自民党NFT政策検討PT座長にデジタル社会とNFTの未来を聞いてみた(後編)

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前編に引き続き、自民党のNFT政策検討PTの座長に就任され、衆議院内閣委員会でのWeb3.0に関する質疑が注目を集めている平将明議員(以下、平議員)に、NFTやデジタル社会の未来についてインタビューを行っています。

後編では、日本の成長戦略としてのWeb3.0を実現するための、具体的なスケジュールや課題感についてお聞きしました。

前編も併せてご覧ください。

 

日本をブロックチェーンスタートアップの発信地に

Q> Web3.0を成長戦略に位置付けることはなぜ重要なのでしょうか?

 

平議員> 岸田総理は、成長戦略の1つとして「スタートアップを育てましょう」ということを掲げています。しかし、「スタートアップ支援」というテーマは過去の成長戦略でも繰り返し言及されていて、「またスタートアップか」と感じる方もいるかもしれません。

ところが、今、ブロックチェーンの業界では、日本のスタートアップ起業家も含め、みんながシンガポールに移ってしまっている現状があります。日本にはせっかく素晴らしいコンテンツがあるのに、NFTのセカンダリー・マーケットが日本から産まれないのは非常に残念です。

ここで日本が、ブロックチェーンに関する税制や、技術者のビザの緩和といった積極的な施策を打つことができれば、世界中の優秀な人材が日本へ集まるスタートアップの拠点となる可能性も十分にあると思います。

そういった意味で、Web3.0は、日本の失われた30年を一気に取り戻すチャンスだと私は思っています。

 

成長戦略としてのWeb3.0実現に向けたスケジュール

Q> NFT・ブロックチェーンを成長戦略として推し進めていくための具体的なスケジュールについて、平議員からはどのように見えていますか?

 

平議員> 今、自民党の中で成長戦略の策定に向けた議論が進められています。例年通りであれば、GW明けに自民党の成長戦略が出て、そして、その1ヶ月後に政府の「成長戦略」と「骨太の方針」が出されます。

このようなスケジュールを念頭に、まずは、私が座長を務めるNFT政策検討PTにおいて成長戦略としてのNFT、ブロックチェーン技術、さらには、トークンエコノミーを含めた全体を俯瞰して、規制・税制のデザインはこうあるべきではないかというところをまとめます。そして、デジタル社会推進本部で議論し、承認してもらい、デジタル社会推進本部から自民党の成長戦略本部を経て、自民党の成長戦略そのものに反映できるか、というところが第1の仕事になります。

さらに、政府の成長戦略、骨太の方針にこれらが反映されるようにしっかりと働きかける、というのが第2の仕事になります。

3つ目の仕事は、税制です。年末の税制調査会において、税はこうあるべきだという議論ができるように、理解を深めて仲間を増やしていかなければなりません。

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最後のピースは「総理のフルコミット」

Q> おっしゃっていただいたスケジュールを実現させていくため、どんなことが鍵になってくると思われますか?

 

平議員> Web3.0を日本の成長戦略として推し進めるというのは、口で言うのは簡単ですが、これはとても大きな仕事です。税制にしても、規制のデザインにしても、これまでの制度に部分的な手直しをするのではなく、今までの文脈と異なったことをゼロから築かなければなりません。

これを今年中に形にするためには、Web3.0を新しい資本主義の実現や成長戦略の柱と位置づけて必ず実現するという総理のフルコミットが絶対必須の条件であり、これなしにできないと私は考えています。

一つの良い例が、1,000ページにわたるデジタル社会推進関連6法案をわずか1年で通しデジタル庁を作ったことです。デジタル庁の際も、さまざまな関係者の尽力がありましたが、一番大きな要因は、菅総理がフルコミットしていたことだと思います。

今回も、党のPTは素晴らしいメンバーが揃っていて、政府内にも木原内閣官房副長官のような理解者がいます。まさにスロットマシーンの「7」が2つまで揃っているような感覚です。そして、もう一つの「7」が総理のコミットであり、このピースを全力では揃えに行かなければなりません。

自民党NFT政策検討PT

座 長:   平将明

副座長:   山下貴司

事務局長:  小倉將信

事務局次長: 塩崎彰久・鈴木英敬・川崎秀人・神田潤一   ※敬称略

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平将明(Masaaki Taira)

衆議院議員。早稲田大学法学部卒業後、家業を継ぐ。2005年、第44回衆議院議員総選挙にて初出馬・初当選。経済産業大臣政務官 兼内閣府大臣政務官(第2次安倍内閣)、自民党副幹事長、内閣府副大臣(第2次安倍改造内閣・第3次安倍内閣)を歴任。現在は、自由民主党ネットメディア局長、デジタル社会推進本部NFT政策検討PT座長などを務める。

 

インタビュワー

安井 暢高 (Nobutaka Yasui)

メルカリ会長室政策企画マネージャー。経済産業省入省。東日本大震災の被災地支援・現地派遣、機構定員・組織改革(特許庁)、規制法改正を含むクレジットカード取引システムの改革、国会担当(中小企業庁)、内閣官房で成長戦略とりまとめ総括などを担当。途中、米国George Mason大で「法と経済学」及び「国際競争法と経済学」LL.M.取得。メルペイ事業の政策企画業務に従事した後、コーポレート業務についての政策イシューやチーム運営を担当。

 

高橋 亮平(Ryohei Takahashi)

メルカリ会長室政策企画参事 兼 merpoli編集長。元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、 神奈川県DX推進アドバイザー、国立大学法人滋賀大学講師。松戸市部長職、千葉市アドバイザー、東京財団研究員、政策工房研究員、明治大学客員研究員、市川市議、全国若手市議会議員の会会長等を経て2018年6月より現職。AERA「日本を立て直す100人」に選出。著書に「世代間格差ってなんだ」(PHP新書)、「20歳からの教科書」(日経プレミア新書)、「18歳が政治を変える!」(現代人文社)ほか