中国で見た「最先端キャッシュレス社会」の現実とさらに発展する「OMO」の世界(後編)

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ECと連携したスーパー「盒鮮生(HemaXiansheng)」で体感した「OMO」の世界

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今回の上海視察で、世界一のスマホ決済大国と言われる中国においても、新たな取り組みとして最も大きな可能性を感じたのが、「Alibaba」によるECと連携したスーパー「盒鮮生(HemaXiansheng)」でした。

このスーパーでは、基本的にスマホを持ちながら買い物する事になります。

商品についているタグのQRコードを読み取ると、商品の値段や産地はもちろん、商品知識などがスマホで分かるほか、セルフレジで商品をスキャンし、専用アプリでQRを表示するとそれで決済できます。

こうした表面の部分だけ見ると、日本でもたまに見るようになったセルフレジのスーパーでスマホ決済が使えるようになっただけのようにも感じますが、「盒鮮生(HemaXiansheng)」の存在価値は根本的に異なります。

中国のインターネット社会の進展の特徴について専門家が「オンラインとオフラインのサービス連携の世界ができていること」と話をすることがあります。

今回視察したスーパー「盒鮮生(HemaXiansheng)」もこうした理念である「OMO(Online merge Offline)」の発想で作られているものだと言えます。

このスーパー「盒鮮生(HemaXiansheng)」では、アプリでセールの情報も見ることができるほか、アプリからその日の商品を見て、3km圏内に住んでいる住民がインターネット上で注文をすると、30分以内で商品を届ける配送サービスも行なっています。

このスーパーを簡単に言えば、スーパーがハイテク化したのではなく、ECの倉庫をスーパーのように開放することでオフラインの人たちも取り込みながら発展するECというようなものになっていると言えるのです。

まずスーパーに来て何か買ってもらい、良い体験をしたと思ってもらう。その体験からオンラインでも使ってみようとつなげるというもので、平日はアプリで注文し、週末だけスーパーに行くといったオンラインとオフラインが組み合わさりながらどんどんと相乗効果をあげていく形になっているのです。

日本ではこれまで「オンラインからオフラインへ送客」という意味での「O2O(Online to Offline)」と言われて来ましたが、中国では、さらにその先の「オンラインとオフラインの融合」という意味で「OMO(Online merge Offline)」ということが言われる様になってきています。

このスーパー「盒鮮生(HemaXiansheng)」の取り組みは、まさにこの「OMO」の代表的な取り組みと言えます。

2017年にAmazonがスーパーのホールフーズを買収して話題になりましたが、Alibabaがこのスーパー「盒鮮生(HemaXiansheng)」に出資したのはその前の2016年でした。

こうした動きを見ても「オフラインを見据えてインターネット業界をどう発展させて行くのか」という面では、米国よりさらに中国の方が先を進んでいる様に思えるのではないでしょうか。

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Tencent(腾讯)が仕掛ける「WeChat(微信)」による「ミニプログラム」

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一方でもう一つの雄であるTencent(腾讯)の取り組みについても紹介しておきます。

Tencent(腾讯)の提供する「WeChat(微信)」は、中国版LINEなどとも言われるチャットアプリなのですが、中国人にとっては、日本で言うFacebookのような仕事関連の人脈共有から、Twitterのような情報発信や収集、インスタグラムのような写真共有まであらゆるSNS機能として使われている、最も日常的に使うアプリです。

Tencent(腾讯)は、この「WeChat(微信)」の中で「ミニプログラム」という新たな取り組みを始めています。

「WeChat(微信)」でQRコードをスキャンすると、新たなアプリをインストールすることなくアプリ内で新たなミニプログラムが起動する仕組みになっており、あらゆるサービスにおいて、オフラインとオンラインを結びつける機能として使われています。

例えば、今回体験したもので言えば、決済体験で『敦煌小亭』という店に行って来ました。

このお店では、席についたら料理の提供以外は、注文から決済まですべてスマホで完結する仕組みになっていました。

席に着いたらまず、WeChatでテーブルに貼られたQRコードをスキャンします。

すると、スマホ上にメニューが表示されるので、食べたいものを選んでスマホ上で注文します。

その際、WeChat上で決済もするので精算もいりません。

するとここで初めて定員が出てきて商品が運ばれて来る仕組みになっています。

さらに言えば、こうしたそれぞれの注文した料理をシェアしたので、シェアした料理を割り勘にするのもWeChatで一瞬でできました。

食後に近くに『CoCoタピオカ』があったので、このWeChatのミニアプリで今度はCoCoタピオカを開いてプレオーダーをしたのですが、指定された時間通りにお店に行き、注文番号を伝えると、まったく待つことなく受け取ることができました。

今回行ったこうした自席のQRコードからの注文は、日本でもお馴染みの「ケンタッキー」など多くの店舗で用いられており、中国の「マクドナルド」ではプレオーダーが導入され文字通りの待つことのないファーストフードになっていると話していました。

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日本でもようやくキャッシュレスが本格的に始まる

今回の視察報告、いかがだったでしょうか。

株式会社メルカリのFintech部門の子会社である株式会社メルペイでは、入社したすべての社員が、入社するとこうしたキャッシュレス社会の最前線を体感するために上海出張の研修が行われています。

冒頭でも紹介しましたが、消費税10%増税と共に、キャッシュレスの利用により2%還元すると発表され、日本においてもようやく少しずつ「キャッシュレス」への関心が出始めてきました。

世界最先端のキャッシュレス社会の現実を共有すると共に、今後の日本社会のめざすべき方向性を共有する一助になっていれば幸いです。

(高橋 亮平)