないので、倉庫が満杯になってきたら、値下げしたり、安く出したりもしています。

そのため、本来高めの値段で売れそうな大きな家具は、「早く買って早く取りに来てほしい」という思いで、安く販売しています。 

こうしたことも、「倉庫が小さいからできない」ではなく、「倉庫が小さくても、じゃあどうやったらできるんだろう」っていうことを考えた中で、工夫しながらやっています。

なお、倉庫の満杯状況の解消方法として、実証的ではありますが、2月に即売会も開催しました。これは、複数の購入者から「現地で商品を見てから買いたい」という声をいただいたことがきっかけで行ったものですが、倉庫内の商品を一度に多く販売することができました。

 

最終処分場に行かせない、機械に負担をかけないが重要

左:現在の最終処分場、 右:建設時の最終処分場

高橋> 先日メディアに取り上げられた際に「約半年間で約400点が売れ、約3.5トンのごみ削減につながった。」と報じられていましたが、こうしたごみ削減量なども測られていたりするのでしょうか。

三島市 山添> ごみの減量を目的にしているので、こうしたリユース量についても測定しています。最新の3月末までの実績では約5トンのごみをリユースすることができました。

高橋> すごい実績ですね。こうしてごみ減量にも実際に効果が出ていることを我々、プラットフォームを提供している側としても非常に嬉しく思いますし、他の自治体はもちろん、今後の循環型社会推進に向けて大きな自信にもなります。

三島市 山添> 市役所としては、ごみが清掃センターに運ばれてきてしまうと、ごみ量としてカウントする必要がありますので、その意味ではごみの減量にはならないのですが、重要なのは、最終処分場にごみを埋めないことと、機械などの設備に負担をかけないことです。その意味では、この事業の効果は大きいと思っています。

また、清掃センターでは、有価で売れなくて逆に自治体側が費用を払ってリサイクルを事業者に依頼するというもの(逆有償)があるのですが、こうした費用も税金が使われているので、そういった費用を削減できることも大事なことだと思っています。

その意味でも一時的にということではなく、リユース事業をやり続けることがすごく大事だと思っています。

 

リユースの輪を広げるために

高橋> 他の自治体や議員の方からの問い合わせや視察なども増えていると聞きましたが、反響はありますか。

三島市 山添> 他の自治体や議員の方からの問い合わせは非常に多くいただいています。自治体からお問い合わせいただくと、高橋さんなどメルカリさんの連絡先をお伝えしているのですが、メルカリさんのご迷惑にはなっていないか少し心配していました。

高橋> むしろ感謝です。自治体から問い合わせをもらうと、三島市さんにも参加してもらったオンラインの説明会に参加してもらっています。オンラインではありますが、自治体で実施するのに不安や負担が少しでも軽くなり、ハードルが下がればと思いながらやっています。

三島市 山添> 事業の連携にあたり、メルカリさんほど親切に丁寧に制度説明してくれた民間企業は記憶にないです。 今回の「メルカリShops」での事業実施にあたってあそこまでフォローアップしてくれるというのは本当にありがたかったです。

自治体にとってリユースは非常に重要なテーマだと思っていますし、1つの自治体だけでは解決しない問題でもあります。全国的にリユースの輪が広がっていくことを願っています。 

高橋> 三島市がこの「メルカリShops」で粗大ごみ販売する自治体のリーディング自治体の1つになってもらっているのではないかと思っています。自治体現場にもいた人間からすると視察の受け入れなど負担もあると思いますが、ってもちろんプラスだけじゃなくてマイナスもあって、視察の受け入れや問い合わせ対応など負担もあるかと思いますが、「三島市が新しい良い取り組みをしている自治体」というブランディングにいい意味で寄与できているとしたらいいなと思います。

ありがとうございました。

高橋 亮平