成長戦略はなぜビジネスにおいても重要なのか~骨太の方針、成長戦略、規制改革実施計画の位置づけ~

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6月18日にいわゆる骨太の方針、成長戦略、規制改革実施計画が閣議決定されました。

デジタル化やスタートアップをはじめ多くの注目施策が盛り込まれており、「merpoli(メルポリ)」でも具体的な内容について紹介する予定ですが、今回はその前段として、そもそもこれらの文書はどういった位置づけにあるものなのか、ご紹介していきます。

骨太・成長戦略・規制改革とは

毎年6月半ば頃、政府は骨太の方針・成長戦略・規制改革といった政策文書を決定します。それぞれどういった位置づけのものなのでしょうか。

まずいわゆる骨太の方針ですが、正確には「経済財政運営と改革の基本方針」という文書です。これは、内閣府に設置されている経済財政諮問会議の議論をとりまとめたものです。この会議は、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第19条第1条第1項に基づき、「内閣総理大臣の諮問に応じて経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他の経済財政政策」について調査審議するもので、これを受けた骨太の方針も日本経済や財政運営についての記述に注目が集まりがちです。

【参考】内閣府設置法(抄)

(所掌事務等)

第十九条 経済財政諮問会議(以下この目において「会議」という。)は、次に掲げる事務をつかさどる。

 内閣総理大臣の諮問に応じて経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他の経済財政政策(第四条第一項第一号から第三号までに掲げる事項について講じられる政策をいう。以下同じ。)に関する重要事項について調査審議すること。

(略)

 (略)

また、同時期に閣議決定される文書として。「規制改革実施計画」があります。これは内閣府設置法第37条第2項に基づき、内閣府本府組織令(平成十二年政令第二百四十五号)第31条により置かれる規制改革推進会議が内閣総理大臣に提出する「規制改革推進に関する答申」を踏まえ、政府として実現を図っていくための計画です。

内閣府本府組織令第32条第1項は、規制改革推進会議が、「経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方の改革に関する基本的事項を総合的に調査審議する」と定めており、これを受け「規制改革実施計画」も各種の規制に着目した構成となっています。

【参考】

内閣府設置法(抄)

(設置)

第三十七条 (略)

2 前項に定めるもののほか、本府には、第四条第三項に規定する所掌事務の範囲内で、法律又は政令の定めるところにより、重要事項に関する調査審議、不服審査その他学識経験を有する者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどらせるための合議制の機関(次項において「審議会等」という。)を置くことができる。

3(略)


内閣府本府組織令(抄)

(設置)

第三十一条 法律の規定により置かれる審議会等のほか、本府に、次の審議会等を置く。

規制改革推進会議

税制調査会

(規制改革推進会議)

第三十二条 規制改革推進会議は、次に掲げる事務をつかさどる。

 経済に関する基本的かつ重要な政策に関する施策を推進する観点から、内閣総理大臣の諮問に応じ、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方の改革(情報通信技術の活用その他による手続の簡素化による規制の在り方の改革を含む。)に関する基本的事項を総合的に調査審議すること。

 前号の諮問に関連する事項に関し、内閣総理大臣に意見を述べること。

 (略)

第二次安倍政権から菅政権における成長戦略の位置づけ

こうした骨太の方針や規制改革の文書に対して成長戦略は政権の変遷とともに位置づけや観点が変遷しています。直近、第二次安倍政権から菅政権までの成長戦略の流れは次のようなものです。

まず、第二次安倍政権発足後「日本経済再生本部の設置について」(平成24年12月26日閣議決定)により、「経済財政諮問会議との連携の下、円高・デフレから脱却し強い経済を取り戻すため、政府一体となって、必要な経済対策を講じるとともに成長戦略を実現することを目的」として、全ての国務大臣からなる日本経済再生本部設置さました。

この日本経済再生本部のものと「我が国産業の競争力強化や国際展開に向けた成長戦略の具現化と推進について調査審議する」産業競争力会議の議論をまとめたものが平成25年から平成28年の「日本再興戦略」です。

さらにこの産業競争力会議という枠組みを改め「第4次産業革命をはじめとする将来の成長に資する分野における大胆な投資を官民連携して進め、「未来への投資」の拡

大に向けた成長戦略と構造改革の加速化を図るため」、成長戦略の司令塔として設置された未来投資会議の議論をまとめたものが平成29年から平成30年の「未来投資戦略」、令和元年から令和2年の「成長戦略実行計画」等です。

菅政権の発足とともにこうした日本経済再生本部という枠組み自体がさらに改められ、これらを引き継ぎつつ、「経済財政諮問会議が示す経済財政運営と改革の基本方針等の下、我が国経済の持続的な発展に向け、成長戦略の具体化を推進する」成長戦略会議が置かれました。今回閣議決定された「成長戦略実行計画」等はこの枠組で初めてまとめられたものとなります。

【参考】

日本経済再生本部の設置について(平成24年12月26日 閣議決定)

産業競争力会議の開催について(平成25 年1月8日 日本経済再生本部決定)

未来投資会議の開催について(平成28年9月9日 日本経済再生本部決定)

成長戦略会議の開催について(令和2年10月16日 内閣総理大臣決裁)

成長戦略の構成

以上に示した会議のスコープからも分かるように、成長戦略は、制度改正、予算、税制をはじめ幅広い施策について政府の方針を示したもので、個別のビジネス分野と関連するものも多くあります。

また、直近では、成長戦略の考え方や主要な施策が記述された「成長戦略実行計画」と数百ページにわたって、いつまでにどういった施策を実施するかが詳述された「成長戦略フォローアップ」、これらをガントチャートにまとめた「工程表」で構成されており、考え方・総論を理解する上でも、個別の分野における政府の方針や日程感をつかむ意味でも有益な文書といえます。

merpoliでは今後、今夏の「成長戦略実行計画」の注目部分について個別にも見ていきたいと思っています。

(安井 暢高)