【政策企画メンバーインタビュー】04.天野宏 日本ワーケーション協会顧問に就任!!天野が考える「新しい働き方とワーケーションの可能性」

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メルカリ政策企画チームに9月1日、新たに加わった天野宏が、11月17日(水)に一般社団法人日本ワーケーション協会の顧問に就任しました。

2008年に総務省に入省した天野は、2016年から2019年まで和歌山県庁に出向し、日本の自治体で初めてのワーケーション施策を提唱・実施、和歌山県では、世界初となるワーケーション・フォーラムの開催や、親子ワーケーション事業創出等にも取り組み、2019年にはワーケーション自治体協議会設立に尽力したこともあります。

メルカリは、天野が入社した同じ本年9月1日に、多様な働き方を尊重した、新しいワークスタイル、「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル “YOUR CHOICE”」を導入しました。

これにより、リモートと出社の有無や働く場所など、個人と組織のパフォーマンスおよびバリュー発揮がもっとも高まるワークスタイルを、社員それぞれが選択することが可能となりました。

今回は、日本のワーケーションのエバンジェリスト(提唱者)とも言われる天野に、自治体におけるワーケーションの取り組みや、メルカリのYOUR CHOICEの中で、ワークスタイルとして日本全国を飛び回り、地域の魅力を発掘しつつ、自ら地域でテレワーク・ワーケーションを実施している現状の働き方、ワーケーションの可能性について話を聞いてみました。

 

一般社団法人日本ワーケーション協会の顧問に就任

メルカリ政策企画参事 高橋亮平(以下、高橋)> 本日付で、一般社団法人日本ワーケーション協会の顧問に就任されたそうですね。おめでとうとございます!この日本ワーケーション協会では、天野さんは、どういったことをされていくのでしょうか?

 

メルカリ政策企画参事 天野宏(以下、天野)> 自治体サイドでワーケーションを提唱し、様々なワーケーション事業創出に取り組んだ立場から、主に自治体においてワーケーション施策を立案をする際のアドバイスやワーケーションの最新動向や和歌山県の経験に関する講演等を実施する予定です。

また、顧問としての立場から、一般社団法人日本ワーケーション協会自体の支援も行う予定です。

 

日本初のワーケーションエバンジェリストとして取り組んだこと

高橋> 天野さんは、「日本初のワーケーションエバンジェリスト」とも呼ばれているようで、和歌山県に出向中に、和歌山県でワーケーションの様々な取り組みをされたとのことですが、どんな取り組みをされたのでしょうか?

 

天野> まさに日本初のワーケーション施策の立案・実施、民間企業等の外部主体との協業、地域の魅力の掘り起こしや関係者との関係構築、政府への提言等、ある意味スタートアップ的な立場から、ワーケーション事業の創出・普及に係るできうる限りの全てを実施しました。

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高橋> 自治体で「ワーケーションをやろう!」と言っても、何からやればいいんだということになりそうですが、天野さんは和歌山県でどのようなことから始めたのでしょうか?

 

天野> 例えば、ワーケーション事業を開始した当初(2017年)は、ワーケーションという言葉・概念すら誰も知らなかったので、まずは広報事業に取り組んできました。

日本でワーケーションと類似した取組を実施している人をお呼びして、世界初のワーケーション・フォーラムを東京で実施して、まずワーケーションとは何ぞやを実際の実践者の口から語ってもらいました。そこでワーケーションに興味を持った方を和歌山県でのモニターツアーに招待して、その模様等を映像化して動画サイトにアップロードしたりしていました。

また、2018年には、上記のモニターツアーに参加された方の意見を取り入れて、地域企業と一緒に世界初の親子ワーケーションツアーを実施しました。なお、その中の参加者が、親子ワーケーションに感銘を受けて、現在では親子ワーケーションのイベントを全国で仕掛けているそうです。他にも、世界初のワーケーションオフィスを、三菱地所さんと一緒に和歌山県白浜町に開設もさせていただきました。

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高橋> なるほど。こうした取り組みを進めていく中で、和歌山県がワーケーションの先進自治体となっていったんですね。ワーケーション・フォーラムを東京で行うという発想も面白いですね。現在だと和歌山県以外にもワーケーションに取り組む自治体も増えてきたと思いますが、そうした取組をどう連携させて、社会に浸透させていくかということも大事になっていきそうですね。

 

天野> その意味では、2019年には、長野県や静岡県下田市を筆頭にワーケーション的取組を実施される自治体が増えてきたので、ワーケーションのベストプラクティスを自治体間で共有して、また、ワーケーションを政府・企業・国民に集団的・効果的に発信していくべく、和歌山県・長野県主導でワーケーション自治体協議会の設立にも奔走しました。このように行政主導で新しいコンセプトを発信して、年を経てアジャイル的に洗練化させつつ、ご関心をお持ちいただいた企業さんと一緒に事業化していく取組を行ってきました。

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メルカリの“YOUR CHOICE”や副業も活用した多様な社会への貢献

高橋> メルカリでは、ちょうど天野さんが入社された日から、多様な働き方を尊重した、新しいワークスタイル、「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル “YOUR CHOICE”」を導入しました。これによって、メルカリでは社員が、リモートと出社の有無や働く場所など、個人と組織のパフォーマンスおよびバリュー発揮がもっとも高まるワークスタイルを、それぞれが選択することが可能となりました。このメルカリの “YOUR CHOICE”については、どう思われていますか?

