形式から分析する岸田政権目玉の「新しい資本主義実現会議」

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10月15日、「新しい資本主義実現会議」の開催が決定され、既に2回の会議が行われています。

第2回の会合の後には、「緊急提言 ~未来を切り拓く「新しい資本主義」とその起動に向けて~」が公開され、さらに注目が集まっています。

政府主導の「⚪︎⚪︎会議」というような会議が話題にのぼった時、「会議で何が話し合われるのか」といった、会議の「内容」に注目が集まります。一方で、誰の決定によってどのような人たちによる会議を行うのか、という視点は見落とされがちです。

ところが、こうした会議の位置付けやメンバーは、会議を方向付ける重要な要素であり、この点を抑えることで、会議の議論がどのように進むかについて、大きな示唆を得られることも多くあります。

merpoliでは、過去にも、第二次安倍政権から菅政権におけるの「成長戦略」等に関する解説を行ってきました。

当記事では、「新しい資本主義実現会議」について、上記のような会議の形式に着目して分析していきたいと思います。

 

会議を知るための1次情報とは?

会議の位置付け、メンバーといった情報は、下記のような「〜の開催について」という文章から読み取ることができます。

これは、後述の「未来投資会議」や「成長戦略会議」といった他の政府主導の会議にも共通します。

f:id:merpoli:20211111180751j:plain「新しい資本主義実現会議の開催に向けて」(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/kaigi.pdf )を加工して作成

 

まず、「1.趣旨」を見ると、「「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」」というように会議のテーマが設定されているます。「成長戦略会議」においては、「我が国経済の持続的な成長」がテーマとして挙げられていたことと比較すると、「新しい資本主義実現会議」の方が、より大きなスコープで設定されていることがわかります。

では、趣旨で挙げられている「分配」の特徴は、会議の位置付け・メンバーでどのように現れているのでしょうか。以下で見ていきたいと思います。

 

「新しい資本主義実現会議」の位置付け

上記の「〜の開催について」には、「新しい資本主義実現本部決定」とあり、同会議が「新しい資本主義本部」の決定によって開催されていることがわかります。さらに、この「新しい資本主義本部」は、令和3年10月15日閣議決定によって設置されています。

このような誰の決定によって会議が開催されているかという点について、「未来投資会議」から「新しい資本主義実現会議」までをまとめて整理すると以下のようになります。

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上記の図は以下を参考に作成しました。

【参考】

日本経済再生本部の設置について(平成24年12月26日 閣議決定)

未来投資会議の開催について(平成28年9月9日 日本経済再生本部決定)

成長戦略会議の開催について(令和2年10月16日 内閣総理大臣決裁)

新しい資本主義実現本部の設置について(令和3年10月15日 閣議決定)

新しい資本主義実現会議の開催について(令和3年10月15日 新しい資本主義実現本部決定)

内閣総理大臣の単独の決裁に基づく「成長戦略会議」と比べると、「新しい資本主義実現会議」は、全閣僚で構成される「新しい資本主義実現本部」の決定に基づいています。

 

「新しい資本主義実現会議」のメンバー

「成長戦略会議」と「新しい資本主義実現会議」のメンバーを見比べると、それぞれの会議の特色がさらに浮き彫りになります。

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「新しい資本主義実現会議」は、経済産業大臣のみならず、財務大臣、厚生労働大臣が構成員となっており、「分配」の特色が強く現れています。

さらに、「新しい資本主義実現会議」の有識者は、下記のように、より幅広いステークホルダーから指名されており、「成長と分配」の意識が見てとることができます。

f:id:merpoli:20211111181114p:plain「成長戦略会議の開催について(別紙)」(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/pdf/konkyo.pdf )、及び、「新しい資本主義実現会議 有識者構成員」(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/list.pdf )を加工して作成

 

まとめ

以上のように、設置根拠等に関する数枚の資料から、会議の位置付けやメンバー、枠組みを分析し、会議の方向性を推察することができます。

また、当記事でご紹介した、政府関連の資料の読み方は、「新しい資本主義実現会議」に限らず、あらゆる資料で同じような分析を行うことができます。

今回の記事が、皆さまが政府関連の資料を読まれる際の新しい切り口として参考になれば幸いです。