メルカリとヤクルトで広島地域のリユース推進について安芸高田市長、三次市長と意見交換

2月28日、メルカリと「メルカリ教室」の開催パートナーでもあるヤクルトは、広島での地域におけるリユース推進についてのあり方や地域モデルの構築、地域で循環の輪を広げていくための取り組みについて、安芸高田市長、三次市長とそれぞれ意見交換を行いました。

 

意見交換の目的は“地域におけるリユースの更なる推進”

メルカリとヤクルト山陽は、地域の「捨てるをなくす」を実現するために、全国のヤクルトの販売会社で初めて連携しており、2023年5月より山陽地域の3箇所で「メルカリ教室」を開催してきました。

この「メルカリ教室」の開催場所の一つが安芸高田市内のヤクルト安芸高田センターであり、「メルカリ教室」の開催以外に、多目的スペースとして、「メルカリShops」の事業者様にも無料の貸し出しを行うなどの連携も進めてきました。

また、安芸高田市とヤクルト山陽は包括連携協定も締結しており、石丸 伸二 安芸高田市長より、「自治体としてもより一層、包括連携協定を締結しているヤクルト山陽のリユースの取り組みは後押ししていきたい」との話もあり、今回の意見交換会が実現しました。

メルカリ教室」を開催している安芸高田市内のヤクルトセンター

また、もう1つの「メルカリ教室」の開催地が三次市内にあるヤクルトの三次営業所であり、三次市とメルカリは、2023年9月より、「メルカリShops」において市の不用になった備品等の販売を実施しています。

このことから、2023年12月にはヤクルト山陽所属のメルカリ認定講師による、三次市職員向けの「メルカリ教室」を開催したほか、2023年11月からは公益財団法人日本財団の協力により作成した、家庭内で使わなくなったモノを分別しておく「メルカリエコボックス」を三次市ではヤクルト山陽にも配布の協力をいただくなどといった3者による多面的な連携もはじめているところです。

こうした取り組みを背景に、三次市長ともメルカリ、ヤクルトとの3者による意見交換を実施しました。

安芸高田市長、三次市長それぞれとのメルカリ、ヤクルトとの意見交換は、以下の通りでした。

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【安芸高田市】ヤクルトやメルカリがより一層地域のインフラに

左から大澤誠 ヤクルト山陽社長、石丸伸二 安芸高田市長、吉川徳明 メルカリ執行役員

安芸高田市 石丸 伸二 市長(以下、安芸高田市 石丸市長)> 市として、新しいことを思いついて動くというのは、行政の課題ではありますが、うまく形として寄り添っていただけてありがたく思っています。ヤクルト山陽さまには、この街の健康を支えてもらえている実感を持っています。

「メルカリ」のすごいところは、社会のインフラになって、人々の行動変容を促していることだと思っています。一方で、いわゆるセカンダリーマーケットはまだまだ成長の余地があると思います。日本人はモノを大事にする割に、売ったり買ったりしないことを不思議に思っていました。使っても自分がいらなかったら捨ててしまう。もしかすると、「中古」という言葉自体にどこか悪いイメージがついて回るのかもしれません。

こうしたものにも新しい単語みたいなものがあるといいと思っています。

株式会社ヤクルト山陽 大澤 誠 代表取締役社長 包括連携協定を締結している安芸高田市に課題をヒアリングし、ごみの削減量を中心とした環境課題に困っていると伺う中で、すでに「メルカリ教室」などの取り組みをご一緒しているメルカリさんと話し合いをしてきました。

ヤクルト山陽の持つ拠点の強みを活かし、お客さまには「メルカリ」で家にあるものを出品するという体験を通してヤクルトの企業理念にあるお客さまの楽しい生活づくりに貢献していきたいと考えています。各地域の実態に合わせて、今後は自治体との連携を強化し、住民の方々に対して、リユースの価値を提供していきたいです。

