2023年度も、高校生がネット販売を行う「メルカリShops PBL」プログラムを、昨年以上の工夫と趣向を凝らして全国5校と連携して実施

高校生がネット販売する授業は、さらに工夫と趣向を凝らして全国5校で実施

2023年度は、2022年度に引き続き、船橋市立船橋高等学校(千葉県・以下、市立船橋高校)と熊本市立千原台高等学校(熊本県・以下、千原台高校)で実施したほか、新たに徳島市立高等学校(徳島県・徳島市立高校)、鳥取県立境港総合技術高等学校(鳥取県・以下、境港総合技術高校)、山形市立商業高等学校(山形県・以下、山形商業高校)を加え、5校で取り組み、多くのメディアでも取り上げられました。

2022年度の取組の内容と成果については、こちらをご覧ください。

2021年10月に「メルカリShops」を本格提供開始したことを受け、スマホ1つで誰でも簡単にネットショップを開設できるEコマース(以下、EC)プラットフォームという特徴を最大限に活かし、学校を始めとした教育機関にとっても、ECを活用して実際に全国に販売するという新たな教育モデルを構築するとの思いで取り組んでいます。

千原台高校と山形商業高校は、自治体の「メルカリShops」のショップを活用し、授業で販売実習を行いました。

千原台高校では、熊本市のショップを利用し、毎年行っている販売実習に先駆けて、市内事業者と連携したECでの販売実習を実施しました。

山形商業高校は、山形市のショップを利用し、市内事業者の協力のもと、商品開発した商品の販売を行いました。

市立船橋高校は、市内事業者が「メルカリShops」に出店したショップと協力して、商品開発を行ってネットで販売するとともに、学校文化祭や地域のお祭などでも販売し、リアルとネットの融合を目指しました。

境港総合技術高校では、食品ビジネス科が授業の一環として製造する地元水産物を活用した鯖缶やツナ缶、新巻鮭等を地域の空港売店を運営する事業者とのコラボショップで販売するとともに、地域の物産との組み合わせなども提案して販売しました。

徳島市立高校では、地域のチュロス屋さんと協力し、地元の特産品である阿波晩茶を利用したチュロスを開発したり、クリスマスやバレンタインの限定商品も考案し、動画サイトも活用した宣伝も行うなどの活動をしました。

プログラムの内容については以下の記事も合わせてご覧ください。  

今回は、「メルカリShops PBLプログラム」を実践した5校の生徒に行ったアンケート結果などを元に、こうした一連のプログラムについて紹介していきます。

授業プログラムのアンケート結果

今年度も授業プログラムの終了時に、参加した全ての高校生たちにアンケートに協力してもらいました。

対象とした5校でプログラムに参加したのは、市立船橋校の2年生25名、徳島市立高校の2年生11人、境港総合技術高校の3年生10名、千原台高校の3年生103名、山形商業高校の3年生37名と、昨年の46名の4倍の計186名の高校生たちに体験してもらいました。

授業前の「メルカリ」に対する認知は100%でありながら、ダウンロード(DL)しているは52.7%、購入経験ありは32.3%、出品経験ありは21.5%しかおらず、「メルカリShops」の認知度は39.8%でした。

授業を実施したことにより、「メルカリ」で購入をはじめた人は11.8%、出品を開始した人は13.4%となったほか、「メルカリ」を親や友人に紹介した人は21.5%、「メルカリShops」を紹介した人は21.5%いました。

 

実施した高校生100%が「難しかった」としながら「良かった」と評価した授業

プログラムへの評価や各分野の理解度などについて5段階で聞いたところ、今回授業で行った「メルカリShops PBLプログラム」の評価は、「とても良かった」と「良かった」を合わせて82.8%、フリマやECへの理解が深まったかとの問には「とても深まった」と「深まった」を合わせて87.0%、学びはあったかについては「とてもあった」と「あった」を合わせて91.4%と高い評価をいただきました。

難易度についての問には「とても難しかった」と「難しかった」を合わせて83.9%と高かったことからも、生徒たちは主体的に学ばなければならないPBLのプログラムで、しかもECの専門家や、実際に商品を販売する「プロ」としてのレベルが求められる中で、これまでに経験したことのないプログラムに難しさを感じたようです。

