9月17日、経団連が『令和2年度税制改正に関する提言』を発表しました。
メルカリも経団連内で所属するスタートアップ委員会や、さらにその詳細を議論するスタートアップ政策タスクフォースなどで、積極的に提案や議論を行ってきました。
この結果、今回の経団連全体での税制改正の提言には、提案した多くの内容が反映することになりました。
今回は、メルカリが提案した内容をはじめ、こうしたスタートアップ政策タスクフォースでの議論によって反映された部分について紹介していきたいと思います。
なお、経団連のスタートアップ委員会やスタートアップ政策タスクフォースについては、以下のmerpoli記事もご参照ください。
経団連『令和2年度税制改正に関する提言』
スタートアップ政策タスクフォースでの議論が反映された主な項目
1.Society 5.0の実現に向けた企業の生産性向上に資する税制措置の整備 (3) ベンチャー企業とのオープンイノベーションやSociety 5.0の実現に資する投資を促進する税制の検討 Society 5.0の実現に向け、AI、ビッグデータ、IoT等の破壊的な技術やビジネスモデルを創出するスタートアップ企業を支援し、大手企業の持つ資金や顧客基盤を有効に活用できるエコシステムの構築が重要となる。ベンチャー企業との連携を通じたオープンイノベーションを促して新たな付加価値を創出し、経済再生を実現するという観点から、事業会社・コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)等によるベンチャーへの投資について、研究開発税制との関係を整理しつつ、税額控除を含め、実効性ある税制上の支援措置を講ずるべきである。 また、Society 5.0の実現を支える情報基盤である5Gの基地局、ローカル5G、ソフトウェア等の整備に係る投資を促進する観点から、法人税における特別償却又は税額控除及び固定資産税の減免等の支援措置を幅広く講ずることを検討すべきである。 2.法人課税の諸課題 (3) 賃上げ・生産性向上のための税制等 ① 賃上げ・生産性向上のための税制の要件の見直し・計算等の簡素化 賃上げ・生産性向上のための税制に関し、該当する継続雇用者の判定や給与及び教育訓練費の要件の判別が大きな負担となっており、制度の適用の妨げとなっている。適用要件の見直し、計算等の簡素化を検討し、より活用しやすいものとすべきである。 ② コネクテッド・インダストリーズ税制の拡充等 コネクテッド・インダストリーズ税制に関し、対象となるソフトウェアは特定のソフトウェアを新設又は増設する場合及びそれに関連して機械装置器具備品を取得し、資産計上する場合とされているが、企業がクラウドサービスに分析等で委託を行う場合やオペレーティングリース等で費用計上を行う場合には、関連する機器を自社で製作・取得した場合でも、制度の対象外となる。しかし、Society 5.0の推進による生産性向上を図るという観点からは、クラウドサービスを用いる場合でも、関係する投資については対象に含めることが妥当であり、制度の要件を見直す、もしくは、IoTに関する生産性向上に資する投資について、別途減税措置を導入すべきである。 (6) その他 ④ 役員給与等の見直し(業績連動型の譲渡制限付株式の損金算入等) 平成29年度税制改正では、事前確定届出給与について一定の条件のもとで損金算入の範囲が拡大されたが、業績連動型の譲渡制限付株式については、損金不算入とされた。しかし、政府主導の下、コーポレートガバナンスの強化の流れの中で株式報酬制度の導入を促し、役員報酬の開示が2019年3月から充実され、各社で様々な取り組みがなされている。このため、業績連動型の譲渡制限付株式についても、損金算入を可能とすることを検討すべきである。 また、役員・従業員に対する株式報酬の手法として活用されている譲渡制限付株式(RS)及び譲渡制限付株式ユニット(RSU)についても、税制適格ストックオプションの場合と同様に、株式売却時にのみ課税がなされる取り扱いにできる制度の創設を検討すべきである。 |
今回、経団連が『令和2年度税制改正に関する提言』を作成するに当たり、7月16日に開催されたスタートアップ政策タスクフォース第2回会合では、スタートアップ関連税制について経団連事務局から説明を受けるとともに、委員間で研究開発税制の活用に向けた課題や企業のIT投資を支援する税制のあり方、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)支援やエンジェル税制の活用のあり方について議論を行うとともに、メルカリとしては、従業員に対する株式報酬の手法として活用されている譲渡制限付株式(RS)や譲渡制限付株式ユニット(RSU)についても、税制適格ストックオプションの場合と同様に、株式売却時にのみ課税がなされる取り扱いにできる制度の創設をすべきであるなどと提案してきました。
今回こうして、経団連の活動の中で、積極的に提案したことが、こうして経団連全体の提言の中に多く反映されたことは大変嬉しく思います。
メルカリ政策企画では、今後も経団連のこうした提言活動にも積極的に参加しながら新しい社会の実現に向けて前向きに活動していきます。
(高橋 亮平)
<参考>