フォロワー数全国1位、直近3ヶ月実績は三冠の三島市に聞く
2023年9月から三島市でも「メルカリShops」を使っての粗大ごみの販売を開始してもらい半年が経ちました。
今月、「merpoli(メルポリ)」に、自治体による「メルカリShops」での2023年度の販売実績をまとめた記事を公開しました。
2024年3月末時点で「メルカリShops」で販売している30自治体の中で、三島市は、フォロワー数が6,050人で全国トップとなりました。
販売数も530品で2位、販売額も667,000円で4位、商品へのいいね数も1,727いいねで2位と、大きな実績をあげています。
この間、実際に販売をしてもらい、どういった効果や反響があったのか、また実施に当たってどんなことを考え、どういった課題を乗り越えて実施していただいたのか、また実際に現場で起こっていることや工夫されていることなど、今回は、三島市の担当者である三島市廃棄物対策課の山添 豊さんにインタビューを行いました。
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正直、粗大ごみがここまで売れるとは思っていなかった
メルカリ 政策企画参事 高橋 亮平(以下、高橋)> 今月、「merpoli(メルポリ)」に、自治体による「メルカリShops」での2023年度の販売実績と2024年1月から3月の3ヶ月間の販売実績をまとめた記事を公開しました。三島市はフォロワー数が6,050人で1位になりました。とくに、直近3ヶ月(2024年1月1日〜3月31日)の実績で見ると、三島市は、フォロワー数は2,924人の1位はもちろん、販売数も269品の1位、販売額も332,000円の1位と三冠。商品へのいいね数も 826いいねの2位と、圧倒的な成果が出ているように見えるのですが、その要因を教えてもらえますか。
三島市廃棄物対策課 山添 豊(以下、三島市 山添)> 正直、ここまで売れるというのは、いい意味で全くの予想外でした。開始前に上司から「半年ぐらいで50万円ぐらい売れたらいいね」みたいなことを言われたのですが、その際に「いや、それは難しいと思います。お金はあまり求めてないので、ごみの減量に注力します。」みたいなことを伝えた記憶があります。一方で沢山の商品が売れており、ちょっと衝撃を受けてる感じです。 ここまで売れた背景ですが、一番はメディアへの露出で間違いないと思います。開始の際にも高橋さんから色々とアドバイスをもらいましたが、1回メディアに取り上げてもらうと数百人フォロワーが増えていきます。フォロワーが増えれば増えるほど商品が売れやすくなっていきますので、その意味でもメディアに出ることの重要性を改めて感じています。
三島市 山添> 私たちの本業はごみ処理の仕事ですので、「メルカリShops」での販売は、ある意味片手間でやってることになりますが、あらかじめ「購入する方が飽きないように、時期を決めて定期的に出していこう」と決め、週に1回、毎週木曜日か金曜日に継続して出品を続けています。定期的に出品を続けていることで、少しずつ注目してもらえるようになり、出品した瞬間に売れる商品が出てくるようになりました。1回の出品で10から20品程度の商品を出しているのですが、出品から次の出品までの1週間の間に、概ね9割以上の商品が売れてます。こうした結果を見ますと、定期的な出品は良いやり方であったのかなと思います。
ヒアリングなどでノウハウを蓄積し、より効果的な取り組みに
高橋> 山添さんは、元々「メルカリ」を利用されていたのでしょうか?
三島市 山添> 「メルカリ」では数回買ったことがあるぐらいでした。今回、三島市として「メルカリShops」での販売を開始するので、「メルカリ」上でどういったものが売れているのかを勉強しつつ、周りの「メルカリ」ユーザーにも聞いたりしました。また、三島市より先に「メルカリShops」で販売している自治体がいくつもあったので、そういった自治体の「メルカリShops」ではどういったものが売れているのかも研究しました。
一方で、三島市では、「ごみを減らしたい」という思いが第一だったため、ごみ処理において重要なのは重量であったり、清掃センターをより長く使っていくために、施設の消耗が激しいごみなどを減らすことが重要だったりしますので、その辺りも含めて色々と検討しました。
また、事業を開始した当初は、購入者に対してヒアリングを頻繁に行っていました。現地引き取りの形で実施しているため、購入者と直接お会いできるという貴重なタイミングがあるので、「どのような媒体を見て購入されようと思いましたか?」、「次に欲しい商品はどのようなものですか?」といったことをほぼ毎回聞いていました。こうしたことの積み重ねで、どのような商品が売れるのか徐々に掴めてきました。ヒアリングした情報は、現場の職員にも共有しながらやっていました。
高橋> マーケティングリサーチをやりながら業務を改善していってる感じですね。先程、1週間でほとんどの商品が売れてしまうというお話でしたが、逆に売れなくて出品をやめて処分するというものもあるのでしょうか?