メルカリ執行役員 VP of Public Policy / Public Relations 吉川 徳明(以下、メルカリ 吉川)> 「中古」という言葉に対する課題感は同じです。新しい言い方はまさに発明したいところです。海外だとプリラブドやプレオウンドなどの言い回しはありますが、日本ではまだ馴染みがない言葉です。何かのプレゼントにリユース品を送るという選択肢も当たり前になるところまではいきたいと思っています。

メルカリは、「リユースのプラットフォーム」としてより多くのお客さまに使っていただきたいという思いを強くしています。リユースを社会課題と結びつけて考える時に、やはりごみの問題や廃棄の問題は社会課題と密接に繋がっていると感じています。誰もが粗大ごみが捨てられているのをみて、「ああ、これ使えるのにな...」と思ったことがあるはずです。自治体によって扱う品物はさまざまで、廃校になった学校の理科室にあった実験道具や音楽室の楽器、閉鎖する図書館や本の入れ替わりで廃棄になってしまう本など、地域の実情にあったやり方を模索していきたいと考えています。

一方で、「出品する」というある種、慣れるまで負担がある行為を、地域密着で取り組まれているヤクルト山陽さまが関わることで、市の職員の皆様の負担が合理的な範囲で収まるというのが、地域循環の輪を長く回していく上では重要な観点だと考えています。

安芸高田市 石丸市長> 行動変容をしていく中で、市民の意識が変わり、社会の在り方が移り変わっていくのではという期待を抱いています。例えば、安芸高田市は高齢化率が4割を超えています。最近だと70代、80代の市民でもYouTubeを見るためにスマートフォンに機種変更する人が増えています。さらにスマホのアプリで物の売買ができるようになることで、新しい世界を知るというか、今の時代を知れるのではないでしょうか。そうすることでデジタルの流れに置いて行かれないようになることも期待しています。極端な例で言うと、一人暮らしの高齢者宅にヤクルトが届けられるとか、家にあるものを売ってみようか、あるいは買ってみようかというときに、社会との繋がりが生まれるのではないかと思います。これから高齢者が増えていく上で、10年、20年、50年後にまさにヤクルト山陽、そして「メルカリ」がより一層地域のインフラになっていくことを期待したいです。

 

【三次市】市民の行動変容に繋げ、一緒に循環型社会実現をめざしたい

中央が福岡誠志 三次市長

三次市 福岡 誠志 市長(以下、三次市 福岡市長)> 今年の1月にまちづくりセンターで行ったイベントに参加させていただき、ヤクルト山陽の方が「メルカリ教室」の開催やリユースの啓発を行っているのを見て、本当に素晴らしい取り組みだと感じました。

三次市としても、こうした取り組みをきっかけに、いかにごみをゼロに近づけるかといった取り組みが求められています。三次市では、市内の最終処分場の新たな建設に向けて議論を進めているのですが、今まで通りの量のごみを持っていかれてしまうと、5年で満杯になってしまうことも指摘されています。仮にごみが半分になれば、最終処分場の寿命も2倍に延長します。ごみがゼロになれば、最終処分場を作る必要さえなくなります。どうしたら最小の資源で豊かな生活ができるか、幸せな営みができるかを追求していきたいと考えています。 

「メルカリShops」の市の公式ショップは開設からちょうど5ヶ月が経過し、現在までの総出品数が130点、廃校に伴う学校の楽器や跳び箱、アンティークの鍵など幅広く、約5割のものが売却に繋がりました。取り組みを始めてから、各部局や庁内でも「これ、もったいないよね?」「まだ使えるんじゃないの?」という雰囲気に変わってきています。

今後、学校の統廃合や公共施設の適正化などがある中で、視点を変えたらまだまだ利用価値があるものがあるということに気付かされました。

一方で、政策としてはなかなか効果測定がしにくいものです。

環境問題は啓発が非常に重要であるため、最近は「どう露出していくか」「どう伝えていくか」を心がけて、民間の企業と積極的な取り組みを進めています。地域に信頼のあるヤクルト山陽であれば安心してリユースの取り組みを後押しできるなと思っています。

