6月6日、大阪大学において、「ワークショップ~メルカリと考える「学び」のカタチ~」が開催されました。
メルカリの研究開発組織「mercari R4D」と大阪大学社会技術共創研究センター (ELSIセンター)は2020年9月より共同研究を開始しており、今回大阪大学ELSIセンター主催のもと、メルカリが協力し、ワークショップの企画・実施をしました。
今回のワークショップでは、メルカリが主に小学校、中学校、高等学校に提供するmercari educationを大学生に体験してもらい、体験を踏まえて、「学校現場にどのような教育コンテンツを届けると良いか」、「なぜ営利企業がこのような教育の取組を無償で行っているのか」、「企業がこのような取組を行うことはどのような価値があるのか」など、企業の教育の取組や学校現場での教育内容を問い直すことを通じて企業の行動原理を学ぶ、そのような対話型の学びを実施しました。
なぜワークショップを実施したのか
メルカリでは、「あるゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」をグループミッションとして、循環型社会の実現に取り組んでいます。その一つとして、「買う」「使う」「捨てる」ことに対する意識をよりサステナブルなものにしていくことを目指し、モノやお金の価値を学べるコンテンツmercari educationを提供してきました。
文部科学省より、社会に開かれた教育課程という考え方が示され、社会の本物のマーケットを通して学べる機会の重要性も増してきています。メルカリでは、2025年1月に岐阜市で出前授業を実施し、その振り返りや、メルカリの教育の取り組みについてご意見をいただく場として、岐阜市の関係者の方々との座談会を実施しましたが、その中でも、あらゆる角度からこのようなコンテンツの価値を評価いただく声も頂きました。
一方で、学校現場の先生方のご負担や、企業との連携への抵抗感といった、企業のコンテンツを取り入れることへの課題や、企業側としても、営利企業がこのような取り組みを行うにあたっては、一定程度、利益への還元や検証を求められる部分もあり、教育の取り組みを行うことへの課題感も見えてきました。
こういった課題に対しては、大阪大学ELSIセンターの研究者とも議論を重ねていますが、このような複層的な課題も含めて、今回、企業の教育の取り組みを学生の方々と一緒に考え、学生の方々にも企業の行動原理や、企業の教育の取り組みの価値を考えて頂くことで、今後社会に羽ばたいていかれるにあたっての思考力を深める一助としていただきたいという思いからワークショップを実施しました。
ワークショップを通して出た意見
ワークショップは、前半にmercari educationが提供する「フリマアプリを安心安全に利用するために」というコンテンツを紹介し体験するセッション、後半にmercari educationを題材とした企業教育に関するブレインストーミングや、架空の企業の教育コンテンツを評価するといった対話型のセッションという二部構成で実施しました。参加した大阪大学の学生の方々からは、企業による教育が企業利益に偏って実施されることへの懸念や、学びは特定の立場や価値観に偏りがあってはならない中立的なものであるべきだといった意見が出ました。
ワークショップを終えて、「営利企業の取り組みのバランス感を学べた」、「メルカリと教育が結びつかなかったが、企業にしかできない学びがあると思った」といった声をいただきました。
本ワークショップの企画に関わった大阪大学の鹿野特任講師からは、ワークショップを終えて「ワークショップでは、「企業が教育を提供するとは」という問いのもと、参加者のみなさんに教育のあり方や公共的な活動を問い直していただきました。偏りのある教育の何が問題か、教育の価値とは誰にとってのものか、といった根本的な問いまでさかのぼって考えることで、参加者のみなさんが自分たちや未来世代に提供される教育やその公共性を新たな視点のもとで捉えるきっかけになったのではないかと思います」とお話いただきました。
メルカリでは、今後も教育の取り組みを展開していくとともに、よりよい学びのカタチを追求していきたいと思います。
(太田 叡)