徳島市長、蒲郡市と西宮市の副市長が登壇し、循環型社会推進に向けての取り組み紹介や、公民連携による可能性について提案(前編)

写真:右から岩﨑 敏雄 西宮市副市長、大原 義文 蒲郡市副市長、内藤 佐和子 徳島市長、メルカリ 高橋 亮平

6月5日の「環境の日」に行った「SDGs循環型社会推進公民連携フォーラム」は、政府や地方自治体、企業といった既存の枠組みを超え、循環型社会や持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた連携について考え、その主役の一つが自治体でした。

とくにセッション3は、「最新事例から考える公民連携での循環型社会推進の可能性」と題して、内藤 佐和子 徳島市長、大原 義文 蒲郡市副市長、岩﨑 敏雄 西宮市副市長に登壇いただき、メルカリ政策企画参事の高橋 亮平がファシリテーターとして話をお聞きしました。

写真:右から岩﨑 敏雄 西宮市副市長、大原 義文 蒲郡市副市長、内藤 佐和子 徳島市長、メルカリ 高橋 亮平

メルカリ 高橋 亮平(以下、高橋)> このセッションでは、「最新事例から考える公民連携での循環型社会推進の可能性」と題して、内藤 佐和子 徳島市長、大原 義文 蒲郡市副市長、岩﨑 敏夫 西宮市副市長をお迎えし、お話を伺います。

今回登壇いただいている3自治体は、既に「メルカリShops」での自治体販売を実施している自治体でもあり、メルカリとの取り組みに限らず、各自治体が進めている循環型社会やSDGs推進の先進的な取り組みについてご紹介をお願いします。

内藤 佐和子 徳島市長(以下、内藤(徳島市))> メルカリとは連携協定を結び、「メルカリShops」での販売や金融教育をはじめとした教育プログラムの実施など、様々な形で連携を進めています。

徳島市で取り組んでいることで最近バズったのは、燃やせるごみの名称を「分別頑張ったんやけど燃やすしかないごみ」に変更したことです。「燃やせるごみ」という名称であることによって、本来であればリユースできるものやリサイクルできるものも多くがごみとして捨てられてしまっています。実際に、紙類などが4割弱ぐらい入っていました。こうした状況を改善する意識喚起をしたいとの思いで名称変更しました。

「メルカリShops」での市の備品販売は、幼稚園で不用になった鈴やタンバリン、紙芝居といったもののほか、市の運営するバスの整理券の発券機なども販売し、出品した商品が完売となりました。

職員を1年間メルカリに派遣し、D&Iなどについて学んできてもらったほか、その職員を講師に「メルカリ教室」も実施しました。

高橋> 「分別頑張ったんやけど燃やすしかないごみ袋」の件は、先のセッションで、小泉 元環境大臣も非常にいい取り組みだと紹介されていました。また教育については、先日、徳島市の小学校で、学校や家庭でまだリユースできるものを小学生たちに探してもらって、それを「メルカリShops」で販売するという授業も行わせてもらいました。

大原 義文 蒲郡市副市長(以下、大原(蒲郡市))> 蒲郡市では経済社会環境のバランスを保ちながら都市として繁栄していくということで、市民や本市を訪れる観光客やビジネス客など、本市に関わるすべての方々のウェルビーイングの向上を図りSDGsの達成のため、サーキュラーエコノミーを特定の分野にとどまらず、まちづくり全体でサーキュラーシティを目指すという表明をしました。

メルカリとは2022年4月に連携協定を締結し、2022年5月30日のごみゼロの日から全国初の取り組みとして、ごみ処理場に持ち込まれるまだ使えるごみを「メルカリShops」で販売する取り組みと、家庭内の不要だが捨てるはもったいない物品を一時的に保管しておく「メルカリエコボックス」を家庭へ配布する社会実験の2つを実施しています。自治体が率先してリユースに取り組むことにより、市民や事業者における「長く使う人に譲る」などを定着させ、リユースを分別の選択肢として定着することをめざしています。

なお、こうしたメルカリとの取り組みは内閣府の2022年度 地方創生SDGs官民連携優良事例に選出されたほか、国際会議であるアジア太平洋3R循環経済推進フォーラムにて、鈴木 寿明 蒲郡市長が事例紹介をさせていただく機会もいただきました。