三次市の「メルカリShops」のショップはこちら 

株式会社ヤクルト 宅配営業部 宅配実践課 舩内寛之課長> ヤクルトには全国に約100社の販売会社があり、その一つがヤクルト山陽になります。今回いろいろな販売会社の中で取り組みを進めてはいるのですが、地域密着を進める中で、リユース事業として自治体の方と一緒に進めていくというのは全国初の取り組みになります。地球全体にとってもいいことですので、地域の皆様に喜んでもらえるように、ぜひ成功事例を作り全国に発信していきたいと思っています。

メルカリ 吉川> 不用品の全てを「メルカリ」で売る必要もなく、私たちとしては、社会全体で「捨てるをへらす」ことを進めていきたいと考えています。今はモノを捨てるコストの方が低く、楽だから捨てるような状態。楽なようで処理のコストは自治体が持っていたり、どこかに負担がかかっている状態です。「捨てるをへらす」ために、他の事業者の方に入っていただくことも全然構わないと思っています。社会全体でリサイクルは定着してきていますが、資源のことを考えるとリユースとリデュースは負荷が低いので、より一層定着させていきたいと考えています。

三次市 福岡市長> 人の行動変容が大事です。一度に大きく変えるのではなく、できることから市民も企業も行政も変えていく、そのために今までできなかったことを、ヤクルト山陽やメルカリと一緒にやっていきたいです。やっていけば、必ず人の行動は変わってきます。

地球の健康を守っていく取り組みというのは、一人一人の意識と行動によって進んでいくものだと思います。三次市という小さな自治体ではありますが、皆様の取り組みやノウハウをお借りしながら、循環型社会の実現に向けて、一緒に取り組んでいきたいと考えています。

左から吉川徳明 メルカリ執行役員、福岡誠志 三次市長、大澤誠 ヤクルト山陽社長

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今回の三次市、安芸高田市と、メルカリ・ヤクルトとの意見交換を通じて、改めて地域が持つ課題は様々であると感じました。行政や民間企業それぞれの強みを活かした課題解決の形を発明していくことが必要であり、メルカリだけでなく、地域に根ざした企業であるヤクルトと連携し、自治体と一緒に行っていくことで可能性が広がると感じました。

地域の中にある資源を活用して、地域の中で循環させていくこと、そして輪の中に住民の皆様も関わっていくことで、みんなで循環の輪を広げていけるそのような取り組みを目指していきたいと思います。今後の取り組みにぜひご期待ください。

(上村 一斗 )

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プロフィール

石丸 伸二(Shinji Ishimaru)

安芸高田市長  1982年 広島県安芸高田市生まれ。京都大学経済学部卒業後、三菱UFJ銀行に入行し、経済や市場の分析・予測を専門的に扱うアナリストへ。2014年には為替アナリストの初代ニューヨーク駐在に就任。2020年8月より安芸高田市市長に就任。

福岡 誠志(Satoshi Fukuoka)

三次市長  1975年 広島県三次市生まれ。広島修道大学大学院修了後、湧永製薬(株)広島事務所に勤務。2001年に三次市議会議員として初当選し、2019年に三次市長に就任。現在二期目。

大澤 誠(Makoto Osawa)

株式会社ヤクルト山陽 代表取締役社長  オーストラリアやヨーロッパ等海外赴任を経験し、首都圏支店、東日本支店部長を経験。2022年4月より現職

舩内 寛之(Hiroyuki Funauchi)

株式会社ヤクルト本社 宅配営業部宅配実践課長  入社後、20年間で本社・支店、営業部門・管理部門を幅広く経験。2022年4月より現職。

吉川 徳明(Noriaki Yoshikawa)

メルカリ執行役員VP of Public Policy 兼 Public Relations  経済産業省でIT政策、日本銀行で株式市場の調査・分析、内閣官房でTPP交渉等に従事。2014年、ヤフー株式会社に入社し、政策企画部門で、国会議員、省庁、NGO等との折衝や業界横断の自主規制の策定に従事。2018年、メルカリに入社し政策企画マネージャーとして、eコマース分野やフィンテック分野を中心に、政策提言、自主規制の策定、ステークホルダーとの対話等に従事。2021年7月より執行役員VP of Public Policy。2023年1月より現職。