3月3日、世界経済フォーラム(World Economic Forum、WEF)のサーキュラー・エコノミー(循環経済)ラウンドテーブルが行われ、メルカリ取締役会長の小泉文明が登壇しました。
世界経済フォーラム(WEF)は1971年に設立されたスイスに本部を置く非営利組織で、各国の政治・経済のリーダーに加え、様々な領域のリーダーたちが国家の枠組みを超えて協力することにより、グローバル社会の課題解決に取り組むことを目的としています。創立以来、時々刻々変化する世界情勢を長期的な視点で捉え、持続可能な解決方法を生み出すことを重視している一方で、時代の流れに即した視点も取り入れ、特に近年では環境問題をはじめ、AI、ロボット工学から遺伝子学、通信技術革新などに関連する課題の解決にも注力しています。
特に、スイスのダボスで開催される年次総会(「ダボス会議」)は、世界各国からビジネスリーダー、各国政府や国際機関の要人、有識者、メディア関係者などが招待制で参加し、地球規模のさまざまな重大課題の解決に向けて議論する場となっています。
今回、世界経済フォーラムが主催した「循環経済ラウンドテーブル」は、世界経済フォーラムの「サーキュラー・エコノミー・イニシアティブ」の一環として、日本の環境省と共同で開催されました。
3月2日から3日に開催されたこの会合では、循環経済の目標を実現するためのトレンド、政策、先進的な実践方法などを探るハイレベルな議論が2日間にわたって行われました。
初日のオープニングには、小泉進次郎環境大臣が登壇し、「循環経済に向けた人々の意識と行動のパラダイムシフトを牽引していきたいと思います」と、日本が脱炭素化を優先し、より循環型で分散型の世界を目指す中で、このプロセスが重要である事を強調するとともに、「私が循環経済に向けて提案するアクションは、リデザインです。脱炭素化はエネルギーの仕組みを変えるだけではなく、私たちの社会経済システムをより循環経済にしていかないと達成できません」と発言しています。
メルカリ会長の小泉が登壇したのは2日目のクロージングセッションで、今回はそこでのサーキュラー・エコノミーの未来に対する小泉の発言をご紹介します。
出典:世界経済フォーラム「日本とオランダの政府による、循環型社会への移行」
メルカリは、8年前に会社を創り、現在、スマホアプリで日本では月間アクティブユーザーが1802万人が年間流通取引総額が6,259億円を超えました。 アメリカにおける「メルカリ」の月間流通総額も100億円を達成しました。 フリマアプリ「メルカリ」は、個人間で簡単かつ安全にモノを売買できるCtoCマーケットプレイスです。 現在、力を入れているのがAIで、ものを売るのには商品情報の入力が手間ですが、メルカリのサービスでは、商品の写真をカメラで撮るだけで、ブランドなどの商品情報や売れやすい価格をAIが自動入力をしてくれるようになっています。 出品者の手間を省くことで、よりリセールでの売買がより活発になることをめざしています。 数年前から「メルペイ」というモバイルペイメントサービスも提供しており、それを通じて、一次流通で買ったものをデータとして蓄積し、二次流通で売る際に、そこからデータが引き出されるというデータ連携を行おうとしています。 今後はさらにダイレクトにメーカーなど一次流通事業者とデータ連携をすることにより、一次流通と二次流通がシームレスにつながり、もっと利用してもらえるような状況を作ろうとしています。 循環型経済の発展のために今後1年間に向けて提案する「最後の1つのアクション」 データが大事だと思っています。 データをどうやって一次流通と二次流通で連携させ、無駄なものを作らない世の中をつくるか、そのために、データのフォーマットを統一することにより、一次流通も二次流通も含めた全ての消費行動がつながり、それにより無駄な消費、無駄な生産をなくしていけると思っています。 |
サーキュラー・エコノミーの推進については、これまで「merpoli(メルポリ)」でも『第2回 Innovation Gardenに政策企画の高橋が登壇。日本流サーキュラーエコノミーの未来』や『メルカリが考える日本版サーキュラー・エコノミーの未来。政策企画の高橋が登壇』でも書いてきましたが、以下のような視点が重要だと考えています。
サーキュラー・エコノミー(循環型経済)の一翼を担う「メルカリ」
サーキュラー・エコノミーとは、従来の「資源を採掘して、作って、使って、捨てる」というリニア(直線型)なバリューチェーンとは異なり、限りある資源を有効に活用するため、廃棄を極力減らす、あるいは廃棄されるものでさえも次の資源へとつなげていくサーキュラー(円形型)なバリューチェーンの仕組みのことを示しています。
メルカリグループは、地球資源が大切に使われるサーキュラー・エコノミーの実現を目指しており、これまでのような大量生産・大量消費から、循環を前提とした生産・消費へとシフトしていく必要があると考えています。
サーキュラー・エコノミーはグリーン・デジタルな社会の実現を後押し
サーキュラー・エコノミーは、製品のメンテナンスや再販売・再製造等により、資源投入量・消費量を抑えながら付加価値を生み出すものであり、成長を生み出すグリーン社会の実現に不可欠な要素です。
多様な状態の製品等の価値を効率的に最大限引き出すには、メンテナンス状況や中古市場も含む流通状況をデジタルに管理し、メーカー等が継続的に顧客接点を確保していくことが重要であり、顧客接点のDX化や、産業のデジタル化とともに進めていく必要があります。
出典)経済産業省「サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会」報告書概要から抜粋
サーキュラー・エコノミーによって変化する産業構造
リユース市場とも言われる二次流通市場の浸透を前提にすると、製造業や小売も「製品を売って終わり」にするのではなく、顧客との接点を継続していくことがいっそう重要になってきます。
今回のWEFのラウンドテーブルで小泉も提案しましたが、これまで以上に一次流通と二次流通が連携を図っていくことが求められており、そのためには、データの活用が重要であり、その基盤となる顧客接点のデジタル化が必要になると考えています。
これまで、メルカリでは自社が提供するサービスの成長を通じ、二次流通市場の拡大を牽引することで、サーキュラー・エコノミーの一翼を担ってまいりました。
さらに今後は二次流通市場の拡大だけではなく、一次流通市場における商品企画や生産・販売の最適化にも働きかけることによって、サーキュラー・エコノミーの実現をさらに加速していきたいと考えています。
(高橋 亮平・野々宮 麻美)
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