リユースを新たな分別カテゴリに! -メルカリエコボックス担当者インタビュー-

2022年5月30日(ごみゼロの日)から、メルカリと愛知県蒲郡市・新潟県加茂市での、「メルカリエコボックス」によるリユース意識の定着と、サステナブルな行動変容を促すための実証実験が始まりました。今回「メルカリエコボックス」の実証実験のプロジェクトの中心を担ったメルカリ経営戦略室サステナビリティチームの石川真弓に聞いてみました。

 

「メルカリエコボックス」がリユースのきっかけになる

Q 「メルカリエコボックス」とは、どのような物なのか、またどう使ってもらうものなのか教えてもらえますか。

石川> 「メルカリエコボックス」とは、家の中で眠っている「使わなくなったけれども捨てられないもの」を一時的に保管しておくための箱です。家庭で使わなくなったもの、例えば衣替えであったり、食器棚を整理した時など、ご自身のタイミングで不要になったものを入れてみるところからはじめていただきます。そして気が向いたときに箱の中を見返していただいて、中に入っているものを、「メルカリ」に出品したり、友達に譲るなどすることで、「捨てる」のではなく、各家庭の中からリユース意識を持ってもらうことができれば、メルカリの目指す循環型社会の実現に近づけるというふうに考えてつくりました。

Q> 私もいつも捨てようか悩んで保管していたものの、置き場所に困り結局捨ててしまう、ということが多いので、「メルカリエコボックス」が私たちの生活における「リユース」への導線になる気がします。

石川 「まだ使えるが不要になったモノ」を捨てないための仕掛けとして、モノを取っておくためのタンスでもなく、捨てるためのごみ袋でもない、シンプルな「箱」で実現できるのではないかと考えました。今回、「メルカリエコボックス」の箱の色も環境をイメージした緑にしたり、デザインもシンプルで生活の一部になるようになど、思考錯誤しました。

 

自治体の皆さんがごみゼロの日に合わせることでスピード感をもって実現してくれた

Q> 今回実証実験をされる愛知県蒲郡市と新潟県加茂市はどのように選定されたのでしょうか。

石川> 我々が選定したというよりも、蒲郡市や加茂市に「メルカリエコボックス」の取り組みにご賛同していただいたところから始まりました。今年1月に万博首長連合主催の「2025万博未来創造セミナー」にて、循環型社会の実現のためのメルカリと自治体の連携について、提案をさせていただく機会がありました。蒲郡市や加茂市とは、お互い循環型社会の実現のために、市民の皆さまに対してリユースを推進していきたいという思いが一致して、今回の実証実験にご協力いただくことになりました。

Q> 2つの自治体で実証実験をすることが1月に決まり、5月末に発表されています。全体的にスピード感ある点が印象的でした。このスピード感にはどのような理由があるのでしょうか。

石川> 自治体の方々のご協力のおかげです。皆さんのスピード感に負けないように、私達も応えていかなければいけないと気持ちを新たにして取り組むことができました。

Q> 今回「メルカリエコボックス」を発表されたのが、5月30日と「ごみゼロの日」である点が大変印象的でした。

石川> 「ごみゼロの日」をターゲットにすることで、自治体の皆さんもスピード感を持って実施してくれたようにも思います。また実証実験の期間は世界環境月間とも重なるので、よりPR効果があるのかなと期待しています。

5月30日の蒲郡市の発表会にて、メルカリエコボックスを蒲郡市長と配布する様子

 

メルカリエコボックスを通して実現したいこと

Q> 石川さんが「メルカリエコボックス」を通して実現したいことはなんでしょうか。

石川> 今私たちが毎日行っているごみの分別は「捨てる」が前提となっています。「メルカリエコボックス」の施策を通じて、「もえる」「もえない」等の分別カテゴリーと同等に「リユース」も選択肢として定着させていきたいと思っています。将来的には全国の全住戸に「メルカリエコボックス」がある状態が、究極的な理想です。

Q> 石川さんが所属されているサステナビリティチームでは、サステナビリティレポートなども出されていますよね。

石川> メルカリが目指すサステナビリティとは、限られた資源が大切に使われ、誰もが新たな価値を生みだせる社会を実現することです。そして、メルカリは「プラネット・ポジティブ」な企業を目指すと掲げています。限りある地球資源を循環させ、誰もが価値を生み出せる社会を実現するには、どうすればいいのか、というのは創業当初からの理念でもあるのですが、この理念を「プラネット・ポジティブ」という言葉で表現しています。

Q> 今回の「メルカリエコボックス」は、まさにメルカリ社全体として実現したい課題解決につながるものなのですね。実証実験で具体的に期待することは何でしょうか。

石川> 実証実験に参加してくださった方には、アンケートに答えていただくことをお願いしています。アンケートを通して、実際エコボックスがあることによって、どのくらいリユースされたかなど、どの程度行動変容を起こすことができたのかを見ていきたいです。メルカリエコボックスを通じて、各家庭からリユースが推進されることで、ごみの量を減らすと同時に、資源の循環を促すことで、メルカリの目指す循環型社会の実現に近づけるのではないかと思っています。

石川さんに、「メルカリエコボックス」の実証実験に至るまでの背景や実現したいことまで幅広く教えていただきました。特に「リユースを新たな分別カテゴリに」という言葉が印象的でした。ありがとうございました!

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プロフィール

石川 真弓(Mayumi Ishikawa)

メルカリ経営戦略室サステナビリティチーム。2018年メルカリに入社し、コミュニティ担当として、お客さまコミュニティの立ち上げと運営、メルカン編集部などを担当。2021年にサステナビリティチームに移動し、さまざまなESGプロジェクトの企画実行や、子供向け教育プログラム開発などを担う。著書に「HDR写真 魔法のかけ方レシピ」(技術評論社)