特徴的なのは、プログラムで目指した、こうした難しいプログラムに挑んだことが、同時に彼ら自身が学びや成長も感じてくれたようで、ほとんどの学生がプログラムの目指す目的を共有し、その効果を体感してくれたようです。

また、今回のプログラムでは、地域でのビジネスを身近に感じることはできたかとの問にも「とても感じた」と「感じた」を合わせて88.7%となりました。

一方で、こうしたプログラムが、今後の進路に影響を与えたかとの質問については、「とても与えた」と「与えた」を合わせて62.9%と一定の効果はあったようですが、「まだわからない」と答えた人が33.3%もいました。

また、今回実施したプログラムについて、後輩にお勧めしたいかと聞いたところ、「とてもお勧めしたい」と「お勧めした」を合わせて85.0%がお勧めしてくれるなど、自分たちが体験した成長の経験を後輩たちにも体験してもらいたいと思ったようです。

どの学年で実施した方がいいかとの質問では、2年次が59.7%と半数以上となる結果となりました。

高校生たちが書いてくれた感想についても一部紹介しておきます。

  • 販売するまでの大変さとか分かったし、どういうふうにすれば買って貰えるかなど考える力がつきました。将来に活かせるような体験も多く普段することのない体験ができたのでよかったです。
  • 今回の課題研究を通して、身近にある店舗などの商品も企画して考えられたものなのだな、などと、ビジネスの世界を近くに感じるきっかけとなりました。組み合わせをどうするか。値段をどうするか、発送方法や伝える情報など、多くのことを考える必要があったが、その分自分たちで考える力も身に付き、将来につながる良い経験となったと思う。
  • 正解がないので最適解を目指して開発していくのは大変だった。
  • 商品を作る難しさと普段当たり前に買っている商品一つ一つにたくさんの時間と労力が割けられていることにこの世界のサイクルは凄いと思った
  • 普通の高校生にはできない体験をして、商品を作ってから売るまでこれだけ大変だとは思いませんでした。いつもは消費者で生産者側の体験をしたことがなかったので裏側を知ることが出来てよかったです。
  • 新商品開発の難しさや作った商品の売り出し方を色々考えさせられた。今回の商品でなぜ売れ残ってしまったのか考えるいい機会になった。これから商品の開発などをするときにはこの経験を活かしてやっていきたい。
  • 一つ一つの商品に様々な思いが込められており仲間と意見を出しあいながらより良い便宜性のある商品を開発し販売することが出来、とても貴重な経験を得ることが出来ました。
  • 自分たちで売る商品を考えその商品を売るためにどのように販売するのかを話し合ったりなど、ネットを使った商品販売をするのが初めてだったのでとても勉強になりました。
  • 初めてメルカリShopsで出品をしてみてターゲティングからの商品選択など顧客を意識して出品することが初めての体験だったのでとても勉強になりました。
  • 初めて商品を企画する立場に立ってみて、一つの商品が完成するのにこんなにもたくさんの工程があることを知り、どの工程も手を抜くことなく、納得のいく商品ができた。
  • 商品を作る難しさを体験できてとてもうれしかった。商品化するまでに企業が様々な努力をして出品してると知り、商品を見る視点が変わった。
  • たくさんの方々に商品を買ってもらうために、どんな商品にするか、パッケージやシールのデザインはどうするかなど、思っていたよりもたくさんのことを考えて商品が作られているんだなと思いました。

 

循環型社会の実現向けたさらなる「メルカリShops」の活用や、より学校や先生方と連携した形での実施を検討

2022年から開始した「メルカリShops」を活用した高校生が実際にECで販売する教育プログラムも、2023年はさらに自治体との連携や商品開発、リアル販売との融合、SNSの活用などを積極的に行うなど、発展した形で5校で実施することができました。

また、今回紹介した「メルカリShops PBLプログラム」とは別に、2023年は生徒たちが学校備品を「メルカリShops」で売る実践や、リユース品を持ち寄ってのバザーのような授業の取組なども行われた他、徳島市立福島小学校などでは、小学校が地域課題解決を学び地域の伝統工芸である木工の端材や木くずを使った商品開発を行って自治体のショップで販売する授業まで生まれました。 

取り組んできた教育現場における新たなモデルをmerpoliに掲載することで、教育現場で日々実践している先生方や、教育関係者の皆さんに関心を持ってもらい、こうしたプログラムも自ら実践してみようという取り組みにつながればと思っています。

高橋 亮平・布施 健太郎