三島市 山添> いくつかありますね。例えば、ガラス製のテーブルやベビーカー、ソファですね。ベビーカーやソファは、状態が良ければ売れますが、汚れや傷が目立つ場合は出品していません。ガラス製のテーブルは、状態が良くてもあまり売れません。こうした売れにくいものは出品せず、できるだけ早く売れるものを積極的に出品するようにしています。現状では売れ残って捨てたというものはほとんどなく、既に500品以上販売していますが取り下げて処分したものは10点程度だと思います。一方で、売れるか分からない初めてのものもテスト的に出品するようにもしています。こういうことを積み重ねながらノウハウを蓄積しています。 最近は、出品時間についても変えながら出品しており、例えば、これまでは午前中や夕方に出品することが多かったのですが、お仕事している人も買いやすいかなと考え、昼休みの直前とかお昼休み中に出し始めました。こうした出品のタイミングもさらに研究していこうと思っています。
「ぜひメルカリに出して」と持って来てくれる方も
高橋> これだけ売れていると市民からも反響や様々なお声もあったのではないかな思うんですがいかがですか。
三島市 山添> 三島市では、主に有料で清掃センターに搬入されたごみを販売しているのですが、「いい取り組みだから、ぜひメルカリで出してみて」といった声を時々いただきます。先日も綺麗な状態に清掃されたゲーミングチェアをわざわざ持ってきてくれた方がいました。こうしたことからもリユース意識が醸成されていることを感じます。また、多くの自治体や議員の方からも多くの問い合わせをいただいています。
「挑戦していいんだ」「失敗してもいいんだ」と思える環境に
高橋> 市役所の中での職員の皆さんの反応はどうですか?
三島市 山添> 庁内では「メルカリの人だ」と言われています。 職員の勉強会みたいなものがあるのですが、「メルカリとの連携事業、面白いからちょっと話をしてよ」と言われて、職員向けに話をしました。
公務員なので、給料が上がるというようなことはないのですが、何度かテレビに出たので、「テレビで見たよ」とか、清掃センターにいるので普段会うことが少ない職員に「いつも見てる気がするよ」みたいな感じで 笑ってもらえてます。
高橋> 僕も市役所で部長職を務めたり、広報の最高責任者をやったりしていましたが、市役所の中で若手とか現場の職員がメディアでクローズアップされる機会ってあまりないことだと思いますが、山添さんみたいに若い現場の方が注目されたり、露出されたっていうのは、役所の他の職員の皆さんにとっても、「若手や現場でも頑張れば注目される」というすごい良いモデルになったんじゃないかなって思っています。 役所の中の若手とかが自分もこうやってみようとか、そういうきっかけになるといいですね。山添さんは「メルカリの人」だけど、俺たちだったら何の人になればいいんだろう?みたいな。まあ、そういうことを考えながら、民間との連携などを考えるきっかけになるんじゃないかなと思ったりして、そうやって波及していくといいと思いますし、今回はそういう発信になってるんじゃないかと思いました。
三島市 山添> そうですね。「挑戦していいんだ」と感じてもらえることも大事だと思っていますが、職員の中には「「メルカリ」で役所が普段行わないリスクのあることをやったね」みたいに言われることもありました。特にリスクがあるとは考えていないのですが、市役所の中ではこれまでにないことを実施するということに対して、「リスクがある」と思う人が一定いるということもあらためて感じました。もちろん、今回のように挑戦して、必ず成功するということはないかと思いますが、多少失敗はあっても、 やってみること、挑戦をしていくこと、 そういう土壌を作るという機会をいただいたと思っており、私はメルカリさんにとても感謝しています。
高橋> 個人的に成功体験ってとても大事だと思っていて、これが成功体験ということにできて、「他にもやってみよう」とか、「自分もやってみよう」などと三島市役所内に広がっていくといいですね。
(高橋 亮平)
後編に続く