半年のインターンを経た「政策企画の仕事」に対するイメージの変化

メルカリ政策企画にインターンとして参加していただいた浅野潔志さんに、インターンの経験を振り返って記事にまとめもらいました。
インターンから見た政策企画の姿には、内部で働いていると気づかない示唆があり、いただいた原文をなるべく活かして記事化しています。
このため、メルカリグループや政策企画チームとしての意見を代表するものではないことにはご注意ください。

 

これまでの経緯
私は、今年の3月にロースクールを卒業し、司法試験後、6月からの司法修習が開始するまでの約半年間、インターンとしてメルカリの政策企画チームに参加しました。実は、ロースクールの在学中にも、メルカリの政策企画に関わっていて、その際はmerpoli編集部の一員として記事の企画や執筆に携わっていました。今回のインターンでは、ほぼフルタイムで政策企画の業務そのものに携わりました。メルカリでは、インターンであっても業務の必要性を明確化した上でslackやドキュメントにアクセスできるオープンな文化とセキュリティの体制を築いていて、自分で情報を取ってきて仕事をすることができます。政策企画の業務に本格的に携わったことで、自分の中での「政策企画の仕事」のイメージにさらに変化しました。

 

半年間の業務内容
私は、インターンを始める以前から、web3/ブロックチェーン関連の領域に強い関心がありました。ちょうどメルカリグループ内でもNFTや暗号資産取引に関する事業が立ち上がっていたこともあり、これらに関連する政策企画業務に関わりました。具体的には、NFTに関する業界団体の各種ガイドライン策定や、社内でのNFTに関する勉強会の開催、その他、社内で中長期で走っている業務に携わりました。
策定に関わったガイドラインは、これまで国内では法律上グレーで実施することができないとあきらめられてきたNFTのランダム販売に関するものです。事業者、弁護士、その他有識者が、丁寧に議論を重ねることで、法律の趣旨と抵触しないと考えられる事業領域の切り出しに成功し、これによって、国内のNFT事業者が、アメリカ等で既に一般的になっているNFTのランダム販売を国内で実施することに一気に近づきました。このような仕事は、私にとって、「the 政策企画」といった仕事、つまり、事業の前提となっている法律、自主ルール、社会的な価値観に対してアプローチして事業の可能性を切り開く仕事の一つと言えるようなもので、大きなやりがいを感じました。
ガイドライン策定の過程におけるドラフトを作成したり、修正案を議論したりする仕事の中で、やはり弁護士の存在というのは大きく、リーガルマインドや条項の文言に対する真摯な姿勢で会議体を引っ張っていました。法学部、ロースクールで身につけた能力は、政策企画の仕事の中で大きなバリューを発揮できると感じました。

 

政策企画のイメージの変化
merpoliで記事執筆の仕事を行っていたときは、政策企画の仕事は長期スパンの仕事が多いと思っていました。例えば、割賦販売法の改正によって新設された「認定包括信用購入あっせん業者」のように、「技術・データを用いた与信審査」という大きなテーマに対して数年単位でコミットするような仕事をイメージしていました。実際に、政策企画の中で仕事をしてみると、実に様々な時間軸の仕事があることに気が付きました。
例えば、一つのインシデントに対する対応を考えても、外部関係者とコミュニケーションをとってインシデントの拡大を防ぐ、沈静化する超短期の仕事、インシデントの再発を防止するための社内外の環境構築といった中期の仕事、さらには、インシデントの内容を分析・再構築してその背後にある制度的な課題についてステークホルダーと供に解消に向かう長期の仕事など様々な時間軸の仕事に取り組みます。「ルールを変える」という派手な結果で取り上げられやすい政策企画の仕事ですが、そこにたどり着くまでには、誰とどの順番で何を話すかといういぶし銀な仕事の積み重ねがありました。
また、政策企画の業務にとって、上記のような「過程」の仕事もさることながら、issueの発見、つまり、「変えるべきルールの発見」(変革に向けた取り組みをすべき外部環境の発見)という仕事が、重要かつ付加価値の高い仕事であることに気が付きました。issueを発見するためには、当たり前と思っているものを疑う力や、事業を客観的に見つめるメタ思考、さらには、これらを適切に判断するための資料を集める能力など複合的な能力が求められます。issueの発見は、本当に創作性が高い仕事で、ある意味で新しい事業領域を見つける起業家のような仕事に近いと感じました。メルカリの政策企画チームには、思いもよらない角度からメルカリの事業領域の可能性に風穴をあけるタレントがたくさんいて、刺激を受けました。

 

今後について
今後は、かねてより挑戦したいと考えていたブロックチェーン事業に取り組みたいと思います。メルカリ政策企画の業務の中で、いわゆる「第2線」の立場からブロックチェーン領域に関わっているうちに、プレイヤーとしてこの領域に挑戦したいという思いがますます強くなりました。思い返してみると、ロースクール在学中にメルカリ政策企画に参加するという、人とは少し違った経験を選んだところから、リスクをとって挑戦するメンタリティが形成されたと思います。自分を大きく成長させる多くの機会をくれたメルカリ政策企画には、ありがとうの気持ちでいっぱいです。
(浅野 潔志)