 

天野> 実は、この制度が始まることを知っていてメルカリに入社した訳ではないので、入社日にこのような発表を聞いてめちゃくちゃ驚きました(笑)。でも、自分の会社で手前みそかもしれませんが、素晴らしい取り組みだと思っています。

ICTが発展した現代で、一つのオフィスに集まって業務を行う重要性はそれほど高くないと考えています。むしろ、それぞれ違ったバックグラウンドを持ち、異なる現実に直面している多様な主体が100%以上の力を業務で発揮するためには、それぞれにあった環境で仕事していくべきだと思っていますし、 “YOUR CHOICE”はそれを実現する素晴らしい制度だと思います。

メルカリは副業も推奨していますが、副業や “YOUR CHOICE”を合わせて、社員が個人として成長する機会が充実していると思います。この個々人の成長を還元できれば、企業にとってもさらに成長していける要素になると考えています。特に、 “YOUR CHOICE”で地方でも勤務できるようになったので、例えば、東京で得た知見を活かして副業として地域活性化に取り組み、また、そこで得た地域現場にいるユーザーでもある住民の実態や意見をビジネスに還元できたら、最高だと思います。

 

高橋> コロナによって働き方は本当に大きく変わってきました。一方で、こうした働き方には、新たな課題も出てきているように思いますが、その辺りはどうでしょうか。

 

天野> もちろん課題もあると思います。

例えば、会社に社員が集まって仕事することで、偶発的なイノベーションが発生しやすくなると考えています。オンラインを前提とした時に、このようなオフライン的なメリットもいかに取り込んでいくかは今後の課題だと思っています。コロナ前の事例ではありますが、例えば、全世界100%リモートワークを前提にしているある米国のIT系企業では、四半期ごとのチーム合宿や、毎年ディズニーランド等を貸切って全社合宿を行っていたそうです。そのようなオンライン環境を補完するような仕掛けも必要となってくると思います。

また、日本社会全体として、最近はオフライン環境に戻りつつあると感じています。取引先がオフラインに戻っていく中で、いかに引きずられずに、これまで以上のパフォーマンスを発揮していくかが問われていると思います。

 

ワーケーションや働き方は今後どう変わっていくのか

高橋> 天野さんは今どういった働き方をされているのでしょうか?また、今後の可能性やワーケーションの可能性についても教えてもらえますか?

 

天野> 現在、メルカリで主に取り組んでいるのは、「メルカリShops」の普及展開活動で、そのために全国の自治体を行脚する日々です。具体的には、自治体や地域の商工会議所等の団体や地域のお店に「メルカリShops」事業の説明をしているのですが、やはり地域の方々と繋がり、素晴らしい産品の掘り起こしをするためには、その地域をできる限り理解し、寄り添っていくことが重要だと考えています。

幸い、 “YOUR CHOICE”では、日本全国どこでもテレワークが可能なので、前泊や後泊等と組み合わせて、地域でテレワークを行い、現地のお店・レストランに伺って、地域の魅力を肌で感じるようにしています。

 

高橋> 我々、自治体チームがメルカリの中でもある種特殊なチームではありますが、まさにワーケーションを率先して使って働いている感じはありますよね。

 

天野> このように場所という概念にとらわれず、いつもの仕事をいつもと違う場所で行い、また、プライベートの時間はいつもと違う体験ができるようになるのが、ワーケーションのメリットであり、その経験・繋がりの蓄積が社員個人だけでなく、地域のエンパワーメントにも繋がっていくと考えています。ワーケーションはそのような生き方・働き方を実現するためのツールに過ぎませんが、これが日本全国に普及していき、それぞれの地域の魅力発掘・発信に繋がっていけば、地域だけでなく東京などの都市部も含めて、日本全体がより豊かになっていくと考えます。

その掘り起こされた魅力を感じるために、「メルカリShops」も是非使っていただければと思います。

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プロフィール

天野 宏(Hiroshi Amano)

メルカリ会長室政策企画参事。2008年総務省入省。総務省では、中南米での日本の地デジ方式の展開、東日本大震災被災地の復旧・復興対応、5Gの普及促進等を担う。また、その間の2016年から2019年まで和歌山県庁に出向し、日本の自治体で初めてのワーケーション施策を提唱・実施。2019年にはワーケーション自治体協議会設立に尽力。総務省を退職し、2021年9月にメルカリに入社し、現職。現在は、ワークスタイルとして日本全国を飛び回り、地域の魅力を発掘しつつ、自ら地域でテレワーク・ワーケーションを実施する日々を送る。2021年11月より一般社団法人日本ワーケーション協会顧問。

 

インタビュアー

高橋 亮平(Ryohei Takahashi)

メルカリ会長室政策企画参事 兼 merpoli編集長。1976年生まれ。元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、 神奈川県DX推進アドバイザー、国立大学法人滋賀大学講師。松戸市部長職、千葉市アドバイザー、東京財団研究員、政策工房研究員、明治大学客員研究員、市川市議、全国若手市議会議員の会会長等を経て2018年6月より現職。AERA「日本を立て直す100人」に選出。著書に「世代間格差ってなんだ」(PHP新書)、「20歳からの教科書」(日経プレミア新書)、「18歳が政治を変える!」(現代人文社)ほか