事業環境を変える!スタートアップが知るべきパブリックアフェアーズに政策企画の岡本が登壇

f:id:merpoli:20210429162650p:plain3月22日、「nikkeisha start-up table」が主催するオンラインセミナー「事業環境を変える!スタートアップが知るべきパブリックアフェアーズ」が開催されました。

「nikkeisha start-up table」とは、株式会社日本経済社が運営するスタートアップコミュニティであり、日本経済新聞社グループの知見とノウハウを活かし“価値ある情報”の提供を通して、スタートアップの「社会接続」を応援する取り組みとなります。

今回のオンラインセミナーでは、マカイラ株式会社の高橋朗代表取締役COOとともに、メルカリ政策企画マネージャーの岡本洋平が登壇しました。事業拡大を目指すスタートアップの方々に向けて、パブリックアフェアーズ(以下、PA)の発想や進め方について実施例などを踏まえてご紹介したほか、質疑応答の時間では、スタートアップがPAを始める際に専門の人材・部門を置くべきか等、踏み込んだ議論が交わされました。

その中で、岡本が発信したメルカリでのPAの取り組み事例についてご紹介します。

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メルカリ政策企画チームに求められる役割

メルカリ政策企画の役割ですが、私は、「事業成長の支援と会社の信頼獲得のためにあらゆることをする」といえると思います。この実現のため、大きく3つの業務を行なっています。

まず、①「非ビジネス領域での事業支援、信頼獲得」というのが大きな柱の1つとなっています。その中では、ポジティブな効果を生んでいく「攻め」とネガティブな影響を回避する「守り」の業務にさらに分類されます。

次に、政策企画チームはインハウス(企業内)のPAですので、非ビジネス領域だけではなく、②「ビジネス領域での事業支援」も行なっています。例えば、ビジネスパートナーとのアライアンス作りなどがこの業務に含まれます。

さらには、これらに通底するものとして、③「社会におけるより良いルールづくりに貢献していく」というのも政策企画チームの業務となっております。政策企画チームには「社会がどうなるのか」という大きな視点で物事を考えるということと、社会が変わる時に生まれる課題をポジティブに解決していくということが経営陣から求められています。

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取り組み事例1「メルカリ寄付」

こちらは、先程の分類中の①非事業領域における「攻め」の「信頼獲得」の事例です。

「メルカリ寄付」は、ユーザーの皆さまが「メルカリ」でモノを売って得た売上金を様々な団体に寄付できる仕組みです。最近では、東日本大震災から10年を迎えた3月11日に際して、東日本大震災の被災自治体もこの寄付先に加わっていただきました。

これらの活動では、「モノを売って寄付する」という仕組みを提供することで、日本における寄付文化をユーザーの皆さまと共に醸成していくことを目指しました。こうしたサービスを設けることで、「社会課題の解決に向けたポジティブな貢献を行なっていく」というメルカリのメッセージを具体化し、サービスや会社に対する信頼性を高めていくことに繋がると思っています。

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取り組み事例2「マーケットプレイの基本原則の策定」

こちらも先程と同様、①非事業領域における「攻め」の「信頼獲得」の事例です。

ちょうど昨年の今頃、新型コロナウイルスの影響が拡大しており、マスクの品薄が問題になっていました。そうした中で、「メルカリ」とマスクの品薄の関係性についてについて様々な意見をいただきました。

そこで、メルカリとしても、社会の中での二次流通マーケットプレイスが果たすべき役割・機能とは何なのかということを改めて考えていこうという意識から、有識者会議を設けて議論してきました。企業倫理学の専門である梅津光弘氏(慶應義塾大学・大学院商学研究科 准教授/ケンブリッジ大学訪問教授)を筆頭に、経済学、企業倫理、ESG等の有識者やステークホルダーなどにご参加を頂き、全6回の日程で行われました。

そして、その成果として、「安全であること」「信頼できること」「人道的であること」の3つを柱とする「マーケットプレイスの基本原則」を策定しました。

この活動は、社内的には、自主規制によってリスク回避をしていくためのルール作りであり、対外的には、消費者の保護や透明性の向上していくということで信頼構築に繋げていこうと行った事例です。

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今回のオンラインセミナーは、主にスタートアップの方々に向けてPAの発想や実際の運用についてご紹介しました。周りの環境を所与のものとしない、環境を変えていくことも含めて自社のビジネスをデザインしていくというPAの考え方は日本でも徐々に浸透してきていると感じています。

一方で、こうした社会を動かしていく活動は、個人や1つの会社だけで実現されるものではありません。PAの考え方が皆さまの心に留まり、共に社会をより良い方向へ動かしていくきっかけとなれば幸いです。

 

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岡本 洋平 (Yohei Okamoto)

メルカリ会長室政策企画マネージャー。2009年、経済産業省入省。IT、東日本大震災からの復興、産業技術、エネルギー政策などの企画・立案・実行などに従事。2019年に株式会社メルカリに入社。割販法改正の議論、消費者還元事業、不正利用対策、消費者保護施策、出品物に係る渉外などに取り組んできた。東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻修士課程修了。