岩﨑 敏雄 西宮市副市長(以下、岩﨑(西宮市))> 西宮市は2003年には環境学習都市宣言をし、現在では環境省のアースレンジャーやこどもエコクラブなどのモデルになるような授業をこの当時からやっていた環境に対する取り組みの先進自治体でもあります。近年では、2050年のゼロカーボンシティーを表明し、プラスチックスマートアクション西宮も作成しました。昨年の7月には指定ごみ袋の導入をしたことで、可燃ごみが約1割減り、ペットボトルやその他プラが約3割増えるなど、本当にごみの減量化が進んだという実感をしました。

一方で新型コロナによる巣ごもりによって家を片づける人も増えたことで、特に粗大ごみの申込件数がふえ、粗大ごみ収集の申込件数は1か月待ちとなっていました。こうした中で、特にリユースについて、ごみを減らして資源を有効活用する町にしていくということからメルカリと昨年10月に協定を締結しました。粗大ごみで集まってきたものの販売のほか、「メルカリ教室」の開催をしています。粗大ごみを有料で捨てるのではなく、「メルカリ」に出品していただいたくと逆にお金に変わるということを市民の方にも実感していただくために、まず行政で「メルカリShoos」にて粗大ごみで集めたものを販売しています。

また、市のホームページのごみの出し方を紹介するページで、粗大ごみを出す前にリユースしませんかと、「メルカリ」等の民間事業者の紹介もしています。今後も様々な取り組みをしながらリユースを広げていきたいというふうに思っています。

高橋> 蒲郡市に紹介いただいた「メルカリエコボックス」は、市民にこの箱を配布し、家庭でリユースできるものをこの中に入れていただくことでリユースを促進しようという実証実験です。74%の方が実際にこの箱の中に物を入れていただき、さらにその半分以上の方が実際にリユースを実施したと回答いただきました。

西宮市に紹介いただいた「メルカリ教室」は、蒲郡市や徳島市でも実施していただいていますが、自治体が自ら販売するだけではなくて、市民にリユースをさらに進めていただく取り組みとして両輪のように実施していただいており、徳島市では市の職員が講師資格を取って実施してもらいました。他の地域では、地域おこし協力隊の方を講師にしている事例などもあります。

また徳島市では、小学校の授業でリユースできるものを小学生に探してもらい、市の「メルカリShops」のアカウントで販売するという取り組みが始まっています。幅広い市民の皆様を巻き込んだ循環型社会の推進ということも、自治体ならではの取り組みだと思っています。

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プロフィール

内藤 佐和子 徳島市長

東京大学法学部政治コース卒業後、まちづくりグループ「徳島活性化委員会」代表、四国放送の情報番組「ゴジカル!」月曜コメンテーターなどを経て、2020年4月より徳島市長に就任。2021年4月より内閣府「男女共同参画会議」議員も務める。徳島市きらめく女性大賞受賞、在日米国大使館及び駐大阪・神戸米国総領事館から「勇気ある女性賞」を受賞。著書に「難病東大生-できないなんて、言わないで」。

 

大原 義文 蒲郡市副市長

関西大学法学部卒業後、1981年 蒲郡市役所入庁。市民福祉部保険年金課主幹、市民福祉部保険年金課長、市民福祉部次長、企画部長、蒲郡市教育委員会教育長を経て、2021年4月より現職。

 

岩﨑 敏雄 西宮市副市長

1982年 西宮市役所に入庁。障害新制度準備担当係長、情報システムグループ課長補佐、定額給付金担当課長、産業文化総括室長、産業文化局長、環境局長を経て、2023年4月より現職。

 

高橋 亮平(Ryohei Takahashi) ファシリテーター

メルカリ経営戦略室政策企画参事 兼 merpoli編集長。元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長。松戸市部長職、千葉市アドバイザー、東京財団研究員、政策工房研究員、明治大学客員研究員、市川市議、全国若手市議会議員の会会長等を経て2018年6月より現職。AERA「日本を立て直す100人」に選出。著書に「世代間格差ってなんだ」(PHP新書)、「20歳からの教科書」(日経プレミア新書)、「18歳が政治を変える!」(現代人文社)ほか。