豪雨で被災した熊本の千原台高校の生徒が「メルカリShops」で販売し、循環型社会推進と復興に繋げる

探究学習の集大成としての「メルカリPBL」

9月22日、熊本市立千原台高等学校（以下、千原台高校）で「メルカリShops」での販売を開始する発表会が行われました。

千原台高校でのメルカリによる教育実践は2019年から行っており、今年で7年目となりました。

今年度もいくつかのプログラムが進んでいますが、今回は、情報ビジネス探究科3年生115名が「総合実践」の授業の中で、20グループに分かれて「「メルカリ」等を使った循環型社会を実現する社会課題解決のアイデアを提案する」という課題を解決する「メルカリPBLプログラム」を実践しており、その中での取り組みになります。

豪雨災害を乗り越え、復興の力に

今年8月に熊本県に記録的な大雨が降り、県内でも複数の方が死亡したほか、5,000棟を超える住宅被害がでました。千原台高校も例外ではなく、校舎や体育館が40cmほど浸水したほか、停電したりするなどの被害を受けました。生徒たちも、水や泥をかき出したり、保健室や運動部の部室などで水につかった備品を運び出して洗い流したりするなど、夏休み中から復旧作業も手伝ってきました。

この経験が生徒たちの心を動かしました。「このメルカリとのPBLプログラムの売上金や活動そのものを、被災した千原台高校や熊本の復興に繋げられないか」という提案が生徒から上がったのです。単なる探究学習として始まったプログラムは、「豪雨被害からの復興に向けた生徒の取り組み」へと進化しました。

9月22日の販売開始発表会では、「ランドセルリユースプロジェクト」「備蓄品食品ロス削減プロジェクト」「恋の循環プロジェクト」「傘リユースプロジェクト」「参考書＆教科書リユースプロジェクト」の5つのグループから販売を開始しました。

今回、販売開始された千原台高校による「メルカリShops」のショップはこちらです。

https://mercari-shops.com/shops/QMbrAu5RrRsch9ptN2iKWe

生徒が考案したユニークなプロジェクト

ランドセルリユースプロジェクト

このプロジェクトは、「リユース問題は自分たちで解決できるのか」という問いから始まりました。生徒たちの調査によると、小学校を卒業してもランドセルをそのまま自宅に保管している家庭が55.6%に上ることが判明。この不要品をリユースすることで、豪雨で被害を受けた家庭を支援したいという目的を掲げています。販売で得た収益は、被災からの復興支援に充てられる予定です。

備蓄品食品ロス削減プロジェクト

「不要になった備蓄品に新たな価値を」をテーマに掲げたこのプロジェクトは、家庭や自治体で発生する食品ロスの削減を目指しています。個人から缶詰やレトルト食品などの備蓄品を、熊本市からは災害用備蓄品の入れ替えに伴う余剰食品を回収し、販売することで、新たな価値を生み出します。

恋の循環プロジェクト

若い世代に刺さるユニークなコンセプトとして「恋愛」に着目。元恋人からもらったプレゼントを捨てきれずにいる人がいるという問題に目を向けました。調査では、お付き合いをしていた人からもらったプレゼントを「そのまま持っている・使っている」と回答した人が60.6%という結果が出ています。このプロジェクトは、リユースを通じて物理的な断捨離だけでなく、気持ちの面でもスッキリできる機会を提供します。

傘リユースプロジェクト

「SDGs問題は自分たちで解決できるのか」というテーマのもと、忘れ物の傘のリユースを提案。年間29万本もの傘が忘れられているという現状を解決するため、忘れ物の傘を販売することで、廃棄を減らし、コストパフォーマンスが良くて便利なアイテムとして提供します。また、「傘を貸し出すシステムがあったら利用したい」と回答した人が約6割に上るという調査結果から、持ち運びのストレス解消にも繋がるとしています。

参考書＆教科書リユースプロジェクト

不要になった参考書や教科書を「メルカリ」で販売し、循環型社会の実現に貢献するプロジェクトです。記名や書き込みがあっても無料で回収するとしたら提供してくれるかというアンケートに対し、多くの生徒が「はい」と回答しており、需要があることを示しています。集めた商品を販売し、売れ残ったものや状態が悪いものはリサイクルします。このプロジェクトで得た収益は、豪雨で浸水した千原台高校の校舎・体育館の修繕費に充てられる